Niagara Moon Rises Again

COVID19が猛威を振るっている。
対処法の分からぬヴァイルスへの不安がいや増す。
「正しく怖がれ」と言われても、感染したら自力の体力勝負しかないとはお粗末だ。
推定致死率が2%程度の予想でこの有様だから、エボラ等強力なヴァイルスの拡散を想像すると防疫制度の確立を切に望みたいものだ。

韓国釜山でも2月27日時点の感染者は58名を数えている。李さんからの情報では、東菜(トンネ)の新天地教会から発生した集団感染によるものらしい。
李さんは難を逃れているが、モイム(集会)はすべてキャンセルされているらしい。
COVID19受難地域のひとたちが一刻も早く安心して暮らせるようになることを祈りたい。

さてそんな世情でヴィニルの話をするのも気が引ける?が、大滝詠一のNiagara Moonである。

Niagara Moon Rises Again_f0068878_19333205.jpg

先日手に入れたヴィニルのうちの一枚だ。

今さら大滝詠一?と訝る方もおられようが、ここは大滝詠一なのである。

高校時代、ラジオ関東でオンエアされていた大滝DJの「ゴーゴーナイアガラ」ファンの、その方面で「感度」の良い友人が入手したアルバムを聞かせてくれたのが最初の縁だ。
今から約45年前の話。(笑)

繊細でちょっと気難しいその友人と、万事泥縄で相手次第で風向きを変える軽薄な僕とが、どうして親しくなったのかは不明だが、お互い洋楽好きの姉を持ち、同級生より半歩先のポップス体験をしていたところに共感を持ったのかもしれない。

北鎌倉から山を分け入ったところの新興住宅地にあったそいつのウチに仲間と泊まり、「楽しい夜更かし」を歌いながら夜中に雀卓を囲んだ記憶が残る。
カセットテープに録音したものを自宅で擦り切れるくらい聴いたものだが、そこはそれ、サンヨーラジカセの音で(友人宅も五十歩百歩の小型ステレオだった)音質がどうのこうのという聴き方じゃない。

当時の大滝は我々から見て「冗談で皆を煙を巻きながら自分の好きな曲を作って、その元歌と共に紹介する」ミュージシャンだったが、そのカウンターカルチャーでありながら浮世離れした脱力感に高校生である僕らの心はとらえられたように思う。

その頃、渋谷公会堂での大滝のコンサートチケットを手に入れた上記の友人が勇んで会場に足を運ぶと、開始時間にひとり大滝が舞台袖から現れて、「スミマセン、準備が間に合わなくて今日は中止です」と謝り、冗談だろうと思ってたら本当に中止だったと憤っていたのを思い出す。

なかなか聞かない体たらくだが、神奈川の大船あたりの高校生が渋谷まで出張っていく気合が空振りに終わった切なさは同情するに余りある。(笑)

そんな植木等的キャラクターの半面、細野晴臣がYMO活動を始めて戸惑うファンに対するラジオでのコメント「(細野さんの)音楽性の懐の深さは普通の感覚では測れないから、ずっとついていってほしい。ついていけないなら、ファンをやめた方がいい」の硬骨漢ぶりに感心させられたり。

その後ほどなくLONG VACATIONのメガヒットでメインストリームに躍り出て、僕らが勝手に応援する内輪のインキュベーターから離れて行った(笑)のだが、7年前の年末に突然亡くなってしまった。

そういう個人的な思い入れのあるミュージシャンでありながら、いままで初期の作品を手持ちで持っていなかったことを思い出し、たまたま出品されていたものをゲットしたのだ。

今回入手したのは1981年CBSソニーからの再発盤(写真左側)
早速聴いてみよう。

知ってる人は知ってるように(笑)大滝の福生のスタジオ(兼自宅?)に持ち込んだ機材でレコーディングされたもの。プロデューサー、レコーディングエンジニアも大滝自身。

そのせいか低域も落とさずしーっかりズズーンと入っている。いいねえ。
一方で一部背景にジーッとハムの聞こえる曲もある。^^;
曲によっては音が団子になる傾向もあるが、概してドーンとくる音で好ましい。

そういえばこのアルバム、まともなシステムで聴くの、初めてなんだ。

当時の日本のポップスってこんないい音だったかな?と細野晴臣の「泰安洋行」に針を落とすと、「それなり」の音である。う〜む。クラウンレコード、もうちょっと頑張ってくれよ。

これはオリジナルのエレックレコード盤はもっとすごい音かもしれないと発作的な思考にとらわれて、エレック盤をゲット。(上の写真右側)

オビなしのためか、良心的な価格であった。

果たしてその音は期待を裏切らないものであったが、冷静に比較すればCBSソニー盤もまずまずの出来だ。

数十年前の自分の記憶と曲がシンクロして蘇り、思わずレコードと一緒に歌ってしまう自分がいる。笑
しかし何より感じるのは、大滝のこのアルバムが一過性の流行を追ったものではなく、ある種普遍的な輝きを保っているということだ。
まだ懐メロにのぼせるほどヤワじゃない。

Niagara Moon Rises Again_f0068878_19333320.jpg
右がエレック盤、左がCBSソニー盤


ジャケット裏の写真もオリジナル盤と後発盤はこう違う。右側エレック盤。
岩手の頑固者のカオを見てやってください。

Niagara Moon Rises Again_f0068878_19333358.jpg

う〜ん、イーチ大滝、こんな昭和の畳部屋でレコードを聴いていたんだな。

いや、愉快愉快。





by windypapa | 2020-02-27 20:05 | music | Comments(0)

好きな音楽やスポーツの話題

by windypapa