STUDIOのこころがわり

二晩経ってもプレトニョフが脳に沁み込んだままだ。 厄介だなあ。

昨夜はアンドラーシュ・シフの弾くベートーヴェン ピアノソナタ 31番第3楽章と、32番をCDで確認してみた。

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シフらしい、伸びやかでブリリアントなピアニズム。晴れ渡る蒼穹のような清々しさ。やっぱりいいなあ。
だけど、なにか心に引っかかる。   メランコリーがない。翳がない。
聴覚の衰え、体調不良、カールの後見問題、等で神経をすり減らしながら作曲した作品が、青空ばかりであるはずがない・・・ってそんなことを言いたいのか?

いや違う。

上手く言えないが、「ピアノという楽器を使った表現の方程式を変えようとしている」演奏を聴き、それが未消化のまま頭にいつまでも残っている、そんなことなのだろう。

これじゃあ、一体何を言っているかわからないよね。
この話はこれでおしまい。

さて、WE271Aシングルアンプのノイズ問題。

しばらく前から、右chからでるカサコソいうノイズが気になって、真空管を挿し替えてみたり、真空管ソケットのバネを調整したり、接点を磨いたりしてみたのだけれど、治らない。
いろいろネット上で調べると、カップリングコンデンサーやバイパスコンデンサーの劣化も原因として考えられるとある。アンプの中を開けるのはいつも気が進まないのだが、ここはひとつ、腰を据えて取りかかろう。(笑)

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初段WE102Fとドライバー段101FのCR周りは上の写真のようになっている。水色の矢印がバイパスコンデンサーで、CORNELL社の極性付オイルコンデンサーが使用されている。
オレンジの矢印がカップリングコンデンサーでMarantz7にも使われたバンブルビーである。
どちらも李さんが苦労して集めたビンテージパーツだが、ヴィンテージであるがゆえにここからメスを入れねばならない。
それぞれのはんだ付けを外してテスターで容量を測定すると、意外や皆表示通りの容量を保っている。(バンブルビーは0.1μF±誤差)
おかしいなあ。
それでも一度交換してみよう。・・と手持ちのパーツをあたるも50MFDの極性付コンデンサーがない。
ネットを検索すると、幸い町田駅の駅近にサトー電機というパーツショップがあり、そこで50V47μFの電解コンデンサー「ミューズ」を4個購入する。1個49円。安い!
サトー電機にはほかにもシャーシや真空管、抵抗、SW・コネクター類など一通りのパーツが揃っており、「取敢えず」要りようになった部品を秋葉原にも出向かず密林を探索する必要もなく入手できるので便利である。ウレシイ。

さて、ミューズと手持ちのものを使って交換したのが下の写真である。

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上の水色矢印がミューズ。オレンジは手持ちのフィルムコンデンサー0.1μF、下も手持ちの100V100μFだ。

シングルパワーアンプは複雑じゃないので、作業自体は簡単だ。

裏蓋を閉めてシステムに戻して電源を入れてみる。・・・・・・・・・おお!カサコソノイズが消えた! アンプが暖まっても、ノイズは聞こえてこないぞ。
やったあ。めでたしめでたし。・・・と書くといかにも簡単だが、ここに至るまでが長かったのよ、ホント。
後日Oさんに報告すると、「それはカップリングのDC漏れ」だったそうだ。容量が減っていなくても、劣化してDC電流を一部通すようになるとそういう症状になるとのこと。なーるほど。

これで背景音の静寂追及プロジェクトは、ほぼ最終段階に達したな。
ひとつだけ、試してみたい最終兵器があるのだけど、電気技師免許が必要なので、手控えている。ううむ。

さらにこんなガジェットが到着した。

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TRITON AUDIOはオランダ北部の小さな街、アルクマールに拠点を置くガレージメーカーで、NeoLevはその非接点浮遊型インシュレーター。内部にネオジウム磁石を内蔵し、その反発力を利用してSP等の振動に敏感な機器を浮遊させる仕組み。インシュレーター1個あたりの耐荷重は8㎏だそうな。

前から一度試してみたかった、磁気フローティング。早速C.E.C TL-3N 3.0の脚の下に付けてみる。音はというと、中域がよりフォーカスが高まったが、高域はなんていうか、ヒリヒリする感じがしないでもない。うーん、ちょっと馴染めない音だなあ、とプリアンプML-1の下に履かせてみる。
これも一瞬、良くなった感もあったが、冷静に聴くと別に変わりはない感じ。
気が進まないけどTHORENSの脚に噛ましてみるか!と簡単に言うけどこれは大仕事だ。重量級でしかも肩より上の位置にあるTHORENS TD124のPlinthをせーので持ち上げ、一つずつこのインシュレーターを嵌めていく。何が大変かって、磁力の反発力で、写真左側の駒が右の駒からすぐに飛び出してしまうこと。(左側の駒には磁力を帯びた軸がついていて、右側の同じ磁力を帯びた穴に嵌めて浮かすという仕組み)
やっと4脚嵌めていざ試聴するも、うーむ、あんまり代わり映えしないんじゃないか?との感想がでる。むしろ脚が下駄履きになって、見ていて安定感がなく怖い。
早々に撤去する。

さてこうなると残るはGOLDMUND STUDIOだが、もともとターンテーブルボードはスプリングで支えるトランポリン構造ゆえに、磁力フローティングの効き目は薄かろう、というのが順当な予想。

それでもやってみなけりゃわからないのがオーディオと自らに活を入れ、えいやと重量Plinthを持ち上げる。
前脚を持ち上げた途端、リニアトラッキングアームがツーッとスピンドルに向けて走り出して冷や汗が噴出したが、すんでで悲劇は回避。(◎_◎;)
SKALAに針先ガードを装着して、あらためて慎重にインシュレーターを取りつける。

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こうしてみると、やはり下駄を履き安定感が悪いが、ともかく試聴してみよう。

こいつは・・・・悪くない。いや、悪くないどころか、いいじゃないか!

いままで優れた分解能と正確なトレース能力で、CDと見まごうような再生を聴かせてくれていたGOLDMUND STUDIO、一方で"ICE DOLL"のように冷静で温度感にかけるところがあり、長時間聴くと退屈になってしまったのが、今や暖かな温もりをたたえてこちらに寄り添ってくるではないか!

鋭利に尖った筆先の4Hの鉛筆が、筆先はそのまま、4Bの濃さで音楽を奏でるような。

細密なエッチングが、色彩豊かな絵画にするりと衣装を変えたかのように。

もう止まらない。つぎからつぎへとヴィニルを載せていく。

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回れ、舞え、STUDIOよ。
いままでの隙間を埋めようではないか。


by windypapa | 2019-06-18 16:46 | Comments(0)

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