いつの間にか秋も深まり、朝、薄暗がりの中をLED照明を点けて犬の散歩に出る。
これで寒気が下がってきたら、厚着する手間が大変だなあ。
長毛に覆われた犬が羨ましい。
今日はこの国で数少なくなったヴィニル再生マニアのお宅で、この方の録音したレコードが回っていることだろう。
さてTL3 3.0によるCD再生の興奮(笑)は一段落ついて、ここのところは、アナログ再生にハマっている。
Goldmund Studioターンテーブル&T-3アーム × ZYX Atmos X~Malotki MC トランス~LCRフォノイコ という構成で、ZYX Atmos Xを入手したときのはしゃぎぶり(2018年4月20日記事)は記憶に新しいが、毎度のことながら新しい機材が入るとよい点ばかりに目が行ってネガティヴ部分は頬かむりをしてしまうおめでたい性格。
上記構成から紡ぎ出される音は、「鮮烈」そのもので、湯気が立つほど生々しく感じられるのではあるが、ヴィニルによってはヴァイオリンパートの切れ込みの音がきつく感じられ、ときにLE175と075のレベルを思わず下げに行くことも。
なにより、聴き始めは気にならないレベルでも、通奏低音のように蔓延るハムノイズが次第に耳につき始めると、フラストレーションが溜まる。
ご承知の通り、フォノのハムノイズはMCトランスの位置、フォノケーブルの取り回し、その他機器の発する電磁波その他によっていちいち影響を受けるのであるが、我が家は重厚長大な古典管が立ち並ぶプリアンプ・パワーアンプを筆頭に、ノイズ源が大きなカオで場所を占め、MCトランスとフォノケーブルを手にとってノイズの干渉の少ない場所を探してみても、フロアに近いレベルではよい場所が見つからないため、プリアンプの後ろに立てた小型ブックシェルフSP用のスタンド上に(更に書籍を積み増し)MCトランスを設置しているのだ。
それによってそこそこハムは追い込んではいるのだが、まだ満足できるレベルではない。
もう少し音を絞って聴けばハムは気にならないのだが、いかんせん大音量再生に生きがいを見出しているので(^^;、折り合いがつかない。
MCトランスの代わりにMark LevinsonのヘッドアンプJC-1を試したりすると、ハムレベルも低いクリアな音が出て束の間の喜びを得るのだが、1時間も聴くと、まてよ、何とも薄いスープの味ではないかと、Malotkiに戻ってしまうのだ。
物は試しと、Goldmund T-3からのフォノケーブルを、ドイツ製の銀ケーブルに替えてみる。しかしGoldmundのケーブルより短いのでトランスに届かない。
MCトランスの置き台代わりのSPスタンドを、ラック裏ケーブルの交錯を押しのけながらムンド側に15㎝ほど移動させ、壁側を向く入出力端子の側面をムンド側に90度回転させてようやく接続できた。
するとどうだ、ハムノイズレベルが一気に下がったではないか。
ううむ、これはちょっと複雑だな。ケーブルに問題があったのか、MCトランスの位置に問題があったのか、わからない。
それでもせっかくノイズが減ったのだからと、しばらくヴィニルをとっかえひっかえ聴きまくる。(笑)
一段落の後、検証のためにケーブルをムンド純正に戻してみる。こちらの方が長いため、下に垂れると他の機器の電源ケーブルの干渉を受けてブーンと唸りだすので、注意深くとぐろを巻いてMCトランスの上に載せてやる。
するとどうだ、こちらもハムノイズが大幅に減退。
顛末を書いてみると簡単だけど、この偶然の僥倖に巡り合うまでには①真空管 ②フォノイコ ③フォノケーブル ④MCトランス ⑤アーム内ワイヤー など様々な要因と個別の対策を考え、袋小路に嵌っていたのだ。
難渋した挙句、フォノケーブル交換から瓢箪から駒でトランス位置とフォノケーブルの取り回しに行き着いた という偶然の産物による初歩的メソドで結果が出たことへの嬉しさ半分、恥ずかしさ半分、という微妙な気分ではあるものの、ノイズのない(少ない)ヴィニルの音は、まるで別次元の素晴らしさだ。
ああ、まったくこんなことを書けば初心者めと嘲りを受けることかもしれないが、それでも書かずにいられない。(笑)
おまけにVnの「きつさ」も減退したように感じる。不思議だ。フォノ部整流管をValvo G2504からKlangfilm KL76303に交換したためなのか、ハムノイズの減退と関連性があるのか、わからない。わからないが、結果が良ければそれでいい。(笑)
宮沢明子のあとはBPOダイレクトカッティングのブラームス交響曲全集を引張りだして、2番を聴く。
故人を送る気持ちを込めて。