鉄漿の上で踊るQueenはポンポコリン

右の欄外にも書いたけど、今年の桃は旨かった。
毎日晩飯後に食べる桃が楽しみだったが、ついに最後の一個となった。
ゆっくり愛でるように味わおう・・・・なんて言っていると、果肉がみるみる茶変するので、いつも通りぺろりと平らげる。

もうひと箱追加!という僕の提案は家人に却下される。げに二国間交渉は難しい。(笑)

しかし台風が来るたびに報じられる農作物の被害を見るにつけ、生産者の労苦が偲ばれる。
少々の傷やサイズが小さいものでも、「規格外」として市場に出してくれれば義援金のつもりで購入するのだが。

そもそも桃の出荷元、小布施の農家とのご縁も、10年ほど前に当地を訪れた際、軒先に出ていた規格外の桃を求めたことから始まった。

家族構成のダウンサイジングとともに箱買いの機会も減ったが、数少ない季節の楽しみの一つなのである。

さて、CEC TL3 3.0の1st Impressionについてはすでに触れた。

再生帯域の広さ、特にマッシヴな低域の押出しと、波のように押し寄せる音像の連なりに夢中になった。

例えばレコード・CDを回す数寄者の会で昔話題になった、Bad Plus の"For All I Care"から"Lithium"と"Comfortably Numb"。

"Lithium"では出だしから悪辣な(としか言いようのない)ベースが右chのウーファーを思い切りキックするのだが、その低周波が32mm厚の杉フローリング材を高速で伝って足元から震わせてくる。

酔っ払ったキングコングが弾くかの如き狂ったピアノがすぐに大音響で参戦するのだが、そのエネルギーの波動も半端ではない。

この盤を紹介してくれたG氏から手持ちの1枚を譲っていただいたのだが、派手なドスンバタンは再生できても、黒々と「とぐろ」を巻く入り組んだ音の塊を解きほぐことなくボッと吐き出すだけで、オーディオ的に面白がるところはあっても音楽的には楽しみがなく、いままで我が家ではショートミニッツで低音を確認するテストソースに過ぎなかったのである。

音楽的に好きかと尋ねられるといまだに首をかしげるが(笑)、TL3 3.0で再生するそれは、オーディオのギミックだけでもきっちり聴き通す気にさせてくれるのだ。

特に"Comfortably Numb"の終盤、荒れ狂う波濤と沸騰するマグマが組んずほぐれつのカオスが如きフォルテピアノの音声を、瞬時瞬時を捉えた連続写真を連続でコンプレッサーで送り出すように精緻に目の前に展開するさまに感銘を受けた。

面白がって大音量で繰り返し聴いていると、しかしなんだか中低域のどこかに雑味を感じなくもない。

ガラスボードのうえに「ポン置き」したセッティングの限界か。

それではと、いままでAyre D-1で敷いていた「ゲル」シートを脚下に噛ませてグリモーのBeethoven Piano Sonata #30を聴いてみる。

おっ、ちょっと不思議なフワフワ感が出て来たぞ。打鍵した音の伸び、共鳴音が空気中に消えていくさまなど、浮遊する感じが苦しゅうない♪

しかしシアワセは長く続かない。続けて聴いたBad Plusでは音が暗く、伸びない。見通しも悪い。

「混濁」という言葉が頭に浮かぶ。

人間って不思議なもので、こんなときに速やかにデフォルトに戻ればいいものを、屋上屋を重ねる対症療法を求めてしまう。

今回も、ネット情報につられて、TL3 3.0のスタビライザーを交換すればもっとメリハリの良い音が手に入ると思い込み、ヤフオクを漁ってしまう。

入札に2度破れて気がついた。

「ゲルシートを外そう!」

こんな当たり前のことになんで気付かないのかわからないが、道を間違えたときに迷った元の場所に戻らずにそのまま行き当たりばったりに道を探す人って少なくないと思う。

こじつけかもしれないが、それと似たようなものだ。(ホントかよ?!)

キャビネットの中を探し回ること約10分、あったあった、これでんがな。と取り出したる黒光りするブラックダイヤモンドレーシングのピラミッドコーン。

f0068878_14442971.jpg
パシフィックオーディオHPから無断掲載(-_-;)


「あらやだ、お見限りかと思っていたわ。今日はまたどうした風の吹き回しだい? 銭の普請ならお門違いよ。ほほほ。」

「つれないねえ。まあそうつんけんするねい、ちょいとお前さんのその鉄漿を試してみたくなったってわけよ。」

「おやおや、高くつくわよ」

なんて会話があったかどうか知る由もないが、とにかくTL3 3.0の下腹をこの黒光りするピラミッドコーンが逆三角形の形で支えることになった。

左右両後隅に二つ、前方CD回転軸の直下と思わしき部分に一つの三点支持だ。

地震に備え、浮き上がった元脚の下には(触れないように)ゲルシートを置いておく。

それではと、期待で高鳴る鼓動を抑えて(ハッ、大袈裟な!)Bad Plus君登壇。

おっ、これこれ、キレが戻った。やるねえ、三角お嬢。

「雑味」も減って見通しも一層よくなったぞ。

皆さんご存知のように、こういうときCDを取っ換え引ッ換えしても、すべてのソースで同じように聴感が向上するわけじゃない。

敏感に反応するものもあれば、さして代わり映えのしないCDもある。現実を受入れよ。

だからこそ、手持ちの中からこのCDなら面白いことになりそうだと想像しセレクトするのが楽しくなる。

そこで思いついたのが、我が家のシステムでオーディオとして麗しく鳴ったことがなく、CD蔵置場の番外地に蟄居中のソースを引張りだす。

Queen Ⅱ

f0068878_15063627.jpg

手持ちCDは1991年のHollywood Record の Remaster盤。

ブライアン・メイのギターがハンドメイドの特殊なもので、いわゆるロックギターのシャープさ、荒々しさというよりも、一聴逆相の音を思わせる、電子エフェクター的(純粋にギターの音だと言っているが)ハーモナイズドサウンドがもとになっているせいか、あるいはもともとの録音音質の問題なのか、ちょっとこもり気味でいわゆる高音質盤とはほど遠いことは百も承知、その犬も食わないCD盤が、健気にもそれぞれの楽器の音が分離し、主張し、スクラムを組んで、70年代英国ロックバンドの「音」が蘇ってきた。
比較的録音の良い"The Loser In The End"のロジャー・テイラーの打音の迫力は特筆で、胸がすくようなドラミングだ。
また176.4kHzで聴いている効果でもあろうか、Ogre Battleのイントロの電子音がバケモノ(Orga)の飛来する様を描写する部分(と勝手に思っている)ではその噴射音の高鳴りと広がりのキメも細かくなり、音場の拡大と相俟って気持ちいい。

"Seven Seas of Rhye"はどう聞いてもモノラル音源にステレオ効果音を加えたように聞こえるが、センター付近のバンドの音の「せり出し」を聴くのも悪くない。

と、知らない人から見ればアホのような楽しいひと時を過ごしているのである。

さくらももこに合掌

by windypapa | 2018-09-05 17:53 | オーディオ | Comments(0)

好きな音楽やスポーツの話題


by windypapa
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る