おやすみ、ジェイムズ

久しぶりに気持ちの良い晴天に恵まれた三連休は久しぶりに豚児どもが集結、犬と一緒になって夫婦の平穏な生活リズムをかき乱す。

そんな悪環境の中、時間を見つけて新しいウーファーの調整にかかる。

最初に気付いたのは、無音状態におけるその静けさだ。

・・・何も聞こえない。パワーアンプのSWは確かに入れたはずなのに。

いままで低いレベルながらも聞こえていた残留雑音が消えた!

ヴィンテージと気取って言いたいところだが、歴然と「古い」管球&トランジスタ増幅器を使用していることとトレードオフの関係で仕方なく受け入れていたノイズがキレイさっぱり消え失せた。

そして、音を出して感じたのは、予想通りの反応の良さと低域再生領域の拡大だ。

ただし、非常に敏捷で筋肉質な再生音が鳴ってはいるが、なにか線が細く、質量感を伴わない音だ。

確かにカール・ルイスが走っている。しかし僕が待っているのは100mを8秒台で駆け抜ける超人ハルクだ。(無茶苦茶だなあ)

D130は恣意的に逆相でつないでいたが、Peavey Pro Riderは正相でつなぐ。思案したのは中域・高域の175と075のつなぎ方で、最初はPeaveyだけ正相、他は逆相のままにしたのだが、再生音に違和感を感じるのですべて正相に戻した。

そのうえで、103dbあったD130と97dbのPeaveyの能率の差から生ずる中高域とのバランスを追い込んでいく。

4日の段階では、D130がショーンコネリーのJames Bond(男の色気、品格)なら、Pro Riderはダニエル・クレイグ(筋肉質・俊敏・冷酷非情)かな、ぐらいの試聴上の差しかなかった。

パワーアンプもML-3とWE271Aを交互につなぎ変え、手探りで相性を探す。

5日、ML-3で音を出しながらSPネットワークの中域のアッテネーターをさらに下げてボリュームを上げてみる。

ソースは確かコステロのNorthのWhen it singsだったかな。

ズズーン ときた。

川底をさらっているうちに光り輝く鉱石を見つけたときの気持ちがこれかもしれない。

いままでさらさらと流れていた小川に大電流が流れ込み、一気に奔流となって音が迸り出て来たかのようだ。

ショーンコネリーことJBが敵方から寝返った美女とともに徒手空拳でドクターノオに立ち向かうところ、ボンドが救援を頼んだ米英合同爆撃機師団が飛来し、重爆撃を始めたかのような変貌ぶりだ。

Jennifer Warnes "Hunter"、Joni Mitchelle "Travelogue" などいつもの試聴盤を再生していくと、音に滲みがないためだろう、鮮烈な立ち上がりと引き下がり?によって生み出される音像はシャープであり、しかも映画で言えばスクリーンが二回りも大きくなったような錯覚をもたらしてくれる。

今までよりぐっと高く屹立する音像が眼前に浮かび上がる。温度感は寧ろ平静で、冷静にどくどくと大電流を喰らっているかのようだ。

ようし、POPsの実力はわかった。Classical Musicはどうだ?

アーノンクール指揮ヨーロッパ室内管弦楽団×エマールのベートーヴェンピアノ協奏曲第2番第2楽章を再生する。

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その音の滑らかでしっとりとした肌触り、奥行き感に驚き、安堵する。

さらにアーノンクール×BPOのブラームス交響曲全集から第2番第3・4楽章を聴く。

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疾風怒濤。  ブラームスですぞ。  ワオ。

いままでこのCDは僕のシステムでは鳴りが芳しくなく、デッドストック化していたところだが、なんとまあ、音の粒立ちの美しく豊かなこと。宝の持ち腐れであった。

アーノンクールって古楽のイメージが強くて渋枯れ系に勝手に区分けしていたけど、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスを振ったモーツアルトの後期三大交響曲といい、結構過激にドッスーンとくるんだよね。

そのドッスーンをPro Riderは律儀に拾って、ブラームスの2番の先入観を打ち崩す。気持ちいい。

余勢を駆ってカラヤン・BPOの62年録音(ハイレゾリリース版)から交響曲第5番の第3・4楽章を聴き、津波のように屹立し迫りくる音像に身を晒す。

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もう脳内麻薬がフルに分泌され、陶酔状態だ。

いかれたオヤジだ。

とどめはBeatlesのハイレゾデータからAbbey Roadの裏側メドレーを聴く。脳内に轟くRingoのドラムス。あなたはジョン・ボーナムか?

さて、結論を出さねばならない。

ジェイムズ君、ありがとう。君の貢献は忘れない。

しかし少し身体を休める時が来たようだ。

James, Bonne nuit, so Long.

PV、いかれた名前だな。しかしこれから楽しもうぜ。

でも皆さん、僕はJBLサウンドの追求を放棄するわけじゃない。僕が考えるその本質を求めて、名を捨てても実を取るのだ。
かっかっか。

But believe me, I don't disappoint you. You'd say, "Jesus, Beautiful Liveliness !"
...Or, you'd rather say "Jesus, Bomber's Loudness !"

Commented by 宗助 at 2017-11-06 21:31 x
遂にそこまで来ましたか、やりますね。

でも拝読していると、なにか別れた後も昔の恋人にずっと良く思ってもらいたいと願う気弱なドン・ジョバンニの口説みたいにちょっと聞こえ無くもないようなw
ちょっと前まで ”僕が愛してやまないJBL Apollo。このシステムに対する信頼は一点の揺ぎもない” なんて仰ってませんでしたっけww
今や、ネットワークが去り、ウーファーが去り、昔馴染みで残るは075のみ、これも風前の灯火かwww

私が考えるに、今の考え方を発展させると、次に気になるのはきっと075じゃないかと思います。このツイターは独特の魅力的な音を持っていますが高域は伸びていません。D130や130Aの低域特性にはこれで十分バランスがとれると思いますが、新しいウーファーにはどうしても物足りない。また、075の独特の音にこだわるとしても、8Khzカットで使うならこのツイターの一番美味しいところを捨てているようにも思います。

そんなことで、今回新しいウーファーのチューニングがさらに進み低域がグンと伸びると、どうしても075の高域の伸びが物足りなくなり、高性能のツイターが欲しくなると思います。この場合、もしJBLにこだわるなら2405に変えると今より高域は断然伸びて歪率も低いので新しいウーファーの低域とのバランスも良く、リスニングルームの音響の良さもフルに発揮されるのではないでしょうか。
Commented by 宗助 at 2017-11-06 21:49 x
ごめんなさい、ゴジ兄の書き込みを読んでいませんでした、既に075の運命については予言されていたんですね。
もう『有識者会議』の結論が出たからには、075の運命も決まったかなw
Commented by god-zi-lla at 2017-11-07 08:55
宗助さん

「予言」なんかしてません。「予想」してただけです、耳の上に赤鉛筆挟んで。

でも、こりゃあ来ますぜ。いよいよ大本命が(笑)
しかし、075はそのままにスーパーツィーター追加で4Way化というのも「穴」としてはアリでしょうか。

しかしすごいなあ。
papaさんちと比べたら、ウチなんてオーディオでもなんでもないです。
Commented by windypapa at 2017-11-07 09:42
宗助さん、
>今や、ネットワークが去り、ウーファーが去り、昔馴染みで残るは075のみ、これも風前の灯火かwww
←鋭い突っ込み。笑

まだ「殻」が残るんです。JBL紋章のエンクロージャーとセンターキャビネット。笑

資力があればJBL1500ALなんぞを試したいのですが、築50余年の古屋に持ち込むのはあんまりなので、ビンボー臭く、否、泥臭くPVでアプローチしました。

しかし赤鉛筆挟んだgod-zi-llaさんといい、宗助さんといい、もう勝手に075放逐を予想しているところが怖い。笑

確かにショーンコネリー=D130が降りてしまえば、ウルスラ・アンドレス=075も輝きを失うかも。
とはいえ、先を急がず、お付き合いください。笑
Commented by 宗助 at 2017-11-07 11:15 x
確かに、ゴジ兄の4Way化というのも、対抗くらいには来ますかね。
もしこれを試されるなら、リボンツイターを2万ヘルツ位のコンデンサーで切ってそのまま出しっぱなしの075の上に乗せるという方法もありますね。これを375+075+リボンツイターでやってる人の音を聴かせてもらった事がありますがとても良い音でした。但し、ウーファーはD130でしたがw
私の所で昔の高級テクニクスリボンツイターを低域カットのコンデンサー付きでご準備させていただいてますので、何時でもご用命くださいww

まったく『有識者会議』も止めてるのかプッシュしてるのか

ところでまったくどうでもいい話ですが、ウルスラ・アンドレスはWパパの「チョイス」なんですか? 彼女はトランプ夫人に似てません? 私は断然二代目のダニエラ・ビアンキが贔屓なんですけどwww
Commented by windypapa at 2017-11-07 14:23
ウルスラ→奔放・じゃじゃ馬→075
という流れです。(^^ゞ

確かにメラニアはボンドガール系ですね。♪

宗助さんは清純派好みかな?
by windypapa | 2017-11-06 11:19 | オーディオ | Comments(6)

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