維納夜話 その3 コンツェルトハウスのBPO

さて、ウィーンで聴いた音楽についても記しておかねば。

今回は事前にインターネットを通してコンツェルトハウスのベルリンフィル・ウィーンフィルの公演を予約して置いた。
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6月5日はサイモン・ラトル率いるベルリンフィルによるマーラーの2番である。メゾソプラノはアンネ・ゾフィ・フォン・オッター。H氏のアドバイスに従い、ネクタイとジャケットを着用する。
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7時半開演のところ、気が逸って6時過ぎに着いてしまうが、誰もいない。少し散歩してからまた入場する。建物そのものは、素っ気ない程地味だ。どこか地方都市の、古くに建てられた文化会館のように色気がない。ただし、感心するのはそのクロークの巨大さである。1Fロビー全体がそのまんまクロークである。見た目はあまり美しくないが、実に合理的。

そして2Fに上がると、そこがホールの入り口である。両側に待ち時間用のワインバー。ワインバーにかかるこんなオブジェにも「らしさ」が伺える。
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ホールはとても広くて明るく、絢爛である。この官舎のような建物の中にどうしてこのような美しいホールが収まっているのだろうか?あまりのコントラストに声もない。
写真を撮ってもよい、というので撮影した。
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今夜のベルリンフィルの公演は、ウィーンでも話題で早くからチケットが売り切れたそうだ。幸運にも前から6列目の席を入手できた。

BPOのメンバーが入場し、次第に開演の準備が進んで行く。コンサートマスターの樫本さんが今回はメンバーに加わっていないのが残念だ。

ワクワクする気持ちを抑えられない。そしてラトル登場。うーん、思ったより老けてるなあ、などと場違いな感想を持つ。そして一瞬の静寂の後、タクトが振られた。

オーケストラは第1楽章のコントラバスの咆哮から一気に聴衆を大海原の航海に攫って行く。

天国の門番とて揺り起こす音だ。

ppの静寂とffで迸る音の奔流。実に抑制の利いた管楽器パートの貢献。

よく見るとオケの配置は、第2バイオリンが正面右翼に展開した対向配置だ。にもかかわらず一分の隙もないストリングスの見事な調和はどうだ。

聴衆も演奏への尊敬と配慮を充分に払って無遠慮な咳はかけらも聞こえない。

ある種の「浮遊感」が僕を捉えている。巨大なエンジンが駆動する大船に乗り、大海を航海するような高揚感。いつまでもこの船に乗って、素晴らしいエンジンの音を聴いていたい。

しかし長丁場の曲はいささかも中だるみを感じさせること無く、終楽章を迎える。正面の高みに据えられたテラス席に登場したオッターのメゾソプラノが聴衆に降り注ぐと、総ての聴衆が「許し」を得たかのように恍惚とする。

全く圧倒的なパフォーマンスであった。

僕はこれから長い間、この日の演奏を忘れずに反芻することになるだろう。
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by windypapa | 2013-06-23 23:23 | music | Comments(0)

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