チェロの泉

チェロの音が好きだ。
あの太く暖かみのある中低音から、艶やかな高音まで、その楽器の響き自体が好ましい。
近所を散歩する折、チェロを奏でる音が漏れてくる家があった。
そんなときは不審者と思われぬ程度に歩を緩め、漏れ出ずる音を楽しむのだった。
いったいどのような人が奏でているのだろうか。
チェロを弾く家人とは、いかほど優雅なものだろうか。
「男密度」の高い我が家とはかけ離れた、典雅な生活がそこにあるように思えた。

時が経ち、密集生活をしていた男児達もそれなりに巣立ち、我が家の男臭さpHも平常に戻った。
すると男児達から手が離れた家人が楽器を嗜みたいという。
しかもこちらの心を見透かしたように、チェロを弾きたいという。

双方の利害も一致することだし、家人の気持ちが変わらぬうちに、ここはひとつどんと行こうではないか。

家人は横浜のS楽器で目星をつけていたようだが、折角の機会なので御茶ノ水のS楽器まで足を伸ばしてみると、感じのよいスーツに身を包んだ碧眼のクラークが、ずらりと並んだチェロの中からお奨めはこれ、と躊躇無く選び出したのがKLAUS HEFFLERの一品。
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素人ながらバックとサイドの虎班、ニスの色艶、そして全体の佇まいに魅入られる。そして試奏した音の美しさ。倍音ののりが素晴らしい。チェロの音ってこんなにも人間の体に響いてくるものなんだ。
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大いに魅了されたが予算を大幅に超えるお値段に即断できず、近くの喫茶店で夫婦で合議の末、舞い戻る。
一生のうち何度も購入するものではないのだから、気に入ったものを買おう。

かくして恵比須顔で大きなケースを担ぐ家人と帰宅と相成った。

早速家人が試奏してみると、瑞々しくも伸び伸びとした音を堂々と奏でるのであった。店内に並ぶチェロの胴板が共鳴すればこそ、あの素晴らしい倍音が出たのではないか、という杞憂も払拭された。

開放弦の音を聞くだけで森の中にいるような豊かな気持ちになるのが不思議である。

弦の音を聞きながらバスタブに身を沈め、愉悦に浸る。

これで僕の次の買い物へのエクスキューズも出来たはず・・・なんだが。
by windypapa | 2013-03-22 23:18 | 日々是好日 | Comments(0)

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