音は人となりを表す?

先頃発売されたGaudioの韓国取材に同行する機会があったので、僕なりのインプレッションを記しておこう。写真はYさん宅しか残していないが、他のお二方のおうちに興味のある方はGaudioを買って参照のほど。

まず海雲台(ヘウンデ)区センタムシティの高層アパートにお住まいのH氏。高層階のお部屋の窓からは広安里大橋を遥かに望むパノラマビュー。初めてお目にかかるHさんは寡黙だが背筋のすっと伸びたお方。
音は人となりを表す。物静かで端正な佇まいのHさんのタンノイ・ブラックから流れ出る音は、Hさんのお人柄の通り、控えめだが透明感のある蒸留水のような音であった。それは聴いていて自然に体がバックシートに埋まり、体幹の力が抜けてリラックスするような、気持ちのよい音。初めてお邪魔するというのにすっかり寛いだ気分にさせていただいた。整然と配置されたエクイップメント類と背面をおおうLPレコードのストック、ハイセンスなインテリア、そしてそれらを満たす抑制の効いた音楽、上質な大人の空間というのはこういうところを指すのだろう。大きめの氷に注いだウィスキーの琥珀の 向こうを透かして見ながら、この部屋で一日を振り返る幸せを思い浮かべてうっとりする。

次なるは海雲台区マリンシティにお住まいのYさん。
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音は人となりを表すのなら、Yさんの人柄はどのように表せば適当なのだろう。威風堂々?気宇壮大?いや違う、Yさんはアンダーステイトメントで折り目正しいエンジニアである。しかしそのシステムたるや超弩級、メインのWestern Mirror-phonicを前にして思わず大阪南港の海遊館でジンベエザメの大水槽を前にしたときのことを思い出したほどであった。そして出てくる音は普通にいい音なのだけど、その噴出量と音が満たす空間容積が圧倒的ゆえに、通常のオーディオの次元を遥かに超えてしまう、計測不能の音なのであった。
このシステムとそこから排出される音楽を前にして、ただ圧倒された、というのが本当のところである。だから隣にあるWE16Aシステムの部屋に移ったときは寧ろ安堵さえ感じたのであった。
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しかし冷静に考えればWE16Aと4181Aのシステムも大掛かりな映画のセットのような佇まい。僕の目にはそれはエイリアンの乗るタイムマシンのようにも映ったのであった。そこで奏でられる音はミラーフォニックとは一線を画し、ホームオーディオ的カテゴリーの中で楽し める音なのであった。両壁面を埋めるLPレコードとバックアップ用管球ストックの棚、その下を占めるWestern Field電源とWestern Amplifireの2個師団、そして正面、漆黒の「エイリアンズタイムマシン」に相対しながら黒革製シングルシートに身を沈めて音楽に浸るとき、Yさんは何を思うのだろうか。
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ビーチサイドに立つ80坪余の広大な高層アパートの窓から広安里大橋の美しい夜景を眺めながら、人生は不公平だと、Yさんと同じ年の私は身勝手にも呟くのであった。

最後は僕の韓国オーディオへの案内役であり、ヴィンテージの世界へ引きずり込もうと手ぐすねをひく親切な?悪魔、李さんである。
古くからの高級住宅地に立つ邸宅の一室を占める李さんのシステムは、変遷がめまぐるしい。 よりよい音を求めて止まない李さんの目下の目標はクラングフィルムのオリジナルシステムを完成させることである。しかしメインSPのクラングフィルムはインピーダンスの合うPower Ampの到着待ちということで、当日はコンスキー・クルーガーのフィールド型SPを聞かせていただいた。出てきた音は意外にも耳に優しい美音。ホーン特有の余韻を残しながら、ぽっかりと大きな音像が20畳ほどの部屋に浮かんでいる。李さんのお好きなストリングスとボーカルが甘く滑らかに流れていく。ソースをオルトフォンのアナログからCDに変えても音の傾向は変わらない。SACDに変えても変わらない。ソースの違いなど広大な流れに投じた小石のようなものだとでも言うような、大河のごとき悠々たる音である。以前お邪魔したとき少し耳についたノイズフロアもきれいに下がり、時にやや鋭角的であったホーンの鳴りもすっかり手懐けられたようだ。してやったりの顔の李さんに素直に脱帽する。
by windypapa | 2013-03-03 17:49 | オーディオ | Comments(0)

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