人として生きる

年末から日本に一時帰国し、中学時代の友達と旧交を温めてきた。久しぶりに訪れる大船の街(いわゆる昔の呼び方で言うウラエキ一帯)は進化の途中で止まった生き物のように古いごちゃごちゃした街並のなかに新しげな店が軒を並べ、その田舎臭い味わいがむしろ画一的なリトルトーキョーではない、独特のクサミを出していて田舎者のオイラに心地よい。

招集をかけてくれたAのおかげでほぼ40年振りに会う友人との再会もあった。例えばロックンと呼ばれる男が店に入ってきてどーもどーもと言いながら席に着くなりコップ酒をごくりとあおるが、こちとらまるで記憶がない。誰だかわかんねーけどテキトーに酒を酌み交わすうちに何かの拍子に「あっ、オメー、フカサワかあ!?」「バーカ、今頃何言ってんだ、コノヤロ」「ざけんな、わかんねーだろ!」なんて展開になる。俺の隣で最初は他人行儀に、そのうち妙に馴れ馴れしく言葉をかけてくるシモダという男も、杯を重ねるうちにプレファブ校舎の渡り廊下を駆け回っていた姿がシンクロしてくる。この日参加の紅一点ドイも40年ぶりかなあ。いい女だねえ。つつ、いけねえ、酔っぱらったかな。
そのうちに顔の見えないあいつやらこいつやらの消息になる。モリが死んだ?ミヤジもか?・・・・絶句。小学校の頃カマクラ市で1・2を争ったフォワードが二人とも、もうこの世にいないのかよ。どんくさい俺がフルバックのポジションから眺める、サイドラインを駆け上がったミヤジがほとんど角度のないところからうつシュートが敵チームのゴールネットに吸い込まれる瞬間が脳の中のスクリーンにゆっくりと再生される。
かたや中盤のディフェンスラインを突破して怒濤の勢いで目の前に迫ってくる宿敵ストライカー・モリの姿も鮮やかに脳裏に浮かぶ。そしてわれらがゴールを守り、長じて我々とは違う世界で名前を売ってきたHも鬼籍に入ったという。

なのに、俺はここで何をしているんだろう。
なんで俺は中坊のころと変わらぬ煩悩を抱え、ブザマに生き存えているんだろう。

チクショー。


そして、こいつらは、なんでこんなに、優しいんだろう?


あーっ、またガマの○◯○自慢が始まった。クククッ。バッカだねえー。でもうらやましー。

きっと今年も犬も笑うようなアホなことに悩みまくって生きていくんだ。
情けねー。でも仕方ねー。


P.S.
えっと、Key Word : Mark Levinsonでこの馬鹿ブログを訪れる方も多いみたいだけど、ごめんなさい、あまり参考になること書いてないんだ。
百聞は一聴にしかず、Auctionでそこそここなれた値段で入手して自分の耳で聞くことをお奨めします。

でもね、一部の人が言うようなレビンソンの「狂気」なんてものは、ないんだよ。あたりまえだけど。
オーディオに「狂気」なんて言葉を持ち込んでコトバ遊びをする人達もいるのだろうけど、実際、狂気の音なんて、そんなもん、あるわけないだろ?

もうひとつ、MLAS時代のモノは当然年代ものだから、モジュールや電源が当時のコンディションではないことを承知しておく必要がある。実際、僕の入手したML-1も微小だけどプツプツとつぶやくようなノイズが出て悩んだ時期がある。コニシスその他で代替モジュールも世の中に出てきているから、そういうものでも楽しめる心と懐の余裕のある方にお奨めします。

そうそう、電源もDACT電源モジュール等を使って強化すれば相当の効果があると聞いている。ここは手つかずだけど、日本に戻って時間ができたらぼちぼち手をつけようと思っている。こういう楽しみは電源部分離式プリならではのもの、だね。

ただひとつ、年末年始の短い滞在期間だったけど、ML-1とML-3に久方振りに火を入れて聴いた我が家のアナログの音は僕の頭にガツーン!と一発を見舞ってくれた。

ずっと放ったらかしにしていたのでたいして期待もせずに自然と手にとったオーマンディ/フィラデルフィア響のSwedish rhapsodyが鳴りだした途端、思わず身を乗り出し、Finlandiaのコントラバスの咆哮に背筋を緊張させる。同じ指揮者とオケによるチャイのナッツクラッッカーでは魔法のような、めくるめくシンフォニアに身を任せソファに体を沈める。年末定番のカラヤン/BPOの第9交響曲では、至福感に包まれてうたた寝をしながら今僕を包むこの音が、僕にとってのワンアンドオンリーであることを認識した。

やっぱりこいつら、尋常じゃない、それは事実だ。

釜山のアパートで鳴らすWE271a×ワーフェデールに僕自身が他人行儀と言おうか、気合いが入っていないことが原因だと思うけど、横浜で聴くLevinson×JBLの音は別物だ。

それがわかっただけでもいいじゃないか。この話はこれでおしまい。

このクソッタレブログもいっそ閉めようかと思っていたけど、もう少し続くことになりそうなので、一握りの物好きなあなた、今年もよろしくお願いします。
by windypapa | 2013-01-04 22:51 | 日々是好日 | Comments(0)

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