ソニ

誰しも青春時代の仲間との思い出は特別なものだし、何かの事情で何年も会えなければ尚更、再会は格別のものとなる。

過去何百回、何千回と同じようなテーマでさまざまな物語が語られ、なお飽きることなく新しい話が創造されるのは、殆どの人達が共有する、青春時代の愉快で間抜けで、あるいは残酷で、少し切ない思い出が、棚卸しされる機会を待っているからであろう。

で、今回の映画は韓国映画「SUNNY」。

オイラが原因不明の全身筋肉痛の治療で一時帰国した折、有楽町で時間調整のために観た映画。

2011年に韓国で封切られるや、口コミで740万人が見た、という振れ込み。確かに映画のポスターを釜山の街角で見かけた記憶がある。

だけど「1986年の韓国女子高生グループの青春賦と25年後の再会譚」って聞くとわざわざ出掛けて観ようという人は少ないだろうな。
ていうか、「時間調整」が無ければ絶対観ていなかった。(自慢してどうする?)

ストーリーはある意味想像の範囲だし、韓国映画特有の?都合の良い展開や強引な展開も見られるものの、軽妙かつコミカルなタッチで彼女達の大切な時間を切り抜いて見せてくれる。

登場人物のキャラクター作りやカメラワーク、ストーリーを進めるリズムには米映画の影響が色濃く感じられ、軽快で心地よい。音楽の使い方も心得ていて、タイトルロールで流れるTime after Timeはシンディローパーならぬ、タック&ぺティversionというのも気が利いている。

主人公が母親を見舞った病院の大部屋病室で、見舞い客も含めて全員が見守るTVドラマでヒロインが「実は私、あと2ヶ月の命なの・・・」と語ると、病室の全員が「またかよ?!このワンパターン!いつもこれなんだから!」と誹謗中傷を浴びせるシーンがある。(これはこれで韓国製ドラマの本質と、それに夢中になる国民性をからかっていて面白い)

で、そのシーンに続けて、同じ病院で主人公が高校時代の親友と同姓同名の名札のかかる病室を見つける「偶然」が語られ、後日その病室を訪れた主人公に友人が明かす「あと2ヶ月の命」の台詞。
見事に自分自身をばっさりと切り、笑わせてみせる潔さ。だからこそそれは物語に悲劇性を持たせるというよりも、2ヶ月というタイムリミットを設けて昔の仲間探しに繰り出させるトリガーとして機能する。

過去と現在のエピソードを切り替えるタッチも絶妙で、韓国アジュマ(おばさん)の逞しさ、卑近さに「そうそう、その通り」と相槌を打つ一方、初々しく可憐で、そして野卑で残酷な少女達の描写との対比も鮮やかだ。そして家族との絆が深い韓国ならでは、友達だけでなく家族関係も面白く、味わい深く描かれている。

1980年代の韓国社会が、これほど海外文化を受け入れていて多様な価値観を持っていたことを知るだけでも、価値がある。

これは今年見た映画の中で一番面白かったなあ。

SUNNY ちなみにハングルの発音は「サニ」より寧ろ「ソニ」です。
Commented by god-zi-lla at 2012-05-25 06:46
あーこの映画。予告編を見た覚えがあります。
だけど、これ見ようと思った覚えはないよなぁ。

なるほど、今年大兄がご覧になった映画でいちばん面白い。
んー、ちょうどヒューマントラストシネマ有楽町でやってるなあ。
だけど、お客は女性ばっかしだろうなあ。

すいません、独り言でした。
Commented by windypapa at 2012-05-25 21:06
僕もヒューマントラストシネマで観ました。平日ということで女性客と“婦唱夫随”の夫婦連れで3〜4割の入りでしたね。
それでも単身のオヤジもちらりほらり。

テルマエ・ロマエを観るノリで、期待せず、リラックスして観に行ってくだせえ。

ところで交通会館1Fのプレイガイドに行くと、上映中の映画でも割引券が手に入るんですね。知らなかった。
by windypapa | 2012-05-23 21:02 | 映画 | Comments(2)

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