羊飼いと靴磨き

所用があって週末、再び横浜へ帰る。

時間の空いた日曜の午後、妻と天王町へ出掛ける。横浜のアメ横と呼ばれる松原商店街を冷やかしにいくのだ。

天王町といえば高校時代に友人と日活ロマンXXXを観にいったライオン座の記憶が残るのみだが、その後幾星霜を経て地味ながら味のある商店街に生まれ変わっている。

松原商店街はそうした駅前商店街を通過したまたその先にある、韓国によくある古い市場(シジャン)のような、売り場とテントを往来にせり出した店舗が鈴なりに並ぶ食材商店街である。

野菜が入っていた段ボール箱を、片付ける手間を惜しんで自家のテントの上に放り投げるパフォーマンスの八百屋など、TVでも放映されたので見たことのある人もいるだろう。

マグロの切り身や焼き鳥に未練の目線を残しながら、近所の「珈琲問屋」で特売の豆やら何やらを仕入れる。

それから黄金町Jack & Bettyで先日見逃した「ルアーブルの靴磨き」を鑑賞する。

先日のようなヘマがないよう、予め場所を調べ、余裕を持って出掛けたつもりだったが、Jack & Betty、案内の地図の表示よりよほど遠くにある。

関内駅から伊勢佐木モールを下った僕たちは、結局すべりこみで上映に間に合ったのだった。

中条昇平の新聞評で興味を持ったこの映画、確かに味があります。ゆったり、淡々としたカメラワークで語られるエピソードは、ずいぶん都合よく話が進むきらいはあるものの、観た後に苦味や寂寥感を感じさせることなく、人間の性善説を信じようという、ひと時の幸福感に浸れることは間違いない。

特に心を揺さぶる盛り上がりをみせるわけでもなく、作為性のない、平明な語り口や、登場人物の、素直さ、人間性などが心に届く、そんな映画かな。

なにしろ登場人物の殆どがそのうち俺もこうなるのかと思うような中高年で、経済的にも豊かでない彼らが、自分達が守るべきものを、以心伝心力を合わせて守ろうとする、そんな姿に共感を覚えるのだ。

「羊飼いと靴磨きだけが『神託』を受けるに足る、民に近い職業なのだ」(確かそんな風な訳だった)と少年に教える元ボヘミアンの主人公の言葉が妙に耳朶にこびりつく。

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さて体調が今ひとつで鬱屈した日々を送る身には、少々甘ったるくてもハートウォーミングストーリーを続いて投与するのが精神衛生上も宜しかろう。

そんなわけでもうひとつ、往復の機内で鑑賞したのがこれ。
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原題はズバリ“I bought a zoo”、邦題は「幸せへのキセキ」
ちょっと甘めでセンチな映画を作るとツボにはまるキャメロン・クロウ監督作品。最愛の妻(母)を失った夫(家族)の再生物語なんだけど、マット・ディロンてなかなか役所広いのね。

共演のスカーレット・ヨハンセンが健康的な魅力を振りまいてくれるけど、どこかで見たようなと考えていたら、だいぶ昔(Miles of Islesの頃)のジョニ・ミッチェルにも似て。
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って聞いて思わず身を引くあなた、失礼でしょう。ははは。

ハリウッド製作の絵に描いたようなハートウォーミングストーリーだけど、おかげで安寧で幸せな心地になれました。
by windypapa | 2012-05-16 22:59 | 映画 | Comments(0)

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