So long,

昨日、不思議な人がオフィスを訪ねてきた。
どうしても今日中(昨日中)に連絡を取りたいところがあるが、日本に電話番号を置いてきたのでわからない。ついては私にその番号を調べて欲しい、ということだ。

私は電話会社でもないし、番号検索の会社でもなく、よろず相談の看板も掲げていないが、客商いは生業なので、相談に乗った。

韓国から日本の104にはつながらないので、私が日本側の誰かに頼み、調べたものを聞き出して欲しい、ということだが、個人情報に関わる情報を提供することは出来ないのでその旨お断りする。自分の知り合いに頼めば良さそうなものだが、身寄りが無く頼める知己が日本にいない、とおっしゃる。

困りましたね、どういう方をお探しですかと尋ねてみると、ペットショップだという。
旅行に出る時ペットを預けたショップに、帰国が1日遅れる旨どうしても連絡を入れたい、ということだ。

それならウェブサイトで検索してみましょう、と言ってショップ名と町の名前を入れるとすぐにヒットし、「PCはどうも苦手で」という彼も驚きメモを取り、喜々として帰っていかれた。

初老の方だったが、話し方がぎこちなく、整理して話すことに慣れておられない様子が、用件とともに何故か引っかかった。

この日は折からの寒さで風邪をひき、鼻水が止まらないので終業時間を待って帰宅し、簡単な食事を済ませてお茶を飲んでいると妻から携帯に連絡が入った。

WINDY TENGOKU HE IKIMASHITA

私の携帯は日本語非対応なので、妻との会話はローマ字である。

えっ?



WINDYとは私の愛するゴールデンリトリーバー犬で、今年8月に満13歳となるはずだった。
一緒にシカゴの四季も楽しみ、そこに彼女がいるだけで私たちは穏やかな気持ちになり、ささくれた感情も癒されたものだった。
元気がよく、土日には私のジョギングのお供をし、愛想を振りまいたが、夏など暑くて気が乗らないと、その場に座り込んで動かなくなるなど駄々をこねることもあったっけ。

人間の感情の動きを敏感に察する犬で、反抗期の子供と私の間が険悪な雲行きになるや、すかさず間に割り込んで前脚を私に預け、必死になだめにかかったり、妻が子供に雷を落とす状況になると、さっさとケージの中に退散してフーッとため息をつくなど、犬とは思えぬ所作を見せてくれた。

名前の割に雷や強風、花火の音が大嫌いで、そんな音がすると散歩の途中でも踵を返して家に戻り、ケージの中に丸まって震えていた。一晩中続くシカゴのLightningには肝を冷やし、朝げっそりした顔で立て篭ったランドリールームから出てきたものだった。

最近少し弱ってきていたので、年末年始に帰国した折にはベッドにのせて一緒に眠り、アイコンタクトの会話を楽しんだ。
ほんの近所しか行かなくなっていた散歩も、久々に私と妻とそろって出掛けると、元気なところを見せようとしたのか、昔の散歩ルートまで足を伸ばし、安心させてくれた。
しかし私が帰国して3日目くらいになると、目に見えて体力が衰え、家の階段の上り下りも苦労するようになり、食欲も落ち、眠って過ごす時間が多くなった。

火・水・木と勤めに出る妻が木曜の昨日帰宅するとWindyがいつにもまして弱っている様子なので、近くの動物病院に連れて行ったところ、血液検査は異常ないが、X線検査で肺炎が判明。酸素を吸入してもらったが、入院するよりも家で(最期を)迎えた方が良いでしょう、という診断で帰宅することに。

診察前は病院の階段も自分で登り診察台にも自力で飛び乗ったWINDYだったが、医師の話を聞いたからか、帰りは急にぐったりし、息子に抱きかかえられるように帰宅し、間もなく息を引き取ったとのこと。

おそらく自分の死期を悟っていたのだろう。帰国した私には気丈なところを見せ、妻の体が空く木曜日まで最後の力を振り絞っていたのだろうと思う。そんなことまで犬が考える訳がないと思われるかもしれないが、犬と生活を共にした方なら分かってもらえると思う。犬は僕たちの考えることなどちゃんと分かっているのだ。

最期までまったく家族に迷惑をかけないあっぱれな死に際であった。

風邪とWINDYのおかげでティッシュペーパーが空になる。

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この件についてコメントをいただくかもしれませんが、ちょっと返信は困難な心情的コンディションなので予めお断りしておきます。
by windypapa | 2012-01-13 10:32 | 日々是好日 | Comments(0)

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