年始雑感

年始に一人で伊勢佐木町に出て、有隣堂をぶらぶらして書籍を求めた。
年始雑感_f0068878_2341135.jpg
子供の頃、おふくろが松坂屋あたりで買い物している間、親父とオイラは有隣堂やヤマギワ電気で時間をつぶしたもんだが、今残っているのは有隣堂だけなんだな。
当時はえらく大きな書店だと感じていたが、今行くと昔程大きくは感じない。そう、よくある話だけどね。でも懐かしいよ。
求めた本は写真の「小沢征爾さんと、音楽について話をする」と「大人のための音感トレーニング本」(リットーミュージック)。2冊目のチョイスは何考えてんだか、てとこだけど、読むとなかなか興味深い。両方とも読み終えていないけど、「小沢征爾さん〜」はもう予想通りというか、予想を超えて面白い。教養本というより、読み進んでページを繰るのもワクワクする、そんな感じの本だ。

その日は有隣堂を出るとちょうど昼時だったので、天吉の天丼でも喰らおうかと思ったけど、伊勢佐木町の桃山っていう昔ながらの洋食屋が目に入ったのでそこでハンバーグランチを食す。還暦を過ぎた年格好の女主人がてきぱきと客さばきをして、気持ちがよい。手製ソースのコクもなかなかのもの。こんな店が残っているところがまだまだ伊勢佐木町、捨てたもんでない。
なんて感心してたら路地で立ちションするおっさん発見。こらこら、こんなところまで昔のままで残さなくても・・・。

でもって次の角まで来たら、映画館発見。ちょうど幕末太陽伝がかかっている。うーん、どこかの人気ブログで取り上げてたなあ。本当は桜木町でMIシリーズ最新作でも見ようかと思っていたけど、方針変更でフランキー堺のフットワークとしゃベくりを楽しむ。

いやあ、よかった。こんな痛快なテンポの日本映画もあったんだね。などと門外漢ならではのとぼけた感想を一人ごちつつ、職場の土産を買いに横浜駅方面に戻ったのでした。

巻き戻して時は1月7日にもどる。先ほどの人気ブログで見せしめになっている意趣返し(笑 に、一人飯で天麩羅そばを作る。といっても天麩羅はアパートの隣のスーパーで買ってきた出来合いのもの。しかし画面上から海老・烏賊・蛸の海鮮3巨頭の天麩羅だい。3つならべりゃまるでキングギドラの頭のようじゃないか。
・・・というわけでゴジラ殿に対抗・・というしょぼいくだり。
年始雑感_f0068878_2324998.jpg


そうそう、肝心のDACはどうかって?
一言で言うなら、器が大きくなった。絵で言えば額縁が大きくなった。といっても音像が単にでかくなったという意味じゃない。再生能力を計る容れ物としての器のことだ。

いままで小さくまとまっていた音符達の戒めが解けて活き活きと躍動が始まった。

上手く再生出来なかったCD、例えばDvorak「弦楽セレナーデ」ミュンフン指揮Viener Philharmonikerやジョニミッチェル「Travelogue」が、「今までのことはなかったことにしよう」と言わんばかりに、盛大にご機嫌に鳴り始めた。
TravelogueのSlouching towards Bethlehemみたいな大仰な曲を、こんなちっぽけなKRKで鳴らしきってしまう底力を確認して、ふうっと溜息が出た。

それともうひとつ、今まで気になっていた断続的なノイズが解消された。嘘みたいだが、本当の話。剥き出しで使っていたDDC基板とか、やっぱり影響していたのかなあ。
それにDDC基板を駆動していた電池の充電を心配しなくて良くなった。ものぐさの僕にとって、結構大きいポイント。

ところでCDってこんなに良い音だったっけ?
Commented by 横浜のvafan at 2012-01-09 08:12 x
windypapaさん、連投ですみません。

伊勢佐木町の有隣堂は、小学生の頃、親に連れていって
もらった思い出があります。完全なお出かけモードでした。
本を買ってもらえるので、ワクワクしたのを覚えています。
最近は関内の伊勢崎町側に行くことがめっきり無くなり
ました。

小澤さんと村上さんの本、年末に買いました。まだ途中で
すが、面白いですね。乱読なのでペースは適当ですが。
Commented by windypapa at 2012-01-09 21:24
vafanさん、ありがとうございます。連投(笑、大歓迎ですよ。
ということは似たような環境で育ったんですかね?当時、横浜の繁華街はすでに高島屋、岡田屋とダイヤモンド地下街の西口に中心が移りつつあり、伊勢佐木は少し危険なニオイと特殊サービス業の勃興で家族連れの足が遠のき始めた頃かと思います。
最近はずいぶん街も変わり、違った意味で国際色が豊かになっているようです。馬車道側も頑張っていますし、一度出掛けてみて下さい。
渋谷だか新宿だかと同じようなニオイの西口・東口より、神奈川の風味が利いていて、懐かしく、面白く感じます。

今日は日本は旗日だったのですね。こちらは通常営業日で「ふうっ」でしたが、メールが殆ど来ないので助かりました。

それではまた。
Commented by 宗助 at 2012-01-09 23:29 x
初めてお邪魔します、どうかよろしく。
DAC上手く収まって良かったですね。あの工房のは何よりも音に落ち着きと品位があるのが良いですね。
ところでいまオーダーされているウエスタンのパワーアンプが完成すると、DAC-レビンソンプリーウエスタンパワーーオールドJBLと拙宅とほぼ同じ構成になりますね。これで聴くちょっと古めのボーカルや、小編成のクラシックは蠱惑的ですよ。立ち喰い蕎麦みたいにAddictになること請け合いです。
Commented by windypapa at 2012-01-10 07:08
宗助さん、おいでやす、ようこそ。
DACでこれほど世界が変わるとは思っていませんでした。同じところから嫁をもらった物同士、これからもよろしくお願い致します。

ウェスタンのほうは、友人に引っ張られる形で進んでいるので、どうも主体性がなくだらしがありませんが、先日アンプビルダーにオーダーしてようやく腹をくくりました。
ついでに友人の真空管プリも分捕る計画です。

宗助さんとのメールのやり取りで背中を押されたこともありますが。addictになったら責任重大デスゾ。(笑
Commented by god-zi-lla at 2012-01-10 10:10
見せしめは刑期満了で解放してあげましたからね(笑)

まわりにいる筋金入りの本好きが何人も絶賛するもんだから、小沢・村上対談本はぼくも先日買いました。まだパラパラっと眺めただけですが、たしかに読み応えありそうです。

伊勢佐木町の有隣堂本店は中学1年のころ初めて入ってアタマがクラクラしたのを今でもハッキリ覚えてます。なにせそれまで入ったことのある書店で一番大きかったのは藤沢の有隣堂でしたから。

だけど伊勢佐木町っていうと、そのころの自分たちにとってはなんといっても映画の街で、藤沢にはやってこない映画をイナカのガキはオドオドしながら電車に乗って見に行ってました。

しかし、イカ天とかエビ天が釜山のスーパーに売ってるんですか?
タコ天ってのもなんかスゴいけど(笑)
Commented by 宗助 at 2012-01-10 22:15 x
私もこの本は発売後直ぐに入手してその面白さに「巻を措く能わず」状態で読みました。
読んでしみじみ思うのは小澤さんって、やはり戦後日本の生んだ輝けるヒーローですね。あれだけ、才能があって、勉強熱心で、勤勉で、決してへこたれず、先輩からも同業者からも愛されて世界の頂点に上り詰める日本人指揮者なんて多分空前絶後じゃないんでしょうか。
小澤さんってただ楽譜を「読む」ことだけで音楽を理解し、強い・弱い、早い・遅い、というような具体的な要素で音楽の意味を伝えることができる能力がある。多分フルトヴェングラーみたいに哲学が演奏しているような人とは対極にあるように思います。その方法論は、例えばトヨタ自動車が車の世界の頂点にたった方法論と似ているんじゃないか、と思うんです。私が、小澤さんのCDを1枚しか持っていない理由もわかるような気がしました。
Commented by windypapa at 2012-01-10 23:38
godgillaさん リリースありがとうございます。犬の気持ちが少しわかったような。

当時の野毛山、伊勢佐木って子供心にもなんだかフンイキを感じる街でした。今みたいに海岸線が遥か彼方に前進する前で、港町の切なさや荒っぽさがまだ漂っていたような気がします。大人になったら楽しく遊べる街だと思っていた?のに、いつのまにか訳の分からん「開発」で、日活映画の風情が消えちまいました。ま、ガキが勝手に夢想していただけかもしれませんが。

天麩羅は釜山の屋台の代表的なメニューの一つです。といっても日本より粉が多く、具6分粉4分の塩梅ですが。薩摩揚げのような揚げ物もあるし、でかい餃子(こちらでは饅頭=マンドゥという)、トッポギなる餅を小さくちぎったものを甘辛いタレでからめたものなど、屋台メニューも多彩です。

少しイメージは違うかもしれませんが、横浜が失った港町の喧噪が釜山にはまだ少し残っているかもしれません。一度お越し下さい。
Commented by windypapa at 2012-01-10 23:54
宗助さん
年賀状で書かかれた読書リストを見て、さすが宗助さん、手が早い?、なんて思いました。
不肖私めも小沢征爾さんのCDを1枚も持っておりませんが、この本を読んで2010年12月のブラームス交響曲公演@カーネギーホールのCDを手に入れようと思いました。
序盤の「ディレクション」という概念にまつわる会話も新鮮で、ほほーっと引き込まれましたね。
春樹さんという話の引き出し手にも恵まれたことが、この本を面白く成立させたんでしょうね。
なにしろこちらは書籍には不自由するので、勿体なくてちびちび飲んでます。もとい読んでます。
推薦図書や課題図書があれば是非紹介ください。(夏休みの宿題みたいだな)
Commented by 宗助 at 2012-01-11 00:29 x
ちょっと意味不明な、話が中抜けのコメントでごめんなさい。
書くと長くなるので遠慮しますが、その素晴らしい音楽理解力、指揮能力で世界の頂点に立った小澤さんのCDを私が武満の曲1枚しか持っていないのは、素晴らしいカタログ性能のアキュフェーズのアンプを使わず、オールドレビンソンやマランツを好んで使うのと同じことじゃなかろうか、と思ったといえば良いでしょうか。
でもあんなに少年の心を忘れないマエストロは素晴らしいですね。クライバーのボエームを聞いたから自分は以後あの曲は指揮しない、なんて正直に言っていいんですかね。
by windypapa | 2012-01-08 00:07 | 日々是好日 | Comments(9)

好きな音楽やスポーツの話題

by windypapa