VEB Tonmechanik Berlin

韓国の人たちの気質の一つに「世話好き」がある。知り合ったばかりでも、心を開き、何かと世話を焼いてくれる人の多いこと!日本でも田舎のおじさん、おばさんや下町の人達にそうした美徳は残っているが、こちらでは困っている人を助ける利他の精神が社会に息づいている。(もっとも、都市化が進むソウルなどでは若者中心に利己的な考え方が広まりつつあるとも聞くが・・・)
そうしたバックグラウンドがあってか韓国の人たちはすぐに友達を作る。あるいは出会った人を友達(チング)と呼ぶ。そんな私のオーディオ・チングに先の日曜日の朝、電話を入れてこう言った。
「PC Audioでclassic musicを聴きたいんだけど、よいプリで今使っていないもの、ない?」

そう、Voyage MPDの導入で我が家の簡易システムにclassical music再生のポテンシャルを見出したところまではよかったのだが、popsやrockを聞いているときは気にならなかったノイズが気になりだしたのだ。

周期的に混入してくるジーッという不機嫌なノイズは、preamplifierを外してDAC=Powered SPを直接接続することで遮断は出来るのだが、DACには音量調整機能が無く、SP裏のVolumeは米粒のように小さくて使い勝手が甚だ悪い。なによりプリを外すと音楽の「質感」が大いに削がれてしまう。
ML-7を中心に据えたままノイズを排除しようとすると重たいクリーン電源などを揃える必要もあり、ノイズ対策にも効くかもしれない出力トランス方式のプリを揃えるチングに電話し、前回のVolume Master再訪の巻となった次第。
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というわけで図々しくも借出したプリがこれ。1960年代にベルリンのスタジオで使用されていた業務用フォノアンプにLINE入力を後づけし、今日のRIAAカーブに変更したもの、というふれこみだ。
左右ch独立でシャーシは鉄製、内部部品もぎっしりでプリと言うのにずっしりと重い。
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シャーシカバーを外すと、この通り。
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真空管はすべてEF86で、実装されているのは真ん中がSIEMENS EF86、右がTELEFUNKEN ECF803。シールドカバー付きの左の球はシールが張ってあり判読不能。Siemens管だけ背が高いなあ。シャーシ後部の電源部を横から撮った写真がこれ。
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そして後面、信号の入出力と電源入力の端子部。このワニ口のような端子に噛み合わせる雌のコネクターから他機器に接続する。
記載されている製品名は、VEB Tonmechanik Berlin DDR Type WE60
ググってもあまり多くの情報を得ることが出来ない。誰か教えて。
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増幅部を横から見た図。
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裏から見た図。
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電源部を裏から見た図
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全面パネルに取り付けられた入力トランス。(MC入力用?)
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さて音の方は。
音の立ち上がる様、消えいく佇まいがとても美しい。
音量を絞っても滋味溢れる音楽を楽しむことが出来る。
今までのまっすぐ直線的なDAC=SP直結の音が、響きの良いホールで聞く上質の音に変わったという印象。
今までソースそれぞれの音が克明にしかしまとまりなく迸り出ていたのに対し、「ほとばしり感」は抑えられ、音が音楽としてまとめられて出て来る感じ。
このあたりはML-7を入れたときも同様の感想だったが、ML-7との比較で言うと「なめらかさ」「滋味」「美音」といった言葉が浮かんでくる。
反面サウンドステージの広がりはやや抑えられ、直線的に飛び出してくる音の風圧は遠ざかった。

このプリに分析的な聴き方は似つかわしくない。今日もアンプに灯を点そう。長い夜を付き合う友よ。
by windypapa | 2011-11-26 14:06 | オーディオ | Comments(0)

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