Grid iron 2

僕がフットボールを好きなのは、学生時代・社会人時代と競技を続けたこともあるけれど、その割り切った合理性・分業制と、対極にあるアナクロ文化が両立しているところが気に入っているからかもしれない。
合理性や分業制は、戦争に最も近いスポーツ、あるいはそのシミュレーションとして考えられることからも分かるだろう。

チームはまず自らのあるべき姿と現状の戦力分析の葛藤の中から、シーズンを貫く戦略を構築する。次に対戦するチームの戦力と戦略を徹底分析することで一試合ごとのゲームプランを練り、それを一つ一つの戦術にブレークダウンする。その過程においては、選手だけが動いているのではなく、コーチ陣、戦術スタッフ、フィジカルトレーニングスタッフ、マネージャー、等々フィールド=Grid ironに出てこない多くのスタッフが活躍するのだ。それはある意味で目的を一にする共同体組織であり、「勝つ」という純粋な理念に基づく「会社」組織の原型とも言えるかもしれない。
このような形で運営する組織同士の激突の結果、つまり勝敗の帰趨は、その7割が戦う前の準備で決まっていると言われている。

しかし組織は形や容れ物だけでは機能しないし、戦略や戦術を実際に機能させるのは生身の体だ。選手の心と体を奮い立たせ、命を吹き込むのはヘッドコーチの哲学であり、主将のキャプテンシーだ。
リジェンダリーHC、ビンス・ロンバルディの言葉にどれだけ選手達が鼓舞されたか、彼をウェブで検索してその言葉に触れて欲しい。
拮抗した力の激突を制するのは、チームのハートがどれだけ強いかにかかっているのだ。

ラグビーの世界のOne for all, all for oneという概念は勿論フットボールにも存在するが、ポジションごとの役割にはきちんと値札も付いてくる。NFL選手の値札は、守備でも攻撃でもバックスという名前がつくポジションの方が高く、スクリメージラインという、敵味方の陣地の境界線で体を文字通りぶつけ合うラインメンは、消耗が激しい割に低いと相場が決まっている。それでもチームの勝利のため、あるいは目の前を遮る相手を一歩でも押し込むため、QBがパスを投げる時間を稼ぐため、1ヤードの陣地のやり取りを飽きること無く続けるのだ。

誰でも花形のQBや守備セカンダリー、LBをやりたい気持ちはあるだろう。しかし自分の力を知り、それを一番有効に行使出来るポジションがラインメンだとしたら、答えは自ずと決まっている。

最近の日本の会社は業績主義の名の下に、経営企画や財務・人事など業務系組織がバックスとしてゲームをコントロールし、現場管理職の責任は重くタイトルや権限は軽くなる一方だ。しかもロンバルディはどこの会社にもいる訳ではない。CEOの社員宛メールを横目に、自分の辞書と羅針盤を頼りに折り合いをつけていくだけだ。
サラリーマンの現場を支えるライン諸君、目指すゴールラインが間違ってないのなら、QBになるはずだったという言葉は飲み込んで、黙ってサイドラインの指示通りゴールに向けてドライブしていくことも、いっそ潔くて良いではないか。割り切りと情熱の両立がモットーだ。

オーケー、ロッカールームに戻れ、お前の力を見せてやれ。いっちょうやってやろうぜ。
by windypapa | 2011-10-03 21:18 | 日々是好日 | Comments(0)

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