下北半島

連休最後の二日間で家人と下北半島へ行ってきた。
公的資金を導入するかどうかで今話題の航空会社の機内誌でいかにも神秘的な仏ヶ浦の風情を目にして発作的に出掛けた旅。

家内も私も初めての青森、朝一の飛行機で青森空港に入りそのまま青森駅脇の高速船乗り場へ。そこから2時間余りかけて下北半島西北の佐井村へ。沖合の高速艇から途中仏ヶ浦全景を眺めるが、機内誌で見て想像したインパクトには遠い。

佐井港で昼食を摂る。商店街は無い。港に3階建ての立派なビルが建ち、その脇にログハウスを模した店舗が数軒軒を並べるのみ。ビル二階に食事処が二軒あり、静かな漁村に似合わぬ賑わいを見せている。
女性の店員が赤子をおんぶしながら注文を聞くような庶民的な店で昆布ラーメン900円を食す。妻の頼んだ天丼800円より100円高いというのはどういうことだ?さぞ天丼はシャビイだろうとタカをくくっていたら、先に来た妻の天丼の海老の見事なこと。あらららら。
続いて供された昆布ラーメンのお味は・・・旨し。麺にも昆布エキスが入っているようだが、昆布だしをベースにしたスープがあっさりしてとても美味い。しかしこの美味はほんの序章でしかなかった!その話はまた後で。

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さて2人満足して店を出て、観光船で仏ヶ浦へ。浜に近づくにつれ、その威容が眼前に迫り圧倒される。それにしてもなんと透明で美しい海だろう。海の碧に白砂が映える。
眼前に迫る高さ30m余の巨大で奇怪な形の岩岩。急峻な海岸線が内陸からのアクセスも制限し、閉じられた静謐な世界が広がる。日本にもこんな場所がまだ残されているのだ。

すっかり心を洗われ、佐井港へ戻る。今夜お世話になる民宿「みやの」に到着し、荷を解き、風呂につかる。部屋も風呂も想像した通り、いわゆる民宿の典型だ。
しかし夕食は全く想像を裏切る素晴らしいものだった。


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呼ばれて一階の広間に下りると夕餉の支度が整っており、小鉢や皿に盛られたもずく、数の子、昆布と貝の和え物、焼き烏賊、大根と烏賊の煮物、鮪の血合いの煮物、つぼ鯛の焼き物、他何品かが所狭しと並ぶ。まずはビールで乾杯し箸を付ける。
新鮮な素材の持ち味を活かすためかどれも味付けが薄い。もずくは都会では見られぬ極太で歯応えのあるものだが、酢の風味は隠し味程度。数の子も醤油などで下味がついたものでなく、生臭さだけを取り除いた自然な味。煮物も同様で控えめな味付けだがまことに美味。煮物の烏賊の柔らかさに驚き女将に作り方を聞いたが、大根と一緒に煮ただけ、というお答え。やはり素材の良さが成せる技か?
そして刺身。最初から膳に置かず、我々が席についてから供してくれる所にこだわりとサービス精神を感じる。かんぱちとなんとその日に大間で捌いた本鮪。鰤・ハマチの類いの独特のしつこさが口に合わず、敬して遠ざけていたが、このかんぱちのあっさりとした自然な味は素直に受け入れてしまえる。合わせる醤油も薄味でそれ自体主張することが無い。さらに驚くべきは大間の鮪のあっさりした味で、今まで頭の中にイメージしていた鮪独特の味や匂いがまるで無く、見事な霜降りの大トロでさえ脂っぽさと無縁であっさりと口の中で溶けて行く。
50年生きてきて恥ずかしながら初めて知った鮪の味だ。そう思わず口に出る。

隣の食卓の埼玉から車で13時間かけてきたという常連の壮年釣り軍団(当然海釣りかと思えば岩魚釣りだと!)とも話が弾み、焼酎片手にとても食べきれないと思われた料理もぺろりと平らげてしまった。ごちそうさまでした。

翌朝も烏賊の刺身や塩鮭の焼き物、鱈子、など美味満載の朝食をいただき、感銘を深めて帰路についたのでした。

今回は秋の連休で搭乗できる飛行機の便も限られていたことと高速艇の運航が一日2往復しかないことでスケジュールが限られてしまったが、仏ヶ浦を間近に見て海の幸をたんといただき、たいへん満足な旅となった。
次回は是非恐山に足を伸ばし、下北半島内陸を探訪した上で大間から函館に渡り、「一粒で二度美味しい」旅を計画してみたい。
by windypapa | 2009-09-25 22:38 | 日々是好日 | Comments(0)

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