初もの尽し

今年の正月は天気に恵まれ、気持ちよかったなあ。
近所の小さな神社も正月ばかりは参拝に長蛇の列ができるので、朝日が上がりきらぬ早朝に犬を連れて参拝する。(参拝時は犬を家人に預けて社殿には近づけない)
正月の食卓では、長男が店員に勧められるまま求めた、青森の桃川株式会社醸造の吟醸純米「杉玉」というお酒が、のど越しも良く実に美味かった。
いくつになってもハンバーグや牡蠣フライを好んで口にするワタシも、少し前からようやく味覚に変化が生じたのか、黒豆と日本酒の取り合わせが最高、などとホザきながら杯を傾ける。ワハハ。

7日の週は年始の賀詞交歓会で大阪・名古屋をまわり、名古屋高島屋で近江「たねや」の菓子を求め、家人を喜ばす。初ヨイショ。

以下「初もの」尽くし。
6日に武蔵小杉で「初」練習のフラッグフットボールは、月末の大会に向けて「初」雪のぱらつく12日に大会前最後の練習。うう、寒い。
11日夜には、HD Trackから"Carpenters with the Royal Harmonic Orchestra" 192kHz/24bit を初Down lord。

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ハイレゾデータをPCからDELAに移そうとしたら、DELA認証にIDとPWを求められてスタック。いくら手持ちのID/PWリストを見ても、該当がない。おかしいなあ。ヤキが回ったか。
12日午後は、音楽とオーディオを愉しむ仲間たちとの新年「初」例会で代々木上原に集う。
30畳大の広い地下空間でマッキン×JBLなどハイエンドオーディオの醍醐味溢れる音を存分に浴び、留飲を下げる。
例会がはねた後は駅近酒場で「初」外呑み。愉しからずや。

14日は家電店のキャンペーンに乗ってiPhone 8に「無料」で乗換え、(家人にとって)初iPhone。
この携帯端末とプロバイダーの商売ときたら、いつもよくわからないが、きっと辻褄が合うようどこかで「ぼられ」ているのだろう。(笑)
15日はDELAのサービスセンターから回答を得る。昨年、接続時のID/PWが求められる「制度変更」があったという説明とともに正しいID/PWを取得する。
ふう、よかった。

我が家への「初荷」は前回紹介したTAD TL1601a 2発だが、3連休前にも海外の友人の代理で落札したSME SPA-1HLというフォノイコライザーがやって来た。しかし上記「初もの」でたて込み、まだ開梱もできていない。(;^_^A

我が家の「初もの」はこんな具合だが、地下オーディオの方は、昨年末から唐突に始まった?JBLからTADへの政権交代の効果を測る毎日である。
と言っても、僕にとってTADはJBLの延長線上にあって、その耳触りは異質なものではない。
我が家のOLD JBLの帯域を広げ、解像度を上げたものが今の音なのだ。

ただ、手元の選択肢が多様化してしまい、一定の条件で比較試聴するという理科系的なアプローチが体に馴染まないワタシは、思いつくままに、プリを切り替え、ツィーターを切り替え、カートリッジを切り替えて聴くので、一向に評価が定まらない。

もとい、TADユニットの評価は定まっているのだが、その前提条件が動くので、記事にしづらいというそれだけのことなのだ。(笑)

ところで我が家に導入したTAD TD4001だが、ベリリウムのダイヤフラムはRadian社製のアルミダイヤフラム、1292の8Ωに換装されている。

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Kozy Studio社さんのHP http://www.kozystudio.com/ によると、Radian社製のダイアフラムは全種類アルミ合金の板をヘラ絞り(人の手でへらを使って形を整える)という手法で成型した上、特殊な焼き入れをして作られてるそうだ。

ヘラ絞りによるダイアフラムは下図(上)のように中央部分が薄く周辺部が厚くなるため、同じ質量でも強度が増し、ダイアフラムにとって最適な形状に仕上るそうな。

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ちなみに一般のスタンプ式によるダイアフラムは同図(下)のように中央部分が逆に厚くなるとのこと。(上図 無断掲載)
この形状は共振の点で大きな違いがでるそうで、中央部の薄いRadian社方式の方が、より共振を抑えられ、周波数特性・混変調歪の発生という点でも有利ということだ。
ふうむ。オリジナルのベリリウムの音も聴いてみたいが、Radian社ダイヤフラムもなかなか捨てたものではなさそうじゃないか。

いや実のところ、捨てたものじゃないどころか、我が家では驚くべき中域の浸透力を発揮しているのであるが、なにかこう技術的な裏付けも欲しいじゃないですか。(笑)

このTD4001とTH4001(ホーン)のタッグにTL1601aが加わり、過去最高レベルの音圧に留飲を下げるワタクシではある。

例えば、テオドール・クルレンツィス&ムジカエテルナによるマーラー交響曲第6番『悲劇的』


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この方の演奏は、やれ「あざとい」とか「アコーギグの度が過ぎる」とか言われておりますが、それはこの際置いといて、このCDをMark Levinson ML-1×ML-3×TL1601aで再生したときのコントラバスの唸り、オケのダイナミズムときたら。
低域のうねりは、聴いているこちらに胸騒ぎをおこさせるほどなのだ。(笑)

サラ・ブライトマンのHYMN~永遠の讃歌も然り。

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量感たっぷりの低域再生に、アポロのエンクロージュアがズズズとすり足でにじり寄ってくるような感覚を覚えてしまう。(・_・;)

かと思えば、代々木上原の例会で聴いた真空管プリの音に啓発され、帰宅後にしこしことLCRフォノイコ付きプリにつなぎ替えてみたり。

懲りないねえ。



# by windypapa | 2019-01-16 16:55 | オーディオ | Comments(0)

元旦の訪問者は蝶のように舞い蜂のように刺す

あけましておめでとうございます。
今年が良い年になりますように。


今年もおせちとふるさと納税の毛蟹を肴に新年を祝う。
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さて久々に子供(といっても30過ぎの独身のおっさん)3人が揃った我が家の正月休み、水入らずでゆっくり過ごせるわけもなく、TVが占領され、例によってくだらんバラエティとカレッジフットボールのボウルゲーム中継に辟易(フットボールは好きだが、何試合も延々と観戦する趣味はない)していた元旦の昼前、それはやって来た。

S急便のお兄さんが持って来た荷物は、正月のリヴィングルームを通過するには無粋すぎ、ガレージを開けて地下に置いて貰う。

さてどうするか。
正月早々、開梱するのは憚られたが、大きなダンボール箱を廊下に置いたままも気が利かぬように思えたので、思い切って封をあけた。

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厚手のダンボールとエアーキャップで厳重に梱包されたそれは、TAD TL1601a。TADの誇る40cmウーファーだ。入手したのは業者によってリコーンされたものだが、初期スペックを抜粋すると下記の通り。
最低共振周波数28Hz
再生周波数帯域28Hz~1kHz
定格入力150W
最大入力300W
出力音圧レベル97dB/W/m
現行ウーファーの周波数帯域が35Hzからなので、7Hz「下」の世界を覗くことになるし、TAD TD4001/TH4001のExclusive 2402の純正ペアの再現でどういう音に変わるのか(変わらないのか)、興味津々なのだ。

アポロの小さなエンクロージャー(670 x 670 x 460mm外形)の容量の問題があるが、件のExclusive 2402の箱(ホーンを除けば外形概略660 x 500 x 480mm)を見れば、それほど容量を必要とするようにも思えない。ええい、物は試しだ、という実にいい加減な発想で呼び寄せたのがこの正月の賓客なのだ。

廊下に広がった梱包資材の山を片付けて、TL1601aをリスニングルームに持ち込み、アポロのエンクロージュアに取り付ける。
今までの15"ウーファーよりTL1601aの方が少しだけ外形が大きいため、4箇所で止めるクランク型の留め具が二つしか止められない。
仕方なく下部2箇所を止めると、自重と留め具、そしてエンクロージュアの止め板でうまく固定することができた。\(^o^)/

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さてさてお立会い。いかなる音が出ることやら。

手早くDELAのデジタル音源から聴いてみよう。まずは定番のCarpentersハイレゾ音源96kHz/24bitから、"Yesterday Once More"

再生が始まって、しばらく「あれれ、ウーファーから音が出ていない?」と慌てたが、よく聴けばちゃんと出ている。
それだけウーファーとスコーカーの音質がぴったりと一致していたということなのだ。

こう書くといかにも間抜けに聞こえるが(実際そうなのかもしれないが)、それは驚くほど一体感のある音色なのであった。ううむ、さすが純正の組み合わせだけあるなあ、とすでに感心している。(^_^;)

そしてカレンの歌声を聴いてさらに驚きは深くなる。
彼女の口がずっと小さくなった!
今までは情報量は多いのだが、エコー成分?も多く、極端に言えば風呂場の歌のような(笑)塩梅だったのだ。
いや、誇張が入っているのは確かだけど。(・_・;
それでも「滲み」のなくなったその音は、実にソリッドかつ切れ味がよく、アキュレートだ。
かと言って分析的な音ではなく、実に軽やかで、刺激的で、「蝶のように舞い蜂のように刺す」という往年のボクサー、カシアス・クレイのパンチを思い起こさせる。

その低域は、単に7Hz下まで伸びたに止まらず、弾力のある空気圧と「音色」が加わっているのだ。
こんなパンチを食らったら、「イタリアの種馬」だってノックアウトだろう。

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そう、「音色」だ。
それは、中域のTD4001と一体化した、ソリッドで乾いた、ウェストコーストの香りがする音色だ。
この音色のために、3 way駆動を忘れさせて全体の調和が揃い、音楽性が増して聴こえるのだ。

同時にそれは、なぜか音の奥行きまで深く聴こえさせる。

単に低域が出ただけなら、オーディオ的なギミックを満たすソースを聴いて終わりだが、それだけでない「音楽性」をこのTAD Brothersは「持って」いるのだ。

それはTD4001スコーカーのもたらす音数と色彩感の豊かさであり、音の実在感の向上であり、両輪となってそれを支えるTL1601aの下働き効果なのか。

例えば、クラプトンのアンプラグド。柔らかい舞台の軋む音が低域に被る超低域のノイズは知られたところだが、断片にとどまらずそれが通奏低音のように響いてライブ感を増幅させる。

例えば96kHz/24bitのカラヤン指揮BPO ”Beethoven Symphony #9”の第4楽章。今までのようにコントラバスの咆哮を喜ぶだけでなく、4人のソリストの絡み合う声のテクスチュア、そこに重なる合唱の奥行き、そしてそれらを包み込むオーケストラの包容力を楽しむ。
そして最後の一音が発せられた後の空気の振動、余韻! 残り香に触れられるかのようだ。
オーケストラは、カラヤンの操るタクトに従って舞う魔法の絨毯。
それは今までなかった分離の良さ、帯域のつながりの良さがもたらすもの。

例えばゲルギエフ指揮マリインスキー管の「シェヘラザード」第1楽章。
大巨獣が登場するような壮大な導入部は、さらに分厚くなった低域の「鳴り」で迫力がいや増し、加えて今までやや荒れ気味に聞こえていたVnパートでさえも、一つ一つ丁寧に描き出され、聞き苦しはもはや跡形もない。

例えばBad Plus "Lithium"の尋常ならざるタイトなベースとバスドラムの音と押し出し。未だかつてこれほど引き締まったリズムセクションの音は聞いたことがないぞ。録音現場のモーテルの部屋の壁を突き抜けそうじゃあないか。カオスの中に増殖する音。ピアノまで新たに調律されたかのように聞こえないか?

例えばコステロ"North"の"When It Sings"のバスドラムの響き。単に「出ている」だけでない、「芯」に「核」のあるズズンという響きだ。そしてコステロの声のなんと寂寥感に溢れることだろう。

例えばおおたか静流"In A Silent Flow"の”オコジョ”の地殻の下から突き上げるような、うねるような、シンセ・ベースの暴れっぷり。傍若無人とはこのことだ。そして宙に舞う静流の巫女のような歌声。

極め付きは、コーネリアスのSensuous。表題曲もさることながら、"Fit Song"のドラムスが圧巻。今までもドラムの皮の張り具合がわかるようなその弾力感に高揚感を覚えたが、今やその躍動感は常軌を逸している。笑 気持ちよすぎるじゃないか。

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参ったなあ、これじゃあきりがない。
正月早々、とんでもない訪問者があったもんだ。笑

そう言えば、アナログのインプレッションを書く予定だったけど、ここまでガラリとシステムの音が変わってしまうと、今更TL1501a以前の音を思い出して書くのもナンセンスだ。笑 改めて1501a導入後のアナログ音を”おいおい”書くことにしよう。

ま、そのうち、ということで。to be continued....





# by windypapa | 2019-01-02 22:51 | オーディオ | Comments(2)

朝令暮改 JBL 075の帰還 

前回アップしたように、TAD TD4001&TH4001ホーン&ドライバー導入効果は歴然としている。
ヴォーカルについて充分に言及しなかったが、その声質の滑らかさや立体感といったら、まさに聴いて楽しいFun to Listenとはこのことだろう。

今までともすると分析的に聞いていたジェニファー・ウォーンズ"Hunter"の唄声が、なんと生気に溢れて聞こえることか。

フライングしてアナログ再生で聴くArt Garfunkelの"Angel Clare"について記せば、今まで咽喉から聞こえていたアートの声が、腹式呼吸の発声に変化するほどの変わりようだ。

今までの費用対効果を振り返ると、やはりSPへの投資のそれが大きいことがよくわかる。

ハイエンドの現代SPは別として、JBLなどのヴィンテージSPは、ユニット交換やマルチ化などのオプションもあるので、遊び甲斐もあるというもの。

うーん、やめられませんなあ。

さてと。

本来ならここからアナログ再生のインプレッションに移るところ、前回レビューを書いていて気がついた。

ツィーター、いつのまにかPioneer PT-R7Ⅲに変わっているけど、その影響はどうなっているんだ?

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いや全くその通り。
TAD兄弟を迎えるひと月ほど前、PT-R7Ⅲはやってきて、今回晴れてベリリウム兄弟の契りを結んだところでござんした。

TAD 4001入庫前に075からPT-R7Ⅲに繋ぎ変え、大きな変化は感じられなかったのでそのまま流していたのであった。(^^ゞ
TAD 4001+PT-R7ⅢとJBL LE175+075の比較をするのはいいけれど、ツィーターの違いを置き去りにしていませんか、ということだ。

それではと、PT-R7Ⅲを外してTAD 4001+JBL 075の組合せを聴いてみる。

・・・!!   これは凄い。

PT-R7Ⅲで感じた真綿で包まれるようなフワフワ感、曖昧さは後退し、高域に抜き身の鋭さが戻ってきた。
トランペットのハイトーン、シンバルのカツーン、シャキーンという響きに宿る金属質の音が、爽快に突き抜ける。

音楽の浸透圧が増し、キレが戻った。

一方、ヴァイオリンの音色はどうかというと、あまり聞き苦しさを感じない。ということは、ヴァイオリンのキツさは(我が家のセッティング上)8000Hzまで欲張ったLE175に帰属していたのだろうか?
TAD4001+PT-R7Ⅲで聴くオーケストラのような、ふわりとしながら圧のある音とは趣が異なるが、075ならではの聞き慣れたシャープな響きが心地よく響くのだ。

Roy HaynesのLove Letter、”The best thing for you", "Afro Blue"で腹は固まった。
なんというキレと鋭さか。くんずほぐれつの、のたうつ大蛇とそれを一刀両断する鋭利な鉈を連想させる、極上の演奏。
これを聴かずにはいられまい。

あらためて比較試聴のインプレッションを入れるとこんな感じか。

  (TAD TD4001+TH4001)+PT-R7Ⅲ (TAD TD4001+TH4001)+JBL075 JBL (LE175+H92)+075
音場の広がり
エネルギー感・音圧
情報量
低域表現
高域表現 ◎-
ヴァイオリン ◎-
JAZZシンバル
JAZZ金管楽器
ヴォーカル


ちょっと甘すぎでしょうか?(笑)

かくして、足切りされかかった075は無事Rosterに戻された。

アナログ試聴記は別途。(笑)





# by windypapa | 2018-12-27 14:25 | オーディオ | Comments(0)

Taste of Honey

承前

クリスマスに間に合ったミッドレンジの怪物ことTAD4001(と巨大ホーンTH4001)を加えた我が家のシステムダイヤグラムを示す。

小さくてわからんね。(笑) clickするとおおきゅうなりまっせ。


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TADの試聴は、変数を絞るため、Mark Levinson ML-1プリを使用して行っている。

まず最初に、デジタル音源の試聴から行った。

最初に感じるのは、音圧とダイナミズムの上昇だ。音楽の情報量を川に例えると、2級河川が滔々と流れる超1級河川に生まれ変わったかのような変化が聴き取れる。
そして低域の再生帯域の広がりと音圧の上昇。

音圧とダイナミズムの上昇は、僕にオープンリールの音を聴いた時のインプレッションを思い出させる。
再生の方程式が、まるで違うものに変わったかのような衝撃。

ミッドレンジのドライバーを代えたのに、ウーファー領域まで著しい変化が起きる理屈を説明するすべを持たないが、客観的に観察してもその変化は明らかだ。

ポピュラーミュージック再生では、リスニングルームの空気を文字通り揺り動かすような浮遊感、躍動感を感じさせる。

その一方で、超低域再生の限界も感じられてしまう。
ウーファーのPeavey1508-08の素性なのか、アポロのエンクロージュアの限界なのか、よくわからないが、ちょっと品のないディスコサウンドの低域が顔を出す部分もある。
ここは経過観察が必要だ。(笑)

巨大ウッドホーンによるものか、クラシカルミュージックの、弦楽器の音、木管楽器の音はうっとりするほど素晴らしい。
Bruce Starkの"To the Winter sun"の"Romance", "Hush"に聞き惚れる。

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我が家でついぞ鳴ったことのない美しい音色だ。ううむ。

これならと、ヒラリー・ハーンのバッハ ヴァイオリン協奏曲を聴くと、案の定、滑らかな弦の音色に心が休まる。
今までのシステムでは、どうしても満足のゆかない(きつい)ヴァイオリンの音しか出てこなかったのだが。

ではクラシカルミュージック向けの音なのかというと、Conelius "Sensuous"では音の出足が鈍るどころか、凄まじいエネルギーに耳が洗われるし、Roy Haynes "Love Letter"でも然り。

しいて言えば、LE175の「ギリギリの際どさ」とか「エッジの上に立つ瀬戸際」的な先鋭感が後退し、余裕が生まれているのが、「刹那的再生」を良しとする向きにはマイナスとなるかも。

1500㏄、600㎏のライトウェイトスポーツカーから、V8 4,000㏄、300馬力で車重1tのモンスターカーに乗り換えたと揶揄する向きもあるやもしれぬ。

しかし来る日も来る日もトランペットやらソプラノサックスやらの咆哮を浴びるように聴く習慣はないので、クラシカル・ポピュラー全般的に合格点の与えられる(それどころか大幅満足度アップが見込める)TAD兄弟に、しばらく鎮座を許すことにしよう。


ほんの遊びだが、比較試聴を図表化してみるとこんな感じ。


  (TAD4001+TH4001)+PT-R7Ⅲ (LE175+H92)+075
音場の広がり
エネルギー感・音圧
情報量
低域表現
高域表現
ヴァイオリン
JAZZシンバル
JAZZ金管楽器
ヴォーカル


それにしてもつくづく感じるのは、「中域を制する者はすべてを制す」という手垢がついたようなフレーズで、耳が行きがちだった低域は、むしろミドルレンジの充実によってもたらされ、そして中域こそが(僕にとって)一番おいしいところが詰まった「蜜の味」だったのだ。

何を今さら、と仰る先輩方、こんなブログを読んでいる暇こそ惜しんでください。(笑)

アナログ試聴のお話はまた別途。

# by windypapa | 2018-12-26 16:36 | オーディオ | Comments(0)

Monster in the Mid Range

いよいよ年も押し詰まってきたなあ。
普通、こういう時期は年越しの整理とか掃除とかに追われるのだけど、そういう一般感覚には御構い無く我が家に届いた大きな木箱。
うーん、家人もよく我慢してるよなあ、と妙に感心したりして。笑

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平日の夜の開梱には腰が引けたが、週末を待ちきれずに木曜の夜に作業にかかる。

バールで上蓋をこじ開け、中のカートンボックスを開梱する。

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中身のラップを解き、リスニングルームに運び込む。
うーん、重いぞ。


これが中身の正体。TAD のウッドホーンTH4001のクローンだ。
「クローン」ねえ。
・・・果たしてどんな製品が届くのか、疑心暗鬼の日々。笑
しかし到着した木箱を見て心配は薄れ、現物を見てその仕上がりの良さに満足した。
すべすべの仕上がりで、裏も底も指への引っ掛かりなど見当たらない。

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金曜日に東急ハンズで六角ボルトを求め、土曜日にTD4001に接続する。落ち着いて。落ち着いて。

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ドライバーとホーンを合わせると30kg近くなる巨体を、細心の注意を払ってアポロの上に載せる。


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ゴクリ。すごい存在感。

アポロ&デルファイのアンティーク家具的バランスを、我が物顔で自分中心にまとめてしまうエゴイズム。

ううーむ。しかしてその音は?

次号を待て (^◇^;)


# by windypapa | 2018-12-23 12:24 | オーディオ | Comments(4)

Heavy級王者の凱旋

「オトナの遠足」からかなり疲れて(笑)帰ると、玄関に大きな荷物が届いていた。

USPSの国際宅配便。

つーことは、あれか!

ニンマリしながら午後の残りを過ごす。
ここで急いで箱を開けて中のブツを手に地階にお籠もりしてはイケナイ。ひとりでオトナの遠足に出掛けたからには、帰宅後いろいろジョブが待っているのだ。
犬の散歩やら、家人への遠足の報告やら、なにやら。かにやら。(笑)

夕飯食ってコーヒー飲んで一服して・・・いざ、出撃じゃ。とカートンボックスに手をかけて持ち上げようとすると、・・・重い!
遠足でダラダラとソファの上で過ごしたせいか、久しぶりに鈍痛が宿った腰が、「どーなっても知らんぞ」と脅す。
仕方ない。ここでばらすか。
玄関で開梱し、エアパッキンにくるまった塊二つを取り出す。なんとまあ、一つでも重たいぞ。規格では直径φ178x奥行155.5mmで12.6kg。同じサイズの石よりずっと重い。
漬物石にしたらいいキムチが漬かるだろう、などと下らんことを言っている場合じゃない。

腰をかばいながら一つずつ階下に運びこむ。持ちにくい形状なので、余計に重く感じる。実重量を測るとプチプチ込みで12.8㎏あるじゃないか。
何をぶつぶつ文句言ってんだ、さっさと運べ。
一人漫才して搬入終了。さっそく音が出るか確認しよう。

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そう、TADのドライバーTD4001を米国から取り寄せたのじゃ。

とはいっても、ホーンが届いていないので、せいぜいシャカシャカ鳴るだけだろう。
JBL175単体で聴いた場合のオモチャのような音を知っているので、単なる死活確認だ。

手近のCD(ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第5番イ長調 Op.18-5:ゲヴァントハウス弦楽四重奏団)をかけてみる。

するとどうだ、思わず眉毛がぴくぴく上がる。「ちゃんとした」音が出ている!

開口部をリスニングポジションに向けて、あらためて聴いてみる。うわあ、すごいなこれ。
床に置いてるから、多少響きが乗っているが、850Hzから8,000Hzまでの守備範囲(我が家の中高域のネットワークの設定)を超えて、野太い音が聞こえてくる。
これじゃホーンはいらないじゃないか。(笑)とアホなことを考える始末。

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不思議なことに、ウーファーが俄然活力を帯びて歌いだしている。PeaveyとTADが連合軍を組んで行進を始めたか。
ゲヴァントハウス四重奏団のベートーヴェンが、これほど楽しく「歌う」とは、我が家で特筆すべきこと。
気をよくしてConelius "Sensuous"を再生すると、うわ~、なんという音の波状攻撃。分厚い音の壁が迫りくる!
ぽっかり空いたスロート孔から、波動砲のようなエネルギーが迸り出る。
ホーンを付けたらどんなことになるのだろう? ワクワクするぞォ。
もっと聴いていたい気持ちを抑えて、機器の火を落とし、寝室に向かう。
なんだか楽しい年末になりそうじゃないか。


# by windypapa | 2018-12-19 15:48 | オーディオ | Comments(0)

箱根の南でTANNOYを愉しむ

週末は沼津近郊でオトナの合宿。
といってもヘンな合宿ではありませんぞ。
・・・いや、ヘンか。
それはオーディオのオフ会の拡大版。
オーディオと料理が趣味のホストが住まう山間のお宅に集い、オーディオと音楽をたっぷり楽しむ企画だ。

遠足に出る小学生よろしくウキウキ気分でロマンスカーで小田原へ向かう。
車内ではスターター代わりに水割りを1缶だけいただこう。(笑)

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いい感じに鄙びた景色に心が和む。。

小田原から先はJRに乗り継ぎ、駅でホストに拾ってもらう。
到着したお宅では、この家の実質的な主?、TANNOY GRFがよそ者の来訪者を睥睨する。
「気安く触るでない」と言っているようだ。(笑)

クルマでやって来たほかのメンバーも揃い、早速音楽を奏でてもらう。

最初はレコード演奏から。
針がレコードに落ちてもトレースノイズが殆どしないことに気がつく。

それは曲に入ってからも同じで、おっそろしいほどのSNの良さだ。

GRFはそのヴィンテージな佇まいとは裏腹に、寧ろ繊細で現代的な音を奏でている。
弦楽器の音の繊細さに耳が惹きつけられる。
コントラバスの音はずいぶん深いところまで拾われ、きっちりと我々の耳に届けられる。

15”ユニットならではののびのびした低域と、同軸ツイーターならではの定位の良さが伺える。

それにしてもこのノイズレベルの低さときたら。まるでスタイラスが氷面を滑るか如し。
これに比べると我が家のアナログは荒れ地を走るトラックか。(-_-;)

参りましたね。

秘密を探ろうとラックを眺めると、粛々と音溝を掘るLINN LP12の下で、のっぺりとした塊が二つ、オーラを放つ。
これは?と問うと、Phasemationの昇圧トランスT2000というお答え。
おお、これが噂に高いT2000か!

ホスト氏がどや顔で(笑)曰く、「このトランスがすべてを変える。このトランスがシステムを支配する」
普通だったら鼻白むようなキメ台詞が、すとんと腑に落ちるのは、その音を聴いているからだ。

かくして物見遊山気分の一同の目が覚めたときには、ホスト氏の軍門に下っていたのだ。(笑)

各自持ち寄りのヴィニルを次から次に再生し、アナログタイムを楽しんだ後は、DAC製作の巨匠O氏持込みの最新作、無限スプライン関数理論に基づくSSDACの試聴に入る。

プリ・エコー成分を排することで音のにじみを削減し、アナログの音に近づけるという狙い通り、解像度が高く立ち上がりの良い音を愉しんだ。

実はO氏が私のリファレンスであるConelius "Sensuous"をかけてくれた時、「ちょっとあっさりし過ぎかな」という感想が浮かんだのだが、普段聞いている環境(部屋・機器・音量)との違いを考えると、それは単に聞き慣れた音との違和感に過ぎないことが、時間の経過とともにわかってきた。
事実、翌朝聴いたプロコフィエフのシンデレラ(アルゲリッチ×プレトニョフ)は素晴らしい音で(二日酔い気味の)頭に響いた。(笑)

もうひとつ、今回はリビングのソファでくつろぎながらの試聴となったが、GRFの音はリスニングポジションによって驚くほど変わることにも気づいた。
僕のお気に入りスポットは、二つのGRFのSPから直進する仮想の線が交差するポイントのやや後方で、ここで聴くと音場感、リアリティがぐっと高まるような気がした。

日が傾くころには合宿らしく?飲み物とホスト氏手作りの料理(プロはだし!)をいただきながら、オーディオと音楽談義に花を咲かせる。
脳にアルコールが行き渡ってから聴いた藤圭子のNHKホールライブレコードが、東アジア民族の琴線に触れ、なんとも泣かせる名演であった。

翌朝は車で沼津の魚市場に出動、ホスト氏のお勧め、鰺のタタキとフライ定食を一同で食す。

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うんまい。

同好の士が集い音楽を聴き美味を味わう。また愉しからずや。かっかっ。

# by windypapa | 2018-12-16 22:35 | オーディオ | Comments(0)

ファルーク・バルサラの数奇な生涯

土曜日は近所の一軒家レストランで、家族でキレンカの宴。

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和食風フレンチとでも呼ぶべきだろうか。銀杏の「つきだし」から始まって牛頬肉の煮込みに至るまで、子供たちの近況を聞きながら供される皿々を楽しんだ。

印象に残ったのは前菜の「チーズ風味の茶碗蒸し」。ありそうでいてお目にかかることのない美味である。

ごっそーさん。

日曜日の午後は、巷で噂の「ボヘミアン・ラプソディ」。「なにそれ?」とのたまう家人を連れて近所の映画館で鑑賞。(いまさら!)

怪獣酒場のおやっさん(笑)の好意的な評価に始まり、職場の女性も絶賛するので、重い腰を上げた?次第。

以下ネタバレを含むのでご注意。

TVで紹介される観客のような感情移入はとてもできないが、冒頭(とラスト)の、エキストラの画像とCGをミックスして作ったというウェンブリースタジアムの聴衆の映像には目を奪われる。


1985年のLive Aidの映像から1970年代初めまで時間を遡り、パキと嘲られながら空港のバゲージ荷役をしていたペルシャ系インド人の若者ファルーク・バルサラが、Smileというバンドの追っかけから、Voが脱退した後にこれからどうしようかと呑気に相談するブライアンとロジャーの前におずおずと現れ、「まずその歯をなんとかしなきゃ」といわれて(笑)引き下がりかけながら、意を決して素晴らしい歌唱力を披露し、そのVo.におさまるまでの展開は小気味よい。

ブライアン、ロジャー、ジョンの3人を演じるキャストもよく特徴を捉えているし、ロックバンドのサクセス・ストーリーとして、安直だけどこんな感じなんだろうな、と納得させられる。

移動用のバンを売り払ってレコードを自主制作するくだりも、やる気のないレコーディングエンジニア(と最初のうちは他のメンバーも同様に描かれる)を横に、フレディーが工夫しながら手作業で音響効果を練り上げていくさまが興味深い。(だから初期のアルバムは音が悪いのか?しかしこの映画にはフィクションが織り込まれているそうなので、鵜呑みしてはいけない?)

セカンド、サードの録音風景は出てこないが、農場の一軒家を借り切って製作した「オペラ座の夜」の録音風景は、映画のシナリオ上もゲイのマネージャーがフレディに近づくシーンとして重要な役割を果たすが、同時にタイトル曲のオペラ的コーラスの制作過程も現在のように電子的に簡単に加工できるわけもなく、徹底的に原始的かつアナログで、面白い。(あのコーラスを、あんな即席のパティションで囲った録音ブースで録っていたとは!)

口パクを強要するBBCへの悪態や、オペラ座の夜のプロデューサーとのバトルも痛快だが、後者はフィクションだそうだ。笑

スターダムを駆けあがるにつれ目に余り始めるフレディの専横と他のメンバーとの溝、フレディ自身の性癖とおそらく生涯有していた人種的マイノリティとしての引け目、ゲイのマネージャーの手引きによる荒廃した生活(と映画では描かれる)などもろもろの要素によって孤立したフレディは、他のメンバーと袂を分かち、HIVという病を得るに至るが、LIVE AIDS出演のオファーをきっかけに他のメンバーと「より」を戻し(実際にはフレディのせいでバンドが解散状態にあったわけでもなく、各々が行き詰まりを感じて「停滞」していたらしいが)、過去の遺物であったQueenを伝説のバンドとして蘇らせた、というのが後半の粗筋。

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どこまで真実かは別にして、この映画で描かれる「鼻につくフレディ」は彼が言う通り「最低のクソ野郎」でどうしようもないが、ファルーク・バルサラの数奇な生涯という映画として観れば、これはこれで一定の評価を置ける、そんな感じかな。

フレディ役ラミ・マレックの熱演は買うが、上顎を強調するためという義歯はいただけない。ただの出っ歯にみえてしまう。それにフレディの野性的な眼光、表情は復元できていない。

それでもライブ・パフォーマンスの再現は見事だし、他のメンバーとのやり取りー例えばフレディが新居を立てたときに招待したロジャーに「(この家)どう思う?」と聞くと、(短髪・口ひげスタイルのフレディを見て)「ゲイ?」と答えるところや、メンバーが(ベースとドラムのリズムから)ディスコ調ととられかねない”Anotherone bites the dust”を巡って議論しているときに、「ビレッジ・ピープルかよ?」と揶揄するところなど、大いに笑った。

1970年代から1980年代までリスナーの変化に応じてヒットを生み続けたバンドのなかでもがくマイノリティのお話と整理するのはあまりに月並みで興醒めだが、正直な感想はそんなところ。

僕の中でQueenはハイスクール時代のⅡとⅢが最強にして十分なので、その中から2-3曲聴けただけでもよしとしよう。

# by windypapa | 2018-12-11 11:08 | 映画 | Comments(0)

Figaro

師走というのに昼間はコートも不要な天気に恵まれた金曜日の夕刻、仕事場からミューザ川崎に向かう。

今宵はこの冬楽しみにしていた、ノット&東京交響楽団のフィガロだ。(演奏会方式)

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オペラ「門前の小僧」の私は、今週ベーム指揮シュターツカッペレ・ドレスデンによるフィガロDG盤を、日本語対訳を手に「おさらい」してこの日に臨んだので会った。笑

今日はチケット購入を代行してくださった私的クラシカル・ミュージック・マスターのおかげで、いつものステージ横2階席ではなく、ステージ正面席の4列目という、とびきりの席で鑑賞。
ステージの高さが低いミューザの演奏会方式ということで、オーケストラピットというハザードもなく、すぐ目の前、演奏者たちの息吹が聞こえるような間近で、「フィガロ」を楽しむことができた。

演奏会方式といっても、キャストはコスチュームを着け、寸劇を交えながら表情たっぷりに歌い、その演技は東響twitterにもあるように、「想像力を掻き立て得られる」素晴らしさなので、舞台装置こそないものの、まさにオペラを鑑賞しているような感覚さえ覚えるものであった。

歌手たちは歌唱力・演技力ともに素晴らしく、特にフィガロ役のヴェルバ、スザンナ役のリディア・トイシャー、アルマヴィーヴァ伯爵夫人のミア・パーション、バジリオ役アンジェロ・ポラックの歌声に魅了された。

初めはノット・東響の演奏を聴くことが主眼だったのだが、第一幕冒頭から歌手たちの存在感、歌声の響きに引き込まれ、Mozart&Da Ponteの術中に見事に嵌ることとなった。

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歌手・オケと観客席の近さ!


アリアの美しさ、楽しさは想像通りだが、二重唱、三重唱の掛け合いのワクワクするような楽しさ、スリリングな駆け引きに魅了される。
特にスザンナと伯爵夫人の二重唱は美しく、力強く、印象に残るものであった。

聴きどころの(4幕構成と考えた場合の)第2幕のクライマックスの重唱、テンポを変えて下からせり上がる歌唱部分の盛り上がりも素晴らしく、圧倒的なフィナーレに包まれた。

そして4幕の最後、伯爵が許しを乞い夫人がそれを受け入れる部分のアリアでは、本当に目頭が熱くなったのには自分でも驚いた。

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ミューザの聴衆も彼らの熱演を讃えて拍手の嵐を浴びせ、4回のカーテンコールに呼び出した。

くどいが観客席との距離が近いので、4回目のカーテンコールでは舞台正面で1mほどの距離で歌手たちと正対し、目の合ったフィガロ役ヴェルバから「よかったか?」と問いかけられ、Amazing!と応えることもできた。

ノットはこの日、レチタティーヴォでハンマーフリューゲルを奏でる「弾き振り」で、おまけに寸劇にも一役買う多才ぶりを見せてくれた。

オケのメンバーも周りで展開されるドラマを楽しみながら演奏している様子で、歌手と一体となった楽しいパフォーマンスを聴かせてくれた。

終演後もいつまでも余韻に浸っていたくなるような、印象的なコンサートであった。

写真は東響twitterから。

# by windypapa | 2018-12-08 11:59 | music | Comments(0)

EUREKA!

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秋深し。12月最初の土曜日は本郷の美しい紅葉を愛でる。

さてと。
Western Electricのヴィンテージ真空管とファインメットトランスを使い、極上のアナログ再生を期したLCRフォノイコ、その音色の引力の虜になってもう5年が経とうとしている。
しかし、初段6SN7周りのハムなど安定的な動作には程遠く、Dr.Moon製作の初代は期初の性能を発揮することなく送還され、Dr.Jangの手で新しく生まれ変わって昨年初めに再び手元に戻ってきたのであった。
何しろ本体、電源部ともに30kgを越す超重量級プリアンプゆえ、運送費も桁違い、もう二度と海外への発送・荷受けは避けたいところ。
念入りに調整の上手元に届いたはずだったが、すぐに実力を発揮したライン部を尻目に、フォノ部はその素晴らしいポテンシャルを示しながら、ハム音が悩みの種なのであった。
製作された場所との電源環境の違いが問題なのか、あるいは真空管プリとマークレヴィンソンML-3というトランジスター弩級アンプのインピーダンスの違いに問題があるのか、はたまた昇圧トランス、フォノケーブル等、上流に問題があるのか?
一つ一つ、確認しながらここまでやってきたのだが、いささか疲れと諦めも出て、旧友のレヴィンソンML-1に逗留を願っている次第だ。
その美音の誘惑は先に記した通りだが、何しろフォノポジションでほぼ無音という、普通の人にとっては当たり前かもしれないノイズレベルの低さに、何より安堵を覚える体たらく。
しかしそのおかげで、プリアンプ以前の上流には問題がないことのお墨付きを得たので、あらためてLCRフォノイコをなんとかしようという闘志に火がついた。

先週後半は、通勤電車の中で考えうる原因と対策を反芻し、フォノイコ部のアース母線周りの見直し、右chのWE310B(Dr.Jang製作分から初段は310Bに変わった)のグリッド線のシールドの確認、などを対症療法として考え、土曜日の夜、慎重に12本の真空管を取り外した上、えいこらせとプリ本体を裏返して裏蓋を開いて点検に及んだのであった。

目視で見る限り、アース母線周りに不備はないように思われる。310Bのグリッド線も正常のようだ。

かくなる上は銅箔テープで囲いを作った時に配線が入り組んでいたために断念した、フォノ入力のシールド線交換に挑もうと手持ちの配線材を漁ってみた。

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手持ちのシールド線の両端

ん?

そうだ、片方のシールドはアースに落とさないんだった。

しかして、LCRフォノイコの内部配線を見よ。

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入力端子側はアースに落ちているのは良いとして、


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310B側のシールドもアースに落ちている。

ひょっとして???

ダメもとで、下流(310B側)のシールドをアースから外して、真空管を挿して試聴してみる。

…ブーン!

ああ、ノイズがずっと大きくなってしまった。やっぱりダメか? 

いやいや、慌てるでない。 プリのアース端子と昇圧トランスのアースをつなぎ忘れていた。(^^;;

アースをつなぐと、ぴたり。ハムがおさまった!

EUREKA!

入力のシールド線とシャーシ間でアースループが形成され、そこにハムが乗じていたのだ!

入力端子から遠い右chのWE310B周辺は、アースループも長くなり、より多くノイズを拾っていたのだ。

左ch側はケーブルも短いのでさほどのことは無かったのが合点が行く。

この時の気持ちを正確に表す言葉が見つからない。

ワールドシリーズでサヨナラ満塁本塁打を打ったバッターか、スーパーボウル残り2分のオフェンスドライブで逆転のタッチダウンを決めたQBか、経験したことはないけどそういうレベルに近いんじゃないか?

そのぐらい、脳が激しく反応する経験となった。

ハハハ、バカ言わないでよ、たかがハムがなくなったくらいで。

というあなた、ヴィニール・フリークの気持ち、まるでわかっていない。

ま、もうちょっと早く気づいてもいいんじゃなかったかなと(^_^;)反省もするが、とにかくめでたしめでたし。

おまけに、フォノ入力ポジションに入れるときにバチッという音を拾っていた入力セレクターも、そうした過激な音を拾わなくなった♪

もちろん、銅箔テープの囲いともおさらばだ。(笑)

翌日曜日は、前日の結果が偽薬効果ではなかったかと、確認のために朝からアンプに火を入れて確認。めでたく追認されたのであった。

こんな形で一足早くクリスマスプレゼントを受け取ってしまった。

嬉しいけどちょっと寂しかったりして。笑

真空管プリのマニアの方の失笑が聞こえてきそうな今日の話題。ここまで。笑

# by windypapa | 2018-12-02 20:16 | オーディオ | Comments(0)

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