Khalil Mack二の腕ケーブルの襲来

しかし壮絶な負け方だな、シカゴベアーズ。

敵地グリーンベイに乗り込んで迎えた宿敵との開幕戦、パッカーズ圧倒的優位の下馬評を覆し、今期加入(正確には出戻り)のOLB#52 Khalil Mackの獅子奮迅の活躍もあって3Qまで最大20点差をつけていたのに、前半に負傷して退いていた名QBロジャースが後半にカムバックするや潮目ががらりと変わり、24-23の逆転負けだあ。

参ったね。

グリーンベイにはブレット・ファーヴといい、アーロン・ロジャースといい、なんでこう良いQBが集まるんだろうか。
個人の技量もさることながら、リクルーティングを含めたオフェンスの組み立て方の問題だろうね。
それにくらべてわがベアーズはいつまでたっても悲惨なオフェンス。

なんにせよ今シーズン、楽しみが増えたよ。

さてそんな剛腕のOLB、Khalil Mackの二の腕のような(笑)、極太ケーブルが我が家にやってきた。

ってそれ、無茶ぶりでしょう。(笑)

f0068878_22530605.jpg
まあ、普通のケーブルと比べると極太なのは確かだが。(^^ゞ

しかしこの梱包はどうよ。松茸じゃないんだから。

なんて言いつつ、期待は膨らむ。

CEC TL3 3.0のワードクロック端子を活用すべく、PCオーディオを始めたころに導入した外部クロックを引張りだして接続したところ、44.1kHz×クロックの再生音のフォーカスがビシリと締まったことに気をよくしたのはよいが、10MHz発振器~44.1kHzワードクロックジェネレーター~TL3 3.0を結ぶBNCケーブルが何とも頼りない。

そこでこの極太BNCケーブルの導入に至ったというわけだ。

早速ワードクロックジェネレーター~TL3 3.0に使ってみると、明らかに音数が増し、中高域の描写がつまびらかになった。とくにシンバルの音色がシュイーンと空間に消えていくさまが気持ちよい。

束の間、悦に入って聴いていたが、暫くするとそんなところに使っているのが勿体なく感じ始める。

やはり音楽信号そのものが流れるところに投入してみたい。

BNC-RCA変換プラグを使ってTL3 3.0~DAC間に使ってみると、上述の傾向にさらに磨きがかかり、気持ちよい。

そもそもクロック~トラポ間に使うということは、我が家では44.1kHz再生が前提となることを意味するので、せっかくの剛腕ケーブルの出番が制限される。

トラポ~DAC間に使えば、ESS9018S DACであれば88.2kHz, 176.4kHzにアップサンプリングした音にも剛腕効果が得られるではないか。

といういつもながらケチな理由で(笑)剛腕ケーブルは居場所が決まった。

さあこれで万全だ、何でも来い、いつでも来い、・・・とはうまく話が進まない。

来るものあれば去る者あり。

プリ~チャンネルデバイダー間に長逗留していたオーグラインのRCAケーブルが、ついに持ち主のもとに帰る時が来たのだ。

なあに、半分は思い入れが生み出す美音だよ、などとタカをくくり、代わりのRCAケーブルの尻を叩くが、音の純度が下がり、せっかくの剛腕デジタルケーブル効果も台無しだ。

こちらも急遽AudioQuestのColumbiaという電池を背負ったケーブルを見つけて導入してみたが、なるほどVoの口は締まり、音にタイトさは戻ってきたものの、なにか冷静で沸き立つような音の波が少し後ろに後退したような・・・。

慌てなさんな、信号を流してまだ分ほど30分ほどしか経っていないないか。

などとケーブルを巡るあれやこれやの迷宮にはまり込んでしまったようだ。いかんいかん、この世界だけは足を踏み入れまいと思っていたのだ。

大概にしておかなあかん。

# by windypapa | 2018-09-13 18:18 | オーディオ | Comments(0)

犬も歩けばSteinway

週末土曜日は音源を聴く集まりの定例会に出席。長岡式マトリクスSPの実演に接した。
口径5㎝のユニットを角度をつけた前面バッフルに取りつけた小さなSPを、持参された会員氏がスポーツバッグから取り出したときは、「えッ?これだけ?」と思ってしまったほどの慎ましやかな佇まい。

ものの価値を外見と重さから計る狭隘な世俗的思考の持ち主である(笑)僕は早々に好奇心の触角を取り下げてしまったが、セッティング後、おもむろに出て来た水音に驚いた。

いきなり水音から始める長岡教メソドに虚を突かれた(笑)のはもちろん、オモチャのようなSPから出て来たとは思えない、瑞々しい空間表現をもった音に驚いたのだ。

近くにあった箱型木枠の上に置いただけの簡易設定なので、音量を上げるとビリビリと箱鳴りの音も重なるが、チェロ・コントラバスの音も量感は別にしてそれなりに描く力量に目を瞠るものがある。

f0068878_22350831.jpg
またまたオーソなし掲載(^^;;


マトリクス式理論は検索すればいくらも出てくるので素人の孫引きは避けるが、聴くべきポイントはセンターSPによる低位の良さ、リアリティと見た。

モノラル音源でその優秀さを発揮すると言われたが、その日僕の耳を捉えたのは、ベラフォンテのカーネギーホール・ライヴ(STEREO)から「ダニーボーイ」。

例会では何度もかけられた名盤だが、マトリクスSPで聴くベラフォンテのヴォーカルは中央にぴたりと定位し、エンクロージュア上部の小さなバスレフから発せられる間接音が5㎝ユニットの吐き出す直接音と混ざり合い、なんとも不思議な音場が広がるのだ。

またSPオーナーが選んだベートーヴェン第九交響曲の声楽部分では、テナー、バリトン等それぞれのパートの歌手がステージに立ち歌うさまが再現される。

いかんせんオケの音の分離やら広がりやら張り出しやらは物理的な制約を免れぬが、ある意味「主役」と「書割」にデフォルメされた再生音楽舞台が目の前に展開し、ホールの2階席か3階席でコンサートを聴いているような錯覚に陥った。

おかげで参加者一同例会を愉しみ、湯島天神下でさらに楽しい(笑)酒席談議に突入したのであった。

ちょっとお酒が残る(-_-;)日曜日の午前中は、ルーティンワークをさぼって犬の躾け教室へ向かう。

3月に生まれた躾教室のお友達犬の子供たちが、もう大きく成長して駆けまわる姿に単純に驚く。Dog Yearとはよく言ったもので、2歳前の我が愛犬も若犬たちの無邪気な姿にあてられっぱなし。

午後は最寄りのターミナル駅にある音楽大学の小ホールで行われる、一般レッスン受講生の「発表会」を聴きに行く。

運動系に分類される愚息がどういう風の吹き回しか数年前から始めた手習いのヴァイオリンを披露するというので、恥じらいもなくいい歳をした両親が応援に行くという微笑ましい?図式である。

しかし初めて訪れたこの音楽大学の小ホール、なかなかに響きが良いのだ。

さらに伴奏のピアノの音の響きの良さに耳が反応する。

素晴らしい量感と躍動感の低域打鍵の響きといい、きらめくような中高域といい、現役音大生の技量もさることながら、ピアノそのものも只者じゃあるまいと思っていたら、やはりスタインウェイということだ。

ホールの響きとピアノの音色を聴いただけで、休日の時間の「もと」が取れてしまった。(笑)

家人の参加する楽器店の発表会と比べると、同じ素人でもこちらの方が少しレベルが高く聞えるのはホールとピアノの理由だけではあるまい。

声楽の参加者が多いことにも驚いた。

うら若い美人ピアニストの伴奏付きなら、僕も一曲唸ってみたいナ・・・笑止。

発表後の記念撮影におさまる皆の顔の晴れやかなこと。ひと仕事やり終えたもののみが知る充実感というものか。


音楽は人を幸せにする力を持っているのですなあ。

帰路、ささやかに慰労会。白山の銘酒「天狗舞」を呑み交わす。

うんまい。



# by windypapa | 2018-09-10 15:47 | 日々是好日 | Comments(0)

鉄漿の上で踊るQueenはポンポコリン

右の欄外にも書いたけど、今年の桃は旨かった。
毎日晩飯後に食べる桃が楽しみだったが、ついに最後の一個となった。
ゆっくり愛でるように味わおう・・・・なんて言っていると、果肉がみるみる茶変するので、いつも通りぺろりと平らげる。

もうひと箱追加!という僕の提案は家人に却下される。げに二国間交渉は難しい。(笑)

しかし台風が来るたびに報じられる農作物の被害を見るにつけ、生産者の労苦が偲ばれる。
少々の傷やサイズが小さいものでも、「規格外」として市場に出してくれれば義援金のつもりで購入するのだが。

そもそも桃の出荷元、小布施の農家とのご縁も、10年ほど前に当地を訪れた際、軒先に出ていた規格外の桃を求めたことから始まった。

家族構成のダウンサイジングとともに箱買いの機会も減ったが、数少ない季節の楽しみの一つなのである。

さて、CEC TL3 3.0の1st Impressionについてはすでに触れた。

再生帯域の広さ、特にマッシヴな低域の押出しと、波のように押し寄せる音像の連なりに夢中になった。

例えばレコード・CDを回す数寄者の会で昔話題になった、Bad Plus の"For All I Care"から"Lithium"と"Comfortably Numb"。

"Lithium"では出だしから悪辣な(としか言いようのない)ベースが右chのウーファーを思い切りキックするのだが、その低周波が32mm厚の杉フローリング材を高速で伝って足元から震わせてくる。

酔っ払ったキングコングが弾くかの如き狂ったピアノがすぐに大音響で参戦するのだが、そのエネルギーの波動も半端ではない。

この盤を紹介してくれたG氏から手持ちの1枚を譲っていただいたのだが、派手なドスンバタンは再生できても、黒々と「とぐろ」を巻く入り組んだ音の塊を解きほぐことなくボッと吐き出すだけで、オーディオ的に面白がるところはあっても音楽的には楽しみがなく、いままで我が家ではショートミニッツで低音を確認するテストソースに過ぎなかったのである。

音楽的に好きかと尋ねられるといまだに首をかしげるが(笑)、TL3 3.0で再生するそれは、オーディオのギミックだけでもきっちり聴き通す気にさせてくれるのだ。

特に"Comfortably Numb"の終盤、荒れ狂う波濤と沸騰するマグマが組んずほぐれつのカオスが如きフォルテピアノの音声を、瞬時瞬時を捉えた連続写真を連続でコンプレッサーで送り出すように精緻に目の前に展開するさまに感銘を受けた。

面白がって大音量で繰り返し聴いていると、しかしなんだか中低域のどこかに雑味を感じなくもない。

ガラスボードのうえに「ポン置き」したセッティングの限界か。

それではと、いままでAyre D-1で敷いていた「ゲル」シートを脚下に噛ませてグリモーのBeethoven Piano Sonata #30を聴いてみる。

おっ、ちょっと不思議なフワフワ感が出て来たぞ。打鍵した音の伸び、共鳴音が空気中に消えていくさまなど、浮遊する感じが苦しゅうない♪

しかしシアワセは長く続かない。続けて聴いたBad Plusでは音が暗く、伸びない。見通しも悪い。

「混濁」という言葉が頭に浮かぶ。

人間って不思議なもので、こんなときに速やかにデフォルトに戻ればいいものを、屋上屋を重ねる対症療法を求めてしまう。

今回も、ネット情報につられて、TL3 3.0のスタビライザーを交換すればもっとメリハリの良い音が手に入ると思い込み、ヤフオクを漁ってしまう。

入札に2度破れて気がついた。

「ゲルシートを外そう!」

こんな当たり前のことになんで気付かないのかわからないが、道を間違えたときに迷った元の場所に戻らずにそのまま行き当たりばったりに道を探す人って少なくないと思う。

こじつけかもしれないが、それと似たようなものだ。(ホントかよ?!)

キャビネットの中を探し回ること約10分、あったあった、これでんがな。と取り出したる黒光りするブラックダイヤモンドレーシングのピラミッドコーン。

f0068878_14442971.jpg
パシフィックオーディオHPから無断掲載(-_-;)


「あらやだ、お見限りかと思っていたわ。今日はまたどうした風の吹き回しだい? 銭の普請ならお門違いよ。ほほほ。」

「つれないねえ。まあそうつんけんするねい、ちょいとお前さんのその鉄漿を試してみたくなったってわけよ。」

「おやおや、高くつくわよ」

なんて会話があったかどうか知る由もないが、とにかくTL3 3.0の下腹をこの黒光りするピラミッドコーンが逆三角形の形で支えることになった。

左右両後隅に二つ、前方CD回転軸の直下と思わしき部分に一つの三点支持だ。

地震に備え、浮き上がった元脚の下には(触れないように)ゲルシートを置いておく。

それではと、期待で高鳴る鼓動を抑えて(ハッ、大袈裟な!)Bad Plus君登壇。

おっ、これこれ、キレが戻った。やるねえ、三角お嬢。

「雑味」も減って見通しも一層よくなったぞ。

皆さんご存知のように、こういうときCDを取っ換え引ッ換えしても、すべてのソースで同じように聴感が向上するわけじゃない。

敏感に反応するものもあれば、さして代わり映えのしないCDもある。現実を受入れよ。

だからこそ、手持ちの中からこのCDなら面白いことになりそうだと想像しセレクトするのが楽しくなる。

そこで思いついたのが、我が家のシステムでオーディオとして麗しく鳴ったことがなく、CD蔵置場の番外地に蟄居中のソースを引張りだす。

Queen Ⅱ

f0068878_15063627.jpg

手持ちCDは1991年のHollywood Record の Remaster盤。

ブライアン・メイのギターがハンドメイドの特殊なもので、いわゆるロックギターのシャープさ、荒々しさというよりも、一聴逆相の音を思わせる、電子エフェクター的(純粋にギターの音だと言っているが)ハーモナイズドサウンドがもとになっているせいか、あるいはもともとの録音音質の問題なのか、ちょっとこもり気味でいわゆる高音質盤とはほど遠いことは百も承知、その犬も食わないCD盤が、健気にもそれぞれの楽器の音が分離し、主張し、スクラムを組んで、70年代英国ロックバンドの「音」が蘇ってきた。
比較的録音の良い"The Loser In The End"のロジャー・テイラーの打音の迫力は特筆で、胸がすくようなドラミングだ。
また176.4kHzで聴いている効果でもあろうか、Ogre Battleのイントロの電子音がバケモノ(Orga)の飛来する様を描写する部分(と勝手に思っている)ではその噴射音の高鳴りと広がりのキメも細かくなり、音場の拡大と相俟って気持ちいい。

"Seven Seas of Rhye"はどう聞いてもモノラル音源にステレオ効果音を加えたように聞こえるが、センター付近のバンドの音の「せり出し」を聴くのも悪くない。

と、知らない人から見ればアホのような楽しいひと時を過ごしているのである。

さくらももこに合掌

# by windypapa | 2018-09-05 17:53 | オーディオ | Comments(0)

葉月の終わりの来訪者

葉月も終わりというのに体温を超える猛暑というのは、エアコンの効いた家で過ごすに如くはなし。

西日が投影する藤の蔓を眺めてみたり。

f0068878_11054131.jpg


そんな週末の或る日、郵便配達ならぬ宅急便の配達人が2度ベルを鳴らした。

f0068878_22155680.jpg

C.E.C.のベルトドライブCDプレーヤー、TL3 3.0。

あれれ? Ayre D-1と蜜月の日々を過ごしていたくせに、なんでまた?

・・・ううむ、男女の仲は然程難しい。  いや、冗談。

CDの音を耳に煩いと切り捨て、やれハイレゾだ、アナログだ、テープだと飛びついてきた我が身だが、CDに収められた情報量をどこまでマイニングできていたのか。

Ayre D-1とTD1541A DACの再開発を通してようやく思い知ったのである。

さてそうなると、今まで興味のなかったCD再生のハードウェアにも急に目が惹かれ始める。

あさましきわざなり。

憧れの名機、DCSか、Wadiaのトランスポートか、定年前に乾坤一擲(笑)の買いを入れるならばいざ!

何を血迷うか。己の身の程を知れ!

いやいや余程背伸びはしなければならないが、往時と比べれば中古価格はそれなりにこなれ、家人を説得できるかもしれない。

たわけものめ。

などと昔のワーナーブラザースのアニメの猫(トム)よろしく頭の両側で天使と悪魔が喧嘩する。

しかし、20年も前のハードウェア、しかも回転系を買うにはリスクがつきもの、メンテナンスまで出費する余裕はない…。

ヤフオクとeBayを眺めては逡巡の日々。

他方、目を付けたのがC.E.C.のベルトドライブ機。DACマイスターのO氏の「一聴の価値あり」の声が耳朶に残っている。

しかし最新機種TL3 3.0の中古はなかなか市場に出てこない。
それならばと入札したTL-1Xを敢え無く競り負けた翌日、TL3 3.0の新古品情報をキャッチし、後先考えずにすかさず買いを入れたのだ。

普段は着るもの履くものに頓着せず、吝を通しているくせに、こんな時だけ思い切りが良くなるのは如何なる仕儀か?

ようわからんが、こんな時のウキウキした気持ち、オーディオにハマった人ならわかるはず。

いそいそと箱から取り出してセットする。うん?キカイはコンパクトだが、ずっしりと重く感じるぞ。トラポのくせに一体何が詰まっているんだ?

f0068878_22151587.jpg



然り、TL3 3.0のドライブ部はTL3Nのそれを踏襲していながらメカシャーシが大型化されベアリングシャフトも堅牢なものにリプレイスされているそうだ。

スタビライザーもCDをすっぽり覆うほど大型で、ずっしりと手に重い。

44.1kHzのCD信号を88.2/176.4kHzで出力できるアップサンプリング機能もついている。

なるほどなあと感心しながら、試聴にはいる。相方はアップサンプリングに対応できるESS9018 DACだ。

最初は44.1kHzの素のままで。

うーん、これがアナログライクなCDの音かあ。 ・・・ってこれならAyre D-1と変わらんぞ?

いやいや、よく聴け、ヴァイオリンの音、アリアのメゾソプラノの小舟のたゆとうが如き滑らかな音を。   ・・・ふむふむ、なるほど。

でもなあ、投資したありったけのヘソクリを考えると、ちょっとなあ、などとみみっちい計算が頭に浮かぶ。

さてさて、全くもって小さい男じゃ。

うるせーほっとけ。  などとまたもや一人芝居をしつつ、176.4kHzにアップサンプリング。

・・・身から錆が、目から鱗が、こそげ落ちた。美音に耳が洗われる。

ヘビーローテーション化しているエレーヌ・グリモーのBeethovenの#30ピアノソナタから聴いた。

一聴、ピアノの響きがまるで違う。

打音が空間に広がり、その後消え際に共鳴音が徐々に小さくなっていく様が、眼前に現れる。

かといってエコーがまとわりつくでもなく、自然に次のパッセージへと移ってゆく。

今まで44.1kHzで聞いていた音がアップライトピアノと思えるような変貌だ。

次にAnne Sofie von Otter meets Elvis Costelloの"For the Stars"から"No Wonder", "Green Song"を聴く。

録音レベルが大きいので音量を絞らずに聴くとVoの唇が少し大きく感じられるものの、明確に増えた音数で構成される「音の膜」が連続して多層的に押し寄せて来て部屋を満たし、圧倒される。

続いてCarpentersの"Song for You"から表題曲を聴く。米国量販店で買った何でもないCDだが、なんのなんの、ぐっと出てきた奥行き感に引き込まれる。

サックスソロの響きの艶やかさもさることながら、そのバックでひそやかに呟くドラムスのブラッシングワークに耳が惹きつけられる。
今まで気にも留めなかったのに、きっちり「仕事」しているのが「見える」ようだ。

念のため、44.1kHzに戻して同じ箇所を聴き直すと、ブラッシングはかすかに聞こえるが、ほとんど背景にへばりついたまま、刺身のツマにもなりゃしねえ。

こんななんの変哲も無いCDが化けるとは、と思わず頰がゆるみ、だらしのない顔に拍車がかかる。

お次はコーネリアスのSensuousとFit it, Breezin'を聴く。

Sensuousのギターの弦の響き! 広がる、広がる。・・のは44.1kHzでも同様だが、音域の拡大が感じられるのと、グリモーのピアノ同様、弦の音の振動が空気中に拡散していくさまが感じられるのだ。

ラストの緩んでいく弦を激しく叩く音響が空気を揺るがすような響き、圧巻である。

同”Fit it”のバスドラの響き(ドラム表皮の振動の感触)、言うことなし。
そして”Breezin'”の効果音の広がりときたら、270°ほぼサラウンド的音場の形成だ。ギミックと知りつつ、たまらんなあ。

さらに聴く。ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団のRimsky-Korsakov:Sceherazade。

冒頭のゴジラ登場場面(と個人的に言うイントロ)の迫力はやはり圧倒的だ。その他のフォルテッシモでは流石にちょっと急峻な音形も耳につくものの、随所に「気づき」が用意され、新たな観点で楽しむことができる。

ヴァイオリンソロの弦と弓のこすれる音色が麗しい。

176.4kHzを聴くのは今さら初めてではなく、ハイレゾ音源には親しんできたつもりだが、今回の再生では何か新しい音の佇まいを感じるのだ。

今日聴く音は、音源別に形成された「音の膜」が、連続して多層的に押し寄せ、より緻密により強く波動を感じるのだ。

さらに、再生音域が間違いなく広がっている。

Sala Brightman ‶Harem”の表題曲に入る最低音域の打音が、今までは主に「空気の振動」として伝わって来たものが、今回はぎっしり中身の詰まった、「質量のある打音」として床を揺らすのだ。

こいつは病みつきになる。

じっくり腰を据えてCDを聴く週末。

f0068878_22150833.jpg



# by windypapa | 2018-08-28 11:27 | オーディオ | Comments(2)

ベートーヴェンのピアノソナタ#30に出会った夜

お盆を過ぎたら急に秋めいて過ごしやすくなった。
おかげで週末は冷房を切った板敷きの間で、窓を開けて風を楽しむ余裕。最高の贅沢。

庭ではバラが、サルスベリが、可憐な花を咲かせる。

f0068878_19115092.jpg

f0068878_19115546.jpg

このまま秋になるとは思えないが、束の間であれ、天の恵みを楽しもう。

さて先週の歌舞伎町セッションで、その筋の先輩に我が家のチャンデバ環境を説明しながら気づいた点が一つ。

ベリンガーは2chに分けるだけで(本来は3chの機能がある)、800hz以上は特設ネットワークで中高域を分離し、LE175と075に信号を送っているのだが、ベリンガーのカットオフをうっかり674Hzに設定していたのだ。

「何を今更」の基本的ミスだが、その時になって気がついたのだ。あー、恥ずかしい。

セッションの翌日、カットオフ周波数を800Hzに変更する。無電源のCR型チャンデバは720Hzくらいの設定なので、ヴァイオリンの音色などに感じる「きつさ」は別の要因だろうとは思うけど、一度コンデンサーの値を調整してみないといけない。

もう一つ、以前調整したCDトラポ、Ayre D-1の読み取りがまた「上滑り」するCDがボツボツ出て来たので、上蓋を開けてピックアップを再調整する。

前回は通常のドライバーで調整したが、ピックアップ側の調整ネジがPCなどに使われる星型ネジでうまく歯が合わず、マイナスドライバーでちょこちょこっと気持ち動かしただけなのであった。(^_^;)

以前Mac Bookを分解した時に使った特殊ドライバーがどこかにあったはずと探すこと約15分、あったあった、普段使わない納戸の棚の中のビニール袋の中に。

f0068878_19120393.jpg



早速D-1上蓋を開けて調整する。ペン型の柄に交換可能なドライバーの刃先を入れるユーティリティタイプだが、スペースが狭いので刃先だけ指で持ってネジを回す。二つある調整ネジのどちらかがよくわからなかったが、回していると外側のネジがDVD用と判明。(外側ネジを時計回りと反対側に回すと、普通のCDをDVDと認識するようになったためわかった。)

そこでDVD調整ネジを元に戻し、内側ネジを時計と反対回りに少し回してみると、ローディング〜STOP〜CDという表示速度が速くなり(読み取り速度が速くなった…のだろう)、PLAYボタンを押すと普通にカウンターが表示されていく。

これでよかろうと蓋をしてシステムに再セット。

CDをセットしてPLAYを押す。

うん?音が出ない。

あちゃー、デジタル出力を繋いでなかった。(・_・;

あらためてPLAYを押すと、うん、読み取りミスがなくなった。

しかも、なんだか音が濃くなり、エッジが効いて来たような。

いつも手前味噌で喜んでばかりだが、次から次にCDを聴いていく。

今までD-1と相性の悪かった(読み取りミスが頻発していた)エレーヌ・グリモーのBOXセットから、Beethovenのピアノ協奏曲#4に続き、#30ピアノソナタを再生する。

今まで気づかずに聴いていたケースは除き、それと意識して聴く、恥ずかしながら初めてのピアノソナタ#30の、雲の上を歩くような闊達で神々しい旋律と、雲間から差す陽光のような音色はなんだ。

「ながら聞き」用のノートパッドを脇によけ、リスニング用ソファの背に体を預けて硬直したように聴きほれる。

参ったなあ。こんな素晴らしいソナタがあったんだ。若き日のグリモーは、やはり吐息をマイクに入れながら「熱演」しているが、もはや吐息は不要。ピアノの音色だけが美しい。

ううむ、これはひょっとすると?と次にトレイに載せたのはコーネリアスのSensuousから"Fit it"

グッと音量を上げて再生する。

見事に復活しました。

ベリンガーでは「失われた」と思っていた、あの迸る鮮烈さが。ドラムスの表皮の振動が見えるようなリアリティと打音の表情・テクスチュアが。

なんというダイナミクス。満願成就だ。

f0068878_19120977.jpg


寝床についても興奮して寝付けない。おぬしは子供か?

翌日、昨夜の音が幻ではなかったことを確認するために恐るおそるシステムに火を入れ、同様の音を確認した時の安堵感。(慣れてしまうまでが楽しいのだ)

そこで欲が出て、取り外していた「特殊合金」製のケーブルをプリアンプとベリンガーの間に挿入する。

・・・オーマイガッ

すでに前にせり出していたはずの音が、一斉に3歩も前に出て、音数も音量も上げた豪華絢爛の音響絵巻を展開し始めたではないか。

音の出足は全盛期の白鵬か千代の富士かという鋭さで、頰に当たる音の迫力はシカゴベアーズのレジェンドLB、ブライアン・アーラッカーの突進のようだ。

しかも全くうるさくない。

いや、参った。白旗。降参。

問題は、このケーブルは自分のものじゃないということだ。笑

夕方には犬を連れて近所の公園へ。おいおい、引っ張るなって。

f0068878_19121448.jpg

f0068878_19121849.jpg
涼しげなヒグラシの声。森に響く。

# by windypapa | 2018-08-19 19:17 | オーディオ | Comments(0)

草履を履いた鶴

お盆で帰省した家人の留守を守り、犬と静かな盆休みを決め込もうとしていたら、長男と三男が押しかけて来た。
うー、静かにレコードと読書を楽しむ盆休みの計画は消えた。まあ、賑やかでいいやね。

家人に代わって庭木の水遣りも欠かせない。いつもはわんわんと群がる薮蚊も今年は暑さで元気がない。笑

そうそう、ブルーベリーの収穫も忘れてはならじ。

f0068878_14423206.jpg

うーん、朝のヨーグルトに入れて食べると美味いのだ。

さてさて、復活したREVOX A77のダイナミックな音の話は残回触れた通りだが、ヴァイオリンの音が少しきつい。

別のソフトを聴いても同じなので、REVOXをNAGRAに代えて聴いてみるが、傾向は同じ。

しかし改めてNAGRAの音の素性の良さに唸る。ううむ。お主、やるのう。

ところでNAGRAは1モーターの悲しさで、FF, REWがゆっくりしているところが遣る瀬無い。回している間、中途半端で何をしていいかわからん。

その点強力3モーターのREVOX A77はこぎみよくテープを送るので、ついつい贔屓にしたくなるのだが、こうしてみるとやはり音質は断然NAGRAだ。

いやいや、そんな比較の話じゃない、ヴァイオリンの音がきついんだって話。

オープンリールの「荒ぶる」音とEROチャンデバの「ゾリッ」とこれまた荒ぶる音ががっぷり四つに組んで、一歩も引かずに我を通す。

シフのピアノの音こそくっきりと際立つ美しさだが、ヴァイオリンパートのギスギス感はどうにかしたい。

ここはひとつ、ERO君に代打を送ろう。バッター、エルンストレーダーシュタイン君に代わって、ベリンガー君。背番号、2496。

ベリンガーのちょっと冷静な美音効果に期待して、えっさほいさと汗を流してアンプの裏の結線を変更する。ふう。

さてと、出で来たる音は…おお、狙い通りだ、NAGRAと喧嘩せず、よく折り合いをつけているじゃないか。

前回感じたもどかしさは後退し、なぜかメリハリも結構ついて来たような。

念のため、テープを止めて「鬼門」のコーネリアスのCD"Sensious"から"Fit Song"を聴く。

おや、これはこれは。軽快なギターリフの後に打ち出されるドラムのキレ、いい線いっているじゃないか。続くバスドラムもなかなかにズシンとこぎみ良い振動を伝えてくるぞ。

前回感じた「一歩前へ」のもどかしさ、色彩感の不足は、後退した?

思うに、路面を選ばない全天候型タイヤがベリンガーとすれば、EROはコーナーギリギリを高速で駆け抜けるレース用タイヤなのかもしれない。

ソースを選ぶが、ツボにはまるととんでもない音を叩き出す。

その音は忘れ難いものだが、ヴァイオリンの音色はnot acceptableなのだ。

ここはこちらも大人になって、しばらくベリンガー君と縁を戻すことにしよう。






# by windypapa | 2018-08-13 14:43 | オーディオ | Comments(0)

REVOX A77の帰還

「命に危険な猛暑」に対する注意を喚起するテレビ局が平然と放送する高校野球が今年も開幕し、球児たちが「命がけ」で球技に打ち込む毎日が始まった。

高校生諸君が炎天下で野球に興じているのに、サラリーマンが会社を休むわけにはいくまいと、こちらもせっせと通勤する毎日だ。

お互い辛いなあ、ご同輩。

さてさてDACのワイヤーを交換したりチャンデバがどうのこうのと騒ぐ一方、他の「回転系」のメンテも怠るわけにはいかない。と、久々に動かしたREVOX A77 4Tr機の調子が今一つ。

テープ走行にムラがあり、お気に入りのシフのモーツアルト協奏曲がうまく再生できない、どころか、ピンチローラーのところでテープが波打ち、しまいにはキイキイ鳴きだした。

これはいかんとかかりつけのエンジニアに相談すると、ピンチローラーを市販のクリーニング液で過剰にクリーニングすると、ゴムが劣化する場合がある、というお話。

再生前にヘッドとピンチローラーをクリーニングしたときに、馬鹿力でぐいぐい拭いたことがオツムに点灯。

あわててピンチローラーを点検すると、たしかに表面に凹凸が発生している(◎_◎;)

己の無知を今さらながら恥じ入りつつ、エンジニアにピンチローラーとその他点検を依頼し、下記の項目を調整されて過日、REVOX が我が家に戻って来た。

以下、調整の明細とその写真。エンジニアさんから送られたメールからの無断転載…m(__)m

  項目 点検、実施 調整など 交換、備考
現状確認        
  VUは左右同じだが再生実出力が違う Lch5dB低い 調整  
  VUは左右同じだがSOURCE実出力が違う Lch4dB低い 調整  
  録音出来ない L,RともNG 調整 及び録音ヘッド磨き込み
  ワウフラッター不安定 測定値が読めない   ピンチローラー交換
  録再周波数特性盛り上がり 19cm Lch NG 調整  
  録再周波数特性だら下がり 19cm Rch  調整 問題ではないが
  録再周波数特性高音下がる 9.5cm Rch ややNG 調整  
  録音音に揺らぎがある 400Hz時 NG   ピンチローラー交換
  メーター直線性が悪い LRバランス 音量小の時アンバラ   メーターの実力か?
  ピンチローラーが凸凹     ピンチローラー交換
  電源スイッチが抜けやすい 締めリング欠品   不織布、アセテートテープで対策
         
         
クリーニングと磨き、注油      
  ビス磨き 問題なし    
  つまみ汚れ やや汚れ クリーニング  
  キャプスタン磨きこみ やや汚れ クリーニング  
  リール台磨き込み やや汚れ クリーニング 汚れ落ちない
  パネルくすみ やや汚れ クリーニング  
  RCA端子くすみ 黒化くすみ 磨き込み 完全には綺麗にならない
  ヘッドくすみ くすみ 磨き込み  
  テープ走行経路磨きこみ ほぼ問題ないが クリーニング  
  ウッドケース艶落ち   ワックスがけ  
モーター、回転系、操作系      
  長期運転での停止有無 問題なし    
  回転ムラ 19cm 0.04%~0.05%変動 0.03%で安定 ピンチローラー交換後安定
  回転ムラ 9.5cm 0.09%~0.09%変動 0.03%で安定 ピンチローラー交換後安定
  回転異音(モーター) 問題なし    
  回転異音(カウンター) 問題なし    
  回転異音(リール台) 問題なし    
  早巻時バックテンション弱い 問題なし    
  テープスピード 問題なし    
ゴム部品とブレーキ      
  カウンターベルト変形 問題なし    
  ブレーキ点検 問題なし    
  ブレーキパッド必要時交換 問題なし    
  ブレーキ駆動メカ 問題なし    
電気部品交換(必要に応じ)      
  PLAYヘッドアンプ劣化 問題なし   ノイズスペクトラム確認
  PLAYアンプアンプ劣化 問題なし   ノイズスペクトラム確認
  RECアンプアンプ劣化 問題なし   ノイズスペクトラム確認
         
電気調整      
  調整用半固定ボリューム 問題なし 再調整 交換済だった
  安定化電源電圧 問題なし    
  再生周波数特性   再調整  
  録音周波数特性   再調整  
  Biasレベル確認 NG f特要改善 再調整 19cm、9.5cmそれぞれ不適改善
  回転数安定度 問題なし    
  VUメーター振れ幅調整   再調整  
  VUメーターゼロ点左右バランス 問題なし    
  PLAY出力レベル調整   再調整  
  SOURCEモニターレベル調整 問題なし    
  REC時ノイズ 問題なし    
  スイッチ接触改善 問題なし    
  RCAジャック ガリノイズ改善   磨き込み 接触不安定抵抗は改善した
  歪、ノイズ、周波数特性最良状態確認 整備後問題なし    
  ヘッドホン出力 問題なし    
  マイク端子ノイズ確認 問題なし    
総合チェック(整備後)      
  アンプに接続して音出し確認 問題なし    
  FFTにて周波数特性確認 問題なし    
  スペアナにて周波数分析 問題なし    
  LINE入力録音確認 問題なし    
  MICにて録音確認 問題なし    
  スイッチ類操作チェック 問題なし    
  長期動作での発熱チェック 問題なし    
  長期動作での安定性確認 問題なし    


f0068878_11471569.jpg
交換したピンチローラーの新旧比較


f0068878_11462140.jpg
19㎝/secの再生周波数特性の新旧比較

f0068878_11492879.jpg
9.5cm/secの再生周波数特性新旧比較


手持ちの仕事がある中、割り込みに近い形で調整を引き受けていただき、しかも上記のように綿密に根を詰めた作業をしていただいたエンジニアのOさんにあらためて感謝の意を表したい。

戻って来たA77は外観もピカピカに磨きがかけられ、心なしか誇らしげ♪だ。

かくして蘇ったA77で、シフのモオツアルトを聴く。

オーバーホール前の低域にやや偏ったバランスが是正され、すっきりした聴感だが、デジタルファイルとはまた違う、格別なテープサウンド。

Welcome Back!




# by windypapa | 2018-08-10 13:17 | オーディオ | Comments(0)

仁義なき戦い 鶴は草履に敵わない

立秋を迎えるやいきなり涼しくなったり台風が来たり。

おかげでエアコンなしに三晩眠れたので文句はないけど、情緒もなにもない慌ただしい天候になったものよ。

さて海王星君、もといチューンアップされたベリンガーDCX2496君のエージングはいかが相成ったか。

f0068878_20021113.jpg

上蓋を開けて中身をご披露しよう。

青い矢印部が交換したクロック部で、黄色い◯がその電源部。

上段水色の□がアナログ入出力基板で、すべてのチャンネルのオペアンプが交換されている。(たぶん裏側)

右側の赤い□枠内が電源部で、DCノイズフィルターが取り付けられ、コンデンサーには「炭化ケイ素質系の粒状の研削砥石」がブチルゴムを介して貼り付けられている。

下はクロック(黄みがかった基板)とその電源部(青色の容器)の拡大
f0068878_21540660.jpg
内部パーツフェチ?には期待を抱かせる写真でしょう?

さてその音。

エージング開始後2日目にしてほぐれてはきたものの、中域のフォーカスがなんとなく決まらない、モヤモヤした感じが残る。

そこであらためてERO(エルンストレーダーシュタイン)コンデンサー使用のチャンデバの計算上のカットオフ周波数を計算すると、

C(=0.022µF)=100/6.28×f

から、f=100/0.022×6.28=724Hz が導き出される。

ベリンガーのそれは約800Hzに設定していたので、コントローラーを左右に回してみる。と、音がそれに応じて変化するのが面白い。

このあたりがデジタル可変式チャンネルデバイダーのメリットで、実地に試聴しながら自分のSPシステムに聴感上最適なカットオフ周波数を導き出すことができるのだ。

結局EROとほぼ同じ約740Hzあたりに落ち着き、あらためて試聴すると、中域のモヤモヤ感は減退し、すっきりとした音場が広がった。

この状態で聴くシューベルトのArrangementsは素晴らしい。

やはりベリンガーに「追っかけ投資」をした甲斐があったなあ、と納得する「美音」だ。

チューニングは吉と出た。

f0068878_14182998.jpg


何枚かデジタルソースを聴いてシアワセな気持ちになり、これで行こうと気持ちを固めつつ、念のためにコーネリアスの‶Sensuous"を試聴したのが運の尽き。

ガラガラと幸福感が崩れ去った。(-_-;)

1曲目"Sensuous"は良いとして、2曲目の"Fit Song"でGapが露見する。硬質なギターリフに続いて切り込んでくるバスドラム(あるいはフロアタム?)の響きが、重く、表情が淡泊だ。

空気の振動が、音符の飛沫が、飛んでこない。

トイレの表示ではないが、「一歩前へ」出てきてほしい。

記憶違いを疑い、EROチャンデバに切り替えてみると、一聴してダイレクト感あふれる音が迸り出る。

Fit Songのドラムスの「キレ」、表皮の震える様子、空気の振動が、ビシッと飛んでくる。

なんてこった。参ったなあ。

誤解を招かぬように言っておくと、ベリンガー改の音は、素晴らしい美音である。

EROチャンデバの音を聴かずにいれば、迷うことなく我が家に定着していたはずの音だ。

しかし、EROチャンデバと比べると、ストレート感・ダイレクト感が減退し、「加工された」「磨きをかけられた」音に聞こえてしまう。

やはり、A/D変換→デジタル回路→D/A変換という工程を通る上で、オペアンプの「音」が乗って来ているのかなあ。

「お前の拘る『ダイレクト感』や『空気の振動』なんてものは幻想にすぎない」という冷静な声も聞こえてくるが、LCRフォノ付きプリアンプの音を初めて聴いた時の「ゾリッ」とした感覚が、同類のEROチャンデバと強烈に惹きあうのだ。

うーむ、致し方ない。ひとまずEROチャンデバをメインとして再生してみよう。

かくしてエルンストレーダーシュタインが新たな調教師の職にありついたのであった。

ツルツル(鶴)よりゾリゾリ(草履)、ってか。



さてさて、そんな我が家にやって来た、ConeriusのLP, ‶Mellow Waves"だ。

f0068878_21541900.jpg

まだ1面しか聞いてないけど、なかなか素晴らしい録音だ。

でも曲の好みは、やはり”Sensuous"に軍配、かな?





# by windypapa | 2018-08-09 16:49 | Comments(0)

海王星 Nebu Tune あらわる

連日の猛暑にはうんざりだが、その暑さのおかげで今年は桃が旨い。

近所のスーパーマーケットに並ぶ桃に満足できず、以前お願いしたことのある長野県小布施町の農家からひと箱取り寄せる。
送ってもらったのは「あかつき」で、段ボール箱から漏れる甘い香りに誘われ、冷やしたものを早速いただくと、その瑞々しさに、涼やかな甘さに、言葉を失う。

ヨーグルトをかけていただくのもよいが、やはり生のままでいただくのが口に嬉しい。

至福。

さて、そんな夏のある日の朝、ベリンガーがふらりと帰ってきた。
北陸の根布産業という工房でチューニングしていただいたものだ。

チューニングの第一のミッションはノイズの低減で、①入出力回路の改良 ③電源回路の改良を対策としてお願いしていた。
 
スイッチング電源を使用する電源部は、リニア電源まで手を広げずに、DCノイズフィルターとGC#16というチューニングで対策してもらった。http://av-nebu.com/gc16.htm

具体的には、供給される+3.3V、+5V、+9V、+15V、-15Vの電源を計測し、特にノイズが見られなかった+15V、-15Vを除いた他の電源にそれぞれDCノイズフィルターを取付けて、GC#16という炭化珪素質系の粒状の研削砥石の一種で、電磁波(ノイズ)を吸収して熱に変える作用のある素材をコンデンサーの頭に貼るなどのチューンを実施したということだ。

アナログ入出力回路については、デフォルトのオペアンプNJM4580に代え、入力用はOPA1612、出力用はLT1364を実装。それぞれ定評のあるオペアンプらしい。

±50ppm程度のものが使われていたクロックは、高精度な±0.28ppmTCXOに交換し、クロック専用電源も実装。
因みに海外サイトで採用するFemto Clock(CCHD-957)は、±25ppmレベルとのこと。

うーん、チューニング内容を読むだけで満足してしまいそう。(笑)

夕食後、早速セッティングし試聴する。過去設定はDCX2496のRECALLボタンを押して呼び出せた。便利なり。

システムに火を入れ真空管が温まるにつれて最初に気付くのは、ノイズレベルの低さである。
recallボタンで以前の設定に戻しているが、入力レベルはデフォルトの0に戻っている。

チューニング前は入力レベルを-7.5db落とし、無信号時の残留雑音を下げ、その分プリの出力を上げて補完していたが、今夜は入力レベルがデフォルトの状態で、SPから約2.5m離れたリスニングポジションでホワイトノイズが聞えまてこない♪

代役を務めたエルンストレーダーシュタイン搭載の無電源チャンネルデバイダー(6db/oct)ほどのレベルではないが、チューニング前と比べてノイズは1/10以下(聴感)に下が り、オーディオユースに十分に耐えられる品質となった。

さて肝心の音はどうか?
Mats Bergstromのアルバム”Shubelt Arrangements”からヴァイオリン・ソナタ ニ長調op.137を聴く。

f0068878_14182998.jpg

一聴して、音の傾向が変わっていることに気付く。
所謂「美音」系の音だ。
きれいに整理され、SPの横と背後に広がる見通しの良い音の系統だ。

しかしまだ「ほぐれて」いないため、サウンドステージの広がりは今一つだ。

続いて、ソプラノMiah Perrson×スウェーデン室内管弦楽団によるMozart "Soprano Arias"からSchon lacht der holde Fruhling, K. 580 、

f0068878_14184323.gif


そして我が家の定番Anne Sofie von Otter meets Elvis Costello "For the Stars"から"No Wonder", "This House Is Empty Now", "For The Stars"、

f0068878_14185856.jpg


また、最近のお気に入りQuincy Jones & Sammy Nestico Orchestra "Basie and Beyond"から"Ya Gotta Try...Harder!", "Grace", "The Joy Of Cookin"を聴いていく。

f0068878_14192409.jpg

オペアンプが温まるにつれ、音場が広がり、躍動感が出てきたが、低域にはまだ「遠慮」があるし、音の瞬発力、音が飛沫のように飛び散る様はまだ感じられない。

音質的にはもう少しエージングが必要であることは明白だが、それでもオペアンプ交換の効果は十分に感じられる。
音質が以前の「直だし」的な「粗にして野」なものから、洗練された、「ハイエンド」方向にシフトしていることが伺える。

僕はハイエンド的な音の信奉者ではなく、音のエネルギーや臨場感を大事にする方向なので、このままベリンガー改の性質がメインに出てくるとちょっと困ったことになる。

しかし、そこはそれ、入力側に控えしWestern Electric×Siemens ヴィンテージ管球プリがこのまま黙っていることは無く、むしろ両者が融合することでどのような音が出てくるのかが楽しみなのである。

もうひとつ、クロック交換効果と言えば、音の立上がりと「立下がり」に曖昧さがなくなり、滲みが少なくなったことが挙げられる。

エルンストレーダーシュタイン搭載チャンデバの、鉈で割ったように直截な、エッジの効いた音も好ましいが、あまりにプリ・パワーの素性をそのまま出されると、ちょっと耳疲れもしようというものだし、例えばBeatles後期アルバムのエフェクターをかけたジョンの声や、ベートーベンの弦楽四重奏のVnパートの一部音階の音に、ややキツさを感じることもあったのは事実なのである

チューンドDCX2496に可能性は十分感じられたので、しばらくエージングを加えながら、音の変化を愉しもうではないか。




# by windypapa | 2018-08-02 14:26 | オーディオ | Comments(0)

辛子蓮根とCR型チャンデバに心揺さぶられる

昨日は日帰りで福岡出張。旧知の元同僚に会い、感慨も深い。

夕方、FLTまでの合間を縫って中洲に繰り出し、喉を潤す。

f0068878_10523295.jpg
那珂川の夕日


f0068878_10522882.jpg

博多ならではの味、辛子蓮根、イカそうめんなどを肴に一献。クーッ、うめーなあ。

帰宅は深夜。ああ、疲れた。

翌日は折からの台風接近で自宅に籠り、チャンネルデバイダー の工作の続きにとりかかる。

ネット上で見つけた回路図を実体配線図に書き写し、作業にかかる。

f0068878_18165242.jpg

配線ケーブルにはWestern Electric社製ワイアーを。

f0068878_18165702.jpg


RCA端子への接続も完了。

テスターで導通確認してから上箱を閉じる。


f0068878_18171185.jpg

レタリングはしていないが、まあいいだろう。僕にしては上々の出来上がり。

一方で本命のDCX2496の改造を依頼した工房からは、順調に作業が進行している旨、レポートが入る。

つまりこの6db/octのCR式チャンネルデバイダーは、リザーブ扱いってこと。

そういうわけで、組み上がっても気持ちに焦りはない。午後、頃合いを見て地下室に入り、ベリンガーがいなくなって接続が切れたシステムに組み入れて音を出す。

DELAにストックしたデジタルソースをESS9018DACで再生する。

・・・まず気づくのは、SNの良さ。ノイズが無い!

むくむくと湧き上がる期待を抑え、最初はいつもの試聴盤、コステロ&オッターのFor the Starsから“No wander”を聴く。

・・・!!!

息を飲んだ。

一皮も二皮も剥けたような、ダイレクトでフレッシュな音が飛び出してきた。

同じアルバムから続けて"Go Leave"と"For The Stars"を聴く。

6dbの緩やかなスロープから、互いの帯域が干渉するのでは無いかと危惧したが、幸いなことに気になる「かぶり」は聞こえない。

続いてカラヤン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団のカバレリア・ルスティカーナから「讃えて歌おう」と「間奏曲」を聴く。

ううーむ。これは・・・。

いつも自画自賛で数少ない来訪者を辟易とさせているが、ソースとプリアンプの素性がそのまま出てくる再生音に耳が、心が洗われる。

いつもは聴かない「やあ、皆さん」「母さん、あの酒はいい酒だね」まで再生し、その臨場感にゾクゾクする。

あとはもう、次から次へとお気に入りのソースを再生して行く。

海神無線のご主人の言葉に嘘はなかった。笑

エルンストレーダーシュタイン万歳! 

しかし参ったなあ。最初からノイさんのいう通り、CR型6db/octを自作しておけば煩悩が膨らむことはなかったのに。

これはベリンガー氏が帰還しても、果たして席は残されているのか、甚だ疑問だぞ。

どーする?ベリンガー!




# by windypapa | 2018-07-28 19:30 | オーディオ | Comments(0)

好きな音楽やスポーツの話題


by windypapa
プロフィールを見る
画像一覧
通知を受け取る