久しぶりにアナログのおはなしでも

先々週末の同好会のお題は音楽配信サービスで、QOBUZによる実演を体験した。試聴で使ったシステムもよく調教されていたことから、高いレベルの音を体験できたが、ディジタル再生の歩みの速さや配信元サービスの信頼性(継続性)を考えると、これと定めて自分のシステムに固定化することは躊躇われてしまう。まだしばらくはDELAとCEC TL3.0で満足することにしよう。え?QOBUZのSubscriber Feeが高くて二の足を踏んでいるだけだって?ははは、バレたか。

それもそうだが、CEC TL3 3.0とPhilipsの16bit チップTDA1541A DAC(ファインメットワールド製出力トランス搭載)の音が、我が家では美しくも力強く迫ってきて、ほかを考える必要がないのだ。

ファインメットトランスにより微細でいながら濃い描写力が刷り込まれた信号を、Mark Levinson ML-1とML-3コンビで強力に増幅し、TAD1601aウーファーをその再生限界?までグイグイと鳴らすので、聴いていて愉しいことこの上ない。

唯一頭を悩ませていた微細な残留ノイズも、パッシブチャンネルデバイダー 内部配線の「芋はんだ」による接触不良の修正(~_~;)と、それ自体をノイズ源である他機種類から離すことで気にならなくなった。


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アイソレートされたチャンネルデバイディング・ボックス。

気がつけば当たり前の原因に、辿り着くまでの道程の長いことよ。

さてそれでは何もかもがうまくいっているのかと言えば、さにあらず。アナログ再生のほうは、いくつかツボに嵌れば目の覚めるような演奏を再生する円盤こそあれ、選り好みすること甚だしく、特に50年代以前の録音盤やその復刻盤との相性には首を傾げることが多くあった。今年我が家に一時的に身を寄せていた(笑)SMEのフォノイコも、そんな悩みを解決するに至らなかった。


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そんな時(年末)に例会で聴いたイコライザーカーブ&ロード可変型フォノイコライザーは目から鱗の発想で、古い録音特有の薄っぺらくキンキンした音が見事に蘇る様が頭にこびりついて離れなくなった。
といって製作者のようにMM型カートを主軸にフォノイコで自分好みの音に仕上げるというところまでは割り切れない。
いや、また誤魔化した。笑
導入を踏み切れない1番の要因はコストなのだ。同様のものの製作を依頼すると、当たり前だが相応の金額が必要になる。

それにヴィンテージWE管によるLCRイコライザーとML-1備え付けのフォノイコの立場がなくなるじゃあないか。

なんてことをウダウダ考えながら、手頃にイコライザーカーブ可変ができるフォノイコをネットを検索していたら、あるじゃないですか。iFi AudioのiPhono 2。
36dbから72dbまで4段階のゲイン切り替え、8種類のMCロード切り替えに加えて、Columbia, Decca, RIAA, eRIAA, IEC, eRIAA+IECの6種類のイコライザーカーブ切り替え機能を有し、85dbのSN比を確保して8万円を切る価格。
それでも二の足を踏んでいるうちに太平洋の向こうで半額近いUSED品を見つけ、ようやく入手したのが2月の後半。

梱包を開けて出てきたのは、小学生の筆箱くらいの大きさのガジェット。正直言って我が家の猛者どもに相応しいとはとても思えない。

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あーあ、またやってしまった。安物買いの銭失い。
しょうがないなあ。ともかく音だけ聞いてみよう。

繋いで、音を出して、驚いた。ビックリマークが30連続するくらいのビッグ・サプライズだ。
それもデフォルトのRIAA設定での試聴でだ。
iPhono 2の音の良さを強調すると、いかに我が家のアナログ再生レベルが低いか、お里がしれてしまうので本当は書きたくないのだが、この期に及んで低い鼻をへし折られても構うものか。笑
iPhono 2の音は素晴らしい!特にLyra ArgoやZYX Atmosなどワイドレンジでエッジの効いた現代的カートリッジとの相性が抜群で、今まで何を聴いていたのかと思うような新鮮な喜びが聴覚を満たす。
まるでメジャーリーグに彗星のようにデビューした高卒ルーキーピッチャーが、並み居る強打者をバッタバッタと三振に打ち取るかのようだ。

低出力に泣いていたOrtofon SPU-Gも、72dbのゲインでは余裕すら感じさせる歌いっぷりである。今まで実力を見くびっていたことを素直に謝ろう。
しかし何と言ってもLyra Argoとの相性が抜群なのである。そんな躁状態でレビューなんて書きようがないでしょう?笑

だから、1週間の出張から帰ってシステムに火を入れたときは少し緊張した。あの音が無くなっていたらどうしようかと。
よくあるじゃないですか。一時的に舞い上がっても、冷静に聴き直すとそれほどのこともなかったかなあ、なんてことが。
でもね、ちゃんと美味しいところが残っていたんだよ。まったく、貧しきものにも神様は施しを与えてくれるというものだ。

続く。


# by windypapa | 2019-03-17 17:52 | オーディオ | Comments(0)

しつこく旅日記 新嘉坡編

「洋行の自慢話はいい加減に切り上げて、アホなオーディオ話にはよ戻れ」という巷の声を無視するように(^.^)、膝栗毛を続けよう。
今週はシンガポール道中記。
一応仕事なので(^_^)自由時間には限りがあったが、高校・大学の同級生に会ったり、関係先と親密な会食の機会があったりと、それなりに充実した一週間であった。

いい歳して初めてのシンガポール。と言ってもマーライオンと屋上に大きなプールが乗っかったホテルしかイメージがわかない。^^;

到着したチャンギ空港といい、ダウンタウンといい、噂には聞いていたが塵が少なく、清潔で好ましい。治安も良く、街中を歩いていても旅行者を品定めするような胡乱な視線にもまず出会うことはなかった。
といっても宿泊したチャイナタウン界隈は、それなりに猥雑さが残るが、それでも小さい子を連れて歩けるようなレベルのものだ。

高温多湿と聞いていたが、ほとんど会場ホテル内にいた(冷房が寒い)今回は、あまり暑さを感じることはなかった。

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カンファレンス会場のベイフロントから眺めた金融街の眺め。

カンファレンス会場となったマリナ・ベイ・サンズ・ホテル。例のアレだ。

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1階と地階は高級ブランド店が並ぶショッピングモールとカジノで構成される人工的な美を追求した街づくりはラスベガスを連想させる。

3日間缶詰のカンファレンスだが、高級ブランドに縁も興味もなくギャンブル運もない^^;こちとらは昼休みも暇を持て余すのみ。

夜はホテルから運河を渡った先の大観覧車でディナークルーズ。観覧車には初めて見るような大きなボックスがついており、予約すると中でフォーマルなディナーコースを味わうことができるのだ。ひえー。
一周30分を2周回って約1時間の絶景ディナーを楽しんだ。

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手前で紫色に光っているのが観覧車のコンパートメント。中はこんな感じで宴会。笑


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最終日は地元パートナー企業を訪問し、英軍キャンプ跡地のレストランLong Beachでシーフードをご馳走になる。巨大な生簀の中にカニがワンサカ蠢いている。

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で、出てきたのがこちら。カニのチリソース和え、というかカニはチリソースにどっぷり浸かっていて、余ったチリソースは揚げパンにつけて食べるもの。


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お次は胡椒とガーリックがたっぷり塗されたボイル蟹。プレデターの成れの果てか。


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カニもさることながら、ほかの料理も旨かった。下は米粉を平たく伸ばした麺で作った中華風の料理。


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いや、遊びに行ってたんじゃないですよ。1日中他国の言語漬けで頭の中がヘトヘトになって、ディナータイムはその充電期間のようなもの?

かくして駆け足のシンガポール紀行はおしまい。次回は再び地下室にご案内することになるでしょう。たぶん。笑


# by windypapa | 2019-03-15 08:35 | 日々是好日 | Comments(0)

花の都で大団円

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旅の締めくくりはパリ。といっても一泊だけのトランジット泊のようなもの。駆け足で楽しもう。

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Avignonから午後3時過ぎにParisリヨン駅に到着し、CK IN。その日運良く閉館時刻が遅いオルセーに向かう。駆け足で巡って来たプロヴァンスの色彩と陽光を、印象派の作品の中に見つけに行こう。

限られた時間なので、印象派とポスト印象派の展示に絞って鑑賞しよう。
マネ、モネ、ルノワール、ドガ、セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホ・・・5時過ぎの遅い時間帯ということもあるのか、思ったより少ない鑑賞者の中で、一つ一つゆっくりと訪ねることができた。

僕は今まで印象派のぼやっとした(失礼)絵画に馴染まず、特にルノワールの描く裸婦は、写真や印刷物上では、ふくよかな体形が明るい色彩でさらに膨張して見え、ウンザリするのが常であったが、対比する形で展示される都会と田舎のダンスや、屋外舞踏会など実際に作品を間近に鑑賞すると、そこに盛られた絵の具が立体感を持って迫ってきて、移ろう陽光と色彩にとどまらず、その場の臨場感まで見事にとらえられていることに、感嘆せざるを得ない。

ベルト・モリゾを始め、この人の描く黒衣の女性像は非常に魅力的だが、今まであまり興味が惹かれなかったジョルジュ・アルトマン夫人の絵に惹きつけられる。絵のサイズもさることながら、その黒の色表現の多彩さと、タッチ(背景の黒いピアノも、光沢感を敢えて出さず、夫人の黒衣と同じ「肌ざわり」にして、画面全体の色調を支配させている)によって、なにか蠢いているような感じがじわじわと漂ってくるのだ。

また、名前も知らなかったギュスターヴ・カイユボットの「床に鉋掛けをする人々」。画面に溢れる光と影のコントラスト、3人の若者の肉体の躍動感につかまり、絵の前から容易に立ち去ることができなくなった。

いくつもの名画が惜しげもなく姿を晒す、なんとも贅沢な空間と時間。たった一日だが立ち寄ってよかった。

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ホテルも思い切ってデコラティブな部屋を取った。「これって日本人にとって”不自然な和風部屋”の逆バージョンかしら」と言いながらも家人喜ぶ。


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最後の晩餐は、ホテルの近くで賑わうカジュアルなPortugal Cuisine Restaurant "Pedra Alta" http://www.pedraalta.pt/galeria.aspx?idcat=22&pag=1でSea Food。陽気な給仕長とスタッフの笑顔が気持ちよい。

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鍋ごと供される魚介類のスープのリゾット。最高に美味かった。

さらば、パリ。またこれるかなあ?

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# by windypapa | 2019-03-03 13:54 | 日々是好日 | Comments(0)

アルル ジョゼフ・ルーランを探して

旅行から帰って1週間経ち、時差も解消したが、何やらクシャミと鼻水が出る。幸い花粉症とは縁のない生活を送ってきたが、どうもおかしい。花粉症と長い付き合いの家人は、プロヴァンスで舞っているらしい何かの花粉にいち早く反応していたが、さては舶来ものを安直に受け入れるこのワタシにも彼の地の花粉が刻印を押したのだろうか?
かかりつけの内科医に症状を申告すると、喉だけ診て「ああ、風邪じゃないわね、アレルギーの薬を出しましょう」と速攻の診断。相応の検査を覚悟していたのに、肩透かしを食らった気分。(笑) でもさっさと薬を処方してくれるのがこの先生の良いところ。

仕事に戻ると、あっという間に日常に埋没し、旅行の記憶も遠くなる。早々に絵日記をまとめておこう。

さてアルルである。2月20日にAvignonからローカル線日帰りの旅に出た。アルルと言えばゴッホ、ローマ時代の史跡、ビゼーの組曲「アルルの女」を思いうかべる人、いろいろでしょうが、それらを勝手に総合し、「情熱的で、乾いて(渇いて)、古代の香りが残る少し怠惰な街」というイメージを携えて彼の地に乗り込んだ。

しかし到着した駅の駅舎はこの通りの小さな街。

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閑散期ゆえか、駅前もひっそりと静まり、運行しているはずの旧市街へのバスも、やって来る兆しがまるでないので、温かい陽気にほだされて歩を進めると、すぐにローヌ川沿いの道に出る。

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ここはゴッホの「ローヌ川の星月夜」が描かれた場所という銘板に足を止め、川を眺める。うーん、見ての通りの普通の風景だが、夜になれば絵のように盛大な星空が浮かぶのだろうか。

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さらに数分歩くと、もう旧市街の城壁跡に辿り着く。

城門の外側で開かれていた、肉、野菜、魚、パンなどの食料品に、小物雑貨、ナイフ、椅子の修理などお馴染みの商品が並ぶ朝市を冷やかして旧市街に入り、コロッセオに向かうと、路地の奥からその雄姿が現れる。

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6つの観光スポットへの入場が可能なセット券を購入し、入場する。ローマのコロッセオのような行列もなく、先客のグループが2,3あるだけの、喧騒とは無縁の闘技場。

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ガイド本によれば、カエサルとポンペイウスの争いに、マルセイユは後者に、アルルは前者につき、その結果コロッセオを始めとする様々な施設がこの地に建設され、小ローマの様相を呈したとのこと。

ツワモノどもが夢の跡か。

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コロッセオ最上段からの展望。


闘技場の次は隣接する古代円形劇場跡へ。こちらで出会ったのも入れ替わりで出ていった観光客一組とゴミ清掃員のみ。

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半円形に展開する客席がわから舞台を撮った写真。背景のコラムの跡から当時の荘厳なローマ建築が偲ばれる。

その後サン・トロフィーム教会とその回廊を経て、現市庁舎と市庁舎前広場の下に広がる地下回廊を見学。

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上着を脱ぎたくなるような暖かい日差しに包まれていたが、石造りの教会の中はひんやりと冷たさが残る。

最初分からなかった地下回廊への入り口は、現市庁舎内にあった。

階段を降りると、冷気と暗闇に包まれる。日本ならあるはずの説明プレートや照明はなく、採光部からの明かりを頼りに歩くが、内側の部屋には採光も届かず、心細い照明が灯るのみ。

写真は採光部の1スパンだが、この幅のものが左側に1スパン~2スパン広がり、コの字型に展開する巨大な地下空間だ。

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カタコンベ跡かと思えばさにあらず。地下の市民フォーラムとして利用されていたというから驚きだ。

地上に戻ってほっとする。

そこからちょっと気の利いたショップの並ぶ通りを抜けて、コンスタンティン帝公衆浴場跡へ。こちらも我々以外に訪問者もなく、猫が一匹昼寝をしていた。

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静かな午後。

情熱的なアルルの女に会うことも、ひげを蓄えた郵便配達夫に会うこともなく、暖かな日差しを受けひっそりと佇むローマ時代の遺構を一回り巡る旅であった。


# by windypapa | 2019-03-02 11:59 | 日々是好日 | Comments(0)

ダイアン・レインとポン・デュ・ガールへ


Avignon滞在2日目は、プロヴァンス地方の特徴を体現する、自然豊かで丘の上に鷹の巣のような集落が聳えるリュベロン地方を日帰りツアーで訪れた。フランスの美しい村にも常に上位に選ばれる美しい景観が特徴だそうだ。
Avignonから車で2時間弱、Avignonとはまた違う石積みの外構と外壁の家が目立つ住宅地を抜けていくと、眼前に代表的な鷹の巣村、Gorde(ゴルド)が現れる。

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一目見て、ブリューゲルのバベルの塔を思い起こす。あるいは天空の城。絶景である。

毎日晴天、特に昼前からはとても2月とは思えない、日本の5月並みの陽気に恵まれているのだが、午前中は流石に寒い。
特に丘の上に吹く風は冷たくて、鼻水をすすりながら街を散策する。

街の中心にして丘の頂上にあるルネッサンス時代に建てられたという城。
そもそもなぜ鷹の巣のような集落を築いたかというと、イスラムなど外敵の侵入を阻むためということで、必定「城」がその要となるわけだ。

窓が少ないのは、戦術的な必要もあろうが、寧ろこの地方独特の強風ミストラルから建物を守るためかもしれない。


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傾斜が急で狭い街路が迷路のように広がる街を白い息を吐きながら一回り巡る。観光客向けの屋台以外は店も閉まり、街中は人影もない。

ゴルドを離れ、山を下ると谷間に広がるラベンダー畑の中に(季節柄当然ラベンダーは咲いていない)ロマネスク様式の石灰石色の修道院が現れる。
12世紀にシトー派修道士によって建立されたセナンク修道院である。

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シトー派はカソリックでも厳しい戒律を課す宗派だそうで、内部も虚飾を徹底的に排した質実剛健なものである。
同じ時代の禅宗の寺に通じるものもあるかもしれない。しかし木でできた寺と異なり、石で外界を排したその姿は、超絶的でありかつ孤立的でもある。

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夜の冷気にすっかり冷えた石に囲まれた内部の気温は、午前中の外気より2-3℃低く感じられる。


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ゴルドの街といい、セナンク修道院といい、明るい陽光に包まれるプロヴァンスとは逆の、冷たく強張った世界を感じてしまう。なにか村上春樹の「世界の終わり」の中の街のような。

セナンクからクルマで約30分、同じく鷹の巣のように丘の上に建つ村、Roussillon ルシヨンに到着。
この村は独特の赤土(黄土)に覆われていて、建物も赤味の強い土で作られている。
昼過ぎという時間のせいか、気温も上昇し、プロヴァンスらしい暖かな陽気に包まれる。


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赤土を原料とする顔料生産で栄えた時代もあったらしいが、今は観光収入に頼る街中にはレストランやギャラリーが軒を連ねる。

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ヤモリは街の守り神?これもアートワーク?

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街の土壌が分かる崖の写真。鮮やかな赤茶色、黄色が目に沁みる。体も暖まった。

ルシヨンから車で10分走った片田舎にポツンと残っているのが、紀元前3年に架けられたというジュリアン橋。
つい最近まで車が通っていたという(今は車は通れない)ローマ時代の遺産だが、その実用的なデザインといい、橋脚の間を穿つ水流除けの穴など、先人の知恵を感じさせる。

そうか、この道もローマに通じていたのか。

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カミュが晩年(と言っても若いよな)を過ごしたという美しい村、ルールマランで昼食。ガイドはプロヴァンス料理を勧めてくれたが、お腹一杯食べたら間違いなく昼寝してしまうだろうと、簡単にランチを取るつもりで入ったカフェで注文したハンバーガーが目からウロコの美味だった。

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たっぷりのフライドポテトに新鮮な野菜が添えられたプレートには、大きなフカフカのバンズに挟まれた肉厚で熱々のハンバーグがでんと座っている。

口の大きな僕でさえ、齧り付くことを寄せ付けぬその尊大なハンバーガー、ナイフを入れてみるとミディアムレアの赤身肉からジューシーな肉汁が迸り出て、食欲をそそることこの上ない。
小食?の家人も完食するほどの美味。聞けば肉も野菜もプロヴァンス産ということで、なるほどむべなるかな。

南フランスまで来てハンバーガーかよ!と少々恥じ入り、ガイドにランチは何を摂ったか訊かれると控えめに「ハンバーガー、だけど美味しかった!」と答えたが、「こちらでもハンバーガーが人気なんですよ」とフォローしてくれた。

ランチを終えて向かったのはセザンヌ、ゾラの出身地で知られるAix-en-Provenceエクス・アン・プロヴァンス。この日巡った村とは違う大都会だ。(Avignonより大きな街!)

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セザンヌの永遠のモチーフ、サント・ヴィクトワール山の遠景。断面が山型の細長いケーキのようだ。
この山の形について、僕は「平たい山」家人は「切り立った山」という見解の相違があったが、この姿を見て合点がいった。
見る角度によってさまざまに形を変えるのだ。
セザンヌのアトリエは写真に向かって右方向にしばらく走ったところにあるので、彼の描くサント・ヴィクトワールは、山型断面をほぼ正面に臨む位置にくる。

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ダウンタウンはAvignonの数倍の人出で賑わっていた。特に若い人たちの姿が多い。

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行列ができていたマドレーヌ屋さん。人気につられて買ってみた。日本の「しっとり」とした食感とは異なる、外側のクリスピー感にびっくり。パリッとした焼き菓子の味わいだ。それなのに中はしっとりで、バターはしっかり使われているのに脂っこさも残らない。
ううむ。これは美味しい。

Aix-en-Provenceを高速で(笑)一巡りした後、Avignonに戻るところ、少し足を伸ばして郊外のPont-du-Gard ポン・デュ・ガールに向かう。日没まであと僅か。走れメロス。

ここはユゼスからニームに水を運ぶための水道橋として紀元前19年頃建造されたもので、高さ約50mという壮大な古代建造物に単純に畏敬の念が湧く。1km間の高低差が僅か2.5cmというローマ人の土木工学の粋。

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残照を受け雄姿を川面に移すポン・デュ・ガール。美しい。

写真の場所に来て、突然以前観た映画を思い出した。ダイアン・レインがフランス人映画プロデューサーと南仏をドライブしながらパリに向かう途中でこの河辺に立ち寄り、確か「ここで見る夕日が美しいんだ」なんてセリフ(うろ覚え)があったような。

気になって調べてみると、映画は「ボンジュール・アン」で相手役はアルノ―・ヴィアールという方。日本語訳で観た記憶がないので、外国航空会社の機内だったかなあ?
なかなか洒落たいい映画だったので、amazonの配信サービスでも探してもう一度見てみよう。

日が落ちてスーパームーンが東の空に浮かぶころ、ポン・デュ・ガールの駐車場に向かう道で空を仰ぎて撮りたる一枚を本日の掉尾に。

鈴懸の木の夕陽に浮かびたる影

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なんてね。


# by windypapa | 2019-02-19 13:23 | 日々是好日 | Comments(0)

城壁に囲まれた街にて

土日を過ごしたL'isle Sur La Sorgueを離れ、月曜日にSNCF(Société Nationale des Chemins de fer Français, フランス国鉄)のバスでAvignonに向かう。SNCFローカル線は平日でも運行数が限られており、9時~12時の間は1時間に1本程度のバス便が代わりに運行されていた。
別の会社で運行されるバス便もあるようだが、乗換があったりでフランス語ができない(^^ゞ僕たちにはハードルが高く、SNCFにした。CDGからAvignonまでのTGVも、AvignonからL'isle Sur La SorgueまでのTER(ローカル線)も定時運行で、SNCF品質を見直していたからだが、どっこいL'isle Sur La Sorgueからのバスは待てども待てどもやってこない。(;'∀')
遅れに慣れてるはずのフランス人も苛立ち始める頃、定時より30分遅れてバスはやって来た。しかし列に並びながら二人だけの世界に入っていたアベックが切符を買っておらず、バス停から40m離れた駅の切符売り場に走るのを待ちようやく発車。溜息と共にこちらの人達の寛大さに畏れ入る。
とはいえ、鉄道とは違い街中を走るバスの小旅行も楽しからずや。車窓の風景を小一時間楽しんでAvignonに到着。初日に泊まったHOTELに再CK INして、預けていた荷物を引き取り、街歩きに出掛けよう。

旧市街をぐるりと取り囲む城壁。
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外周約4㎞の城壁に囲まれたAvignon旧市街は、北側半周をローヌ川が巡り、南側は鉄道駅と新市街に囲まれている。今回旅したのは城壁内の旧市街で、市庁舎前Horloge広場を中心に網の目状に石畳の街路が廻る、典型的な中世欧州都市の造りとなっていて、旅情がそそられる。

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Horloge広場の北側に位置する教皇庁は14世紀の所謂「教皇のアビニョン捕囚」時代に建造されたものだが、その壮大さに当時の権勢が偲ばれる。
内部見学はよく考えられていて、数か国語対応のタブレット端末が配布され、各部屋に用意された中世的シンボルにかざすと、その部屋の当時の状況が3D画像でタブレットに映し出されるという仕組みだ。
この中世的シンボルとタブレットの連動が、ゲーム感覚であり、また場所柄インディジョーンズ的でもあり、面白い♪
これによりほぼ伽藍洞の内部が、タブレット画像によって立体的に蘇り、新鮮な驚きとともにインプットされるのだ。
教皇庁最上階の「ものみの塔」からは中世の色合いを残す町並みの向こうにローヌ川とサン・べネゼ橋を望み、尖塔の先に大きな空が迫る。

教皇庁からさらに北側へ石畳の路を10分ほど歩くと、アヴィニョンの橋で知られるサン・べネゼ橋がある。「橋の上で輪になって~」の歌で知られるが、実際には輪になって踊るような幅はない。こちらの案内はまだタブレット端末化しておらず、オーディオガイドに頼るのみだが、ビデオルームで紹介されるアヴィニョン橋の3D復元事業に興味深く聴きいる。下の写真のローヌ川の対岸は実は広大な中洲にすぎず、橋はさらにその先、当時のフランス領ヴィルヌーヴ・レザヴィニョンの砦まで続いていたという。実に広大な橋である。

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橋の途中の礼拝堂。像の頭に止まる鳩は近くでカメラを向けても微動だにしない。守護神きどりか?
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今は上流にダムによる治水で穏やかな表情のローヌ川だが、当時は大変な暴れ川であったそうで、Avignonは何度もその氾濫に晒され、サン・べネゼ橋も幾度も橋脚を失い、都度修理ののち、現在の形で放置されたという。
昨年・一昨年と訪れた水源、レマン湖から滔々と流れだすローヌ川のうねりが頭をよぎる。

しかし晴天とは言え、ローヌ川を吹く風は流石に冷たい。鼻水を拭きながら街に帰る。(笑)

こちらは織物業が営まれていたという名残の水車が残るタンテュリエ通り。ちょっと気の利いた小径だが、閑散期は店の開店時間も限られているようで、僕たちが通ったときはわずかに居酒屋が開いていただけであった。

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緑の蔦に外壁が覆われた生鮮市場。肉、魚、野菜、チーズ、香辛料、パン、ワイン、その他総菜が並ぶ清潔な市場。店員も若く英語のやりとりができて好ましい。ハーブ入りの塩とオリーブのペーストを求める。ワインは重いので涙を飲む。笑

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史跡を活用した?住宅。
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そして町の中心には荘厳な教会。

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教会の重々しい扉に見惚れる。

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ホテルの部屋のテラスから眺めるAvignonの朝焼け。
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Avignon滞在最終日の木曜の朝、散歩の途中で偶然出会った骨董市。

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本当に見ているだけで愉しい♪

Avignonを起点に訪れたリュベロン地方の村々とアルルは別稿で。



# by windypapa | 2019-02-18 09:16 | 日々是好日 | Comments(0)

パステルとせせらぎの街で

節目の年の翌春を迎え、飛び始めたスギ花粉のように漂泊の思ひに駆られ、家人とともにしばし我が家を後にしてユーラシアを旅窓から眺める旅に出た。

シャルルドゴール空港から広大な国土を切り裂くように走るTGVで辿り着いたAvignonで一泊後、さらに普通列車に揺られて約30分、最初の目的地L'isle Sur La Sorgue(リル・シュル・ラ・ソルグ)に辿り着く。Sorgue川に囲まれた島、という名前の通り、運河に囲まれた小さな美しい街。

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人影もまばらなひっそりとした街の周囲と街中を、透明な水が水草を揺らして流れてゆく。


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修道院を改装したというアンティークな佇まいの小ホテルの下も、せせらぎが洗う。

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こんな小さな街でも、町の中心には必ず教会がある。

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オフシーズンということもあって閑散とした街が、一晩明けた日曜には喧騒に包まれる。

街中にチーズ、鶏肉の照焼き、生牡蠣、オリーブの身とペースト状に磨り潰し味噌のように大皿に山盛りにしたもの、パン、などの食べ物から、洋服、椅子(の修理)、ナイフ、日用品、などの屋台が並ぶマルシェが立ち、人々が集う。

スーパーマーケットは駅近くに一軒あるだけで、日常必要なものは日曜のマルシェで調達するのだろうか?

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もうひとつ、この街特有のマルシェがアンティーク市場だ。

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この街はフランスでも指折りのアンティークの街ということで、アンティークショップもそこかしこに店を構える。


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家人も骨董市を前にらんらんと眼を輝かせる。そう、この街を旅先の一つに選んだ理由はそこにある。(^^ゞ

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といっても、そんな高級な値打ちのあるものを狙うわけではない。自分にとって値打ちのあるものを我楽多の中から選ぶのが楽しいのだ。

アールヌーヴォー調ランプスタンドを入手して一息ついた家人と特大パフェを食す。

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2月というのに、11時頃からはポカポカと5月のような陽気に恵まれ、パフェをテラス席で食べても何の不自然さもないのがよいところ。

空は青く、壁はパステルクリーム。木々は緑で透明なせせらぎは陽の光に煌めく。

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街角で物乞いをする人、昼からテラスで一杯きこしめす男たち、狭い路地の影とのコントラスト。

絵画の中に迷い込んだようだ。

# by windypapa | 2019-02-17 20:46 | 日々是好日 | Comments(0)

ハレルヤ!

NHKの朝の連続ドラマのインスタントラーメン作りが佳境に入っている。スープ作りに始まり、麺作り、麺へのスープエキスの浸透、再現性のある乾麺作りと、とても個人がなし得るとは思えぬ事業を進めるマンサクこと安藤百福の事業家魂に感服する。

相当の脚色があるにせよ、普通の人だったら信用金庫の理事長を解職されたところで歩みを止めてしまうだろう。
それがどうだ。周囲の白い目にも挫けず、志を貫き通す。
ううむ、幾つになっても前進あるのみか。シニアカテゴリーがすっかり身についた我が身を蹴とばさねば。
朝の連ドラごときでこの通り。まったく単純な男なのだ。
しかし百福、いやマンサクの追求する「再現性」、録音された音源の再現を追求するオーディオでも変わりはないはず。

それなのにこちらときたら、TADユニットを導入し、やれ嬉しやとブログに書き散らかしてはいるものの、出てくる音はなかなか満足できるレベルに到達しない。
それぞれのユニットの優秀さは十分に伝わってくるのだが、それらをまとめた音が、スッキリシャッキリ感が先行して潤いが足りない。
見通しはよいが、露出オーバーで目が疲れる写真を大画面で見ているようだ。

音は聞こえる。しかし音楽として胸に響かない。

そういう状態が数日続き、手詰まりになった。
目先を変えるため、久しぶりにLCRフォノイコ付きプリアンプに火を入れる。

ン~~~
真空管が暖まるにつれて、アポロの箱の中で小人のハミング♪のようなノイズが聞える。
Mark Levinson ML-1と比べると、ノイズレベルがどうしても耳に障る。

SPケーブルを替えてプリとML3の間(正確にはチャンネルデバイダーボックスとML3の間)のケーブルが長くなったので、その取り回しをあれこれと試してみる。
チャンデバボックスの位置と姿勢によってノイズレベルが変わるので、Goldmund Studioの後方にSPスタンドを1本立てて、その上にチャンデバボックスを設置する。
百均で買ったクリップ大を使って、ML3の電源ケーブルと交錯するSPケーブルを浮かせて干渉を少なくさせる。

ン~~少しトーンを落としたが、それでもまだTL1601aから小人のハミングが聞こえてくる。中高域のTD4001、PT-R7Ⅲからは聞こえないので、プリとML3の連携に問題があると考える。
ML-3のLRchいずれかの入力を抜くと、ハミングは止む。中高域のWE271Aアンプがモノラル×2に対してML-3はStereo仕様なので、左右のアースが干渉しているのだろうか。

しばらく前に、フォノイコ段のハムノイズの原因を追求した際、フォノ信号入力ケーブルのシールドが、入力端子と初段管WE310B側の双方のアースに落ちていたことに気付き、出力側のアースを断つことで大幅にノイズを低減できたことを思い出し(2018年12月2日ブログ参照)、ライン入力ケーブルを辿ると、同じように初段管Bo側にもアースが落ちている。(写真下水色部分)

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Bo側アースに落ちたシールドを外して、黒チューブを被せる。(下写真黄色矢印)

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これは効いた。ハミングの小人たちはどこかに引越していったようだ。\( 'ω')/
そもそもフォノ入力のシールド始末をしたときにライン入力も確認しておくべきだったのだが、フォノのハムノイズの大幅減に浮かれて失念していた。(・_・;)

この状態で、Amadeus サウンドトラック(アナログ)盤からZaide (Aria, Ruhe Sanft)を聴く。
背景の静けさの中でRuhe Sanftの美しい歌声が際立つ素晴らしい演奏・・・のはずだが、高域の粗さが気に喰わない。

思い切ってPT-R7ⅢとTD4001のレベルを絞ってみよう。

・・・・うん、これは素晴らしい。高域の刺々しさがぐっと緩和されて音楽に没頭できる。
「今さら何を」と笑い出す方もおられようが、TD4001やらPT-R7Ⅲを導入してJBL175の時よりレベルを落とすことにどうしても抵抗があったのだ。
なんだか「負ける」ような気がして、なんとか慣れてみせる、みたいなやせ我慢。(笑)
一体何に負けるんだ?

中高域のレベルを下げた状態でGewandhaus四重奏団のベートーヴェン弦楽四重奏 Nr. 5 A-dur(CD)から Allegroと Menuettoを聴く。

これは…!
切れ込みが鋭いのに刺激の度が過ぎない、素晴らしいストリングスの音が縦横無尽に部屋の中を駆け巡る。
弦の響きの後に残る空気の振動が残り香のように鼻をくすぐる。
久方ぶりにハレルヤ!と叫んでも誰に咎めを受けよう?脳を純粋に音楽が満たす、その喜び。

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マルチマルチと騒いでいたが、各ユニットの周波数帯域のアサインメントやレベル調整は生半可では決められないということをあらためて認識した。

しかし、今回当てずっぽう(笑)でぐっと回したアッテネーターのレベルは、ひょっとして我が家のシステムの「黄金律」を探し当てたのかも?
・・・とひたすらおめでたいこのわたし。

# by windypapa | 2019-02-13 11:22 | オーディオ | Comments(0)

開けたり塞いだり

先週末またまた突然押し掛けて来た子供たち。サッカーアジアカップ決勝を悪態をつきながら観戦した翌日は三崎の「海上釣り堀」で釣上げた鯛6尾と鰺1尾を手土産に凱旋。

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…したのはよいが、捌くこと2時間半。食卓に造りと塩焼きが並んだのは夜の10時を回ってから。(笑)
おかげで今週は毎日アラ煮で一杯。ありがたいねえ。

オーディオの方は、TADが地下室に馴染んできたのか、こちらの耳が慣れたのか、見晴らしのいい屈託のない音が躍動している。
あっけらかんとしたその音は、クラシカルミュージックとの相性も危惧されたが、いざソースを聴いてみればそれも杞憂に終わり、ニュートラルで透明度の高い音が部屋を満たす。
ミュンフン指揮ウィーンフィルのドボルジャーク「弦楽セレナード」なぞは今まで朦朧とした音を聞かせるばかりであったのに、TADでは「ああ、こういう演奏であったか」と合点がいく音が聞こえてくる。

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先日のBoz Scagsといい、エッジが甘く感じていたものには切れ味が出てくるようだ。

一方で、ヒラリー・ハーンのバッハ・Vn.コンツェルトも悪くない。このあたりのストリングスは、スコーカ―TD4001と木製ホーンTH4001が上手くまとめているようだ。

そしてツィーターだが、JBL075が復活したものの、いつのまにかPioneer PT-R7Ⅲが返り咲いている。やはり音のキャラクターがTADにマッチするのかもしれない。
問題は、PT-R7Ⅲの配置だが、いつまでもDelphiキャビネットの蓋の上に置いておくわけにもいかない。
見るとJBL Apollo C51のバッフルプレートにはバスレフポートとして四角い穴が開いている。
この穴の幅がなんとPT-R7Ⅲにほぼぴったりとマッチするのだ。まさに据え膳。(笑)
それではと、ホームセンターで購入した添え木をバスレフポートにボンド付けしてから、PT-R7Ⅲを埋め込んでみる。

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うむ。いい具合じゃ。苦しゅうない。なんてね。

ところが問題は、このバスレフポート、左右対称ではなく、向かって右側についているのだ。
やれやれJBLさん、ちょっと気をつけてくださいな。(笑)

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格子グリルを外した状態では上の写真のように少し落ち着かない図となるが、音を聞いてみると不自然さはない。こちらの耳の感度が悪いのか。(笑)


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グリルを嵌めてしまえば、違和感も消える。よし、これで行こうじゃないか。
バスレフポートを埋めたので、先日空けた後面のN2400の穴の跡が残るのみとなり、音の出方も微妙に変わる。
「あっけら」感が少し後退し、音の粒子の密度が詰まる。直線性が減退し、反射音の成分が増えたような感じとでも言おうか。
これはこれで悪くない。しばらくこれで聴いてみよう。




# by windypapa | 2019-02-07 14:04 | オーディオ | Comments(2)

What's New

暦が変わって如月。今朝の冷え込みは半端ではなかったが、心配された積雪は無し。気合を入れてまだ明けぬ空の下、犬と散歩に出かける。頬にあたる北風の冷たさよ。

さて昨日は週末の疲れの残る体を休めるために有休をとったのだが、クルマに乗ろうと車庫に入り起動ボタンを押してもエンジンがかからずに様々な警告灯が点灯する。
うへえ、なんてこったい。
マニュアルをあたっているうちに、運転席回りのディスプレイがにぎやかに点滅し、やがてすべての色が消えた。
車庫の中で、暗い運転席に座ったまま、ディスプレイの明かりが消え、網膜に焼き付いたその残像が薄れていくのを見ると、なんとも心細い気持ちになってくる。
なにか外界と閉ざされた世界にひとり取り残されたような、あるいは「いるか」ホテルの暗い異次元のフロアに足を踏み入れたような、そんな気持ち。
気を取り直して考えると、バッテリーが上がったのだろうという結論に至り、カーインシュアランスの手配したレスキューサービスにチャージしてもらって事なきを得た。
しかしなにか今まで気づかなかった空間に迷い込んだような、ひやりと冷たいものに触れたような感覚が残ってざわついた。

そんなこともあって何か落ち着かぬ一日であったが、他方では、先日思いついたことを実行に移した。

QED SPケーブルのTL1601a直付けである。

前回少し触れたが、TL1601aの端子にはベルデンの黒橙ケーブルをつなぎ、N2400ネットワーク脇の小穴を通ってそれを引き出した先で、QED SPケーブルと接続している。
これではせっかくSPケーブルを交換しても、ベルデンのキャラクターが乗って本来の音質が損なわれるような気がするのだ。

まずネットワークN2400を留める外側ネジを外し、次にウーファーTL1601aを外し、その穴の先に見えるN2400を外側に外す。

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外す前のネットワークN2400

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取り外し後のN2400

そしてN2400を外した孔から通したQED SPケーブルを、TD1601aの端子に直付けでつなぐ。

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QEDとTL1601aを直接繋ぐことで、今時分の英国アスリートのアジリティが、TL1601aに直接どくどくと流れ込む、そんなイメージに憑りつかれてのトライアルである。

ふうふう、エンクロージュア裏の狭いスペースでケーブルをつけたり外したり、またコーン紙を傷つけないように気をつけてヘビー級のTL1601aをセットするのは案外力仕事なのだ。

ようやくセッティングが終わり、さっそく最近の試聴ソース、Carpenters with the Royal Philharmonic Orchestraを再生する。

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ちょっと芝居がかったような大仰なオーケストラのサウンドステージ、その絢爛な音の再現を確認する。ポピュラー歌手の豪華ディナーショーみたいで煙たがる向きもあろうが、リチャードの渾身のアレンジだ、目を瞑ろう。

絢爛豪華なOvertureに続くYesterday once moreでは、ぐっと低域が充実したリズムセクションの音に耳を傾ける。うーむ、やり過ぎじゃないか?(笑)

Goodbye to Loveではリチャードの新しいアレンジにより加わった、リズミカルなトランペットが間奏を彩るのが面白い。BeatlesのAll you need is LoveのTr.のようでもあり、Penny Laneのそれのようでもあり。一方、Tony Pelusoのソロがあっさり流れるのは残念。もっとギンギンに強化したファズギターを聴かせてほしかった。(笑)

Carpentersに続けて何枚か試聴して聴こえてくるのは、明瞭でヌケがよく、吹き上がるようなサウンドだ。

例えばBoz Scaggs "But Beautiful" 今までわりと「もっさり」鳴っていた"What's New"のベースとシンバルが、キレッキレッにエッジが利いた音で向かってくる。
錆やら垢やらがきれいに流されたような豹変ぶりだ。

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直付け効果以外に、N2400を抜いてエンクロージュア背面に開いた穴も音質変化に貢献しているのかもしれない。
メリハリが利き「あっけらかん」と楽しい音だが、「あけすけ」とも感じる。
ちょっとクラシカルミュージックにはどうだろう?
もう少し「陰影」というか、寂寥感というか、「シャドウ」な味付けも欲しいところだ。

最初から何もかも気に入る音が出るものか。これから調教するのがオマエの役目だろ?

へいへいわかりました。(笑)

これからが楽しみなのである。


# by windypapa | 2019-02-01 14:42 | オーディオ | Comments(0)

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