善光寺・露天風呂・ジャズ

8月5日、妻と長野市の彼女の実家に向かう。1週間の夏期休暇。私にとっては5年ぶりの長野である。10年間で23000キロしか走行していないUsed Rover 620SLIにとっても、初めての遠出かも知れない。あらかじめエンジンオイルを交換し、ワックスも塗って準備は万端。カーナビの購入は予算的に思いとどまったが、そのかわり往復ともに環八の大渋滞で往生した。さてこの620SLI、エンジンの音も振動もキャビンに遠慮なく進入してくるわ、UV処理をしていないウィンドウからは容赦なく真夏の陽光が照りつけるわ、古くなったCDチェンジャーは役に立たぬわで、なかなかどうして乗員に過酷な条件を課す車だが、唯一本皮シートはがっちり腰をサポートし、長時間の運転でも腰痛から守ってくれた。

長野では黒姫高原でやっている大学の合宿に顔を出し、ちょいと先輩面を吹かせた帰りに路傍の露天でとびきり美味い焼きとうもろこしを食し、戸隠に抜けて「うずら屋」の天ぷら蕎麦を堪能した。若い頃は1時間半も待てなかったが、今はそう気も逸らない。

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あくる日は善光寺にお参りし、すっかり垢抜けた参道を散歩し、囲炉裏で焼き上げた野沢菜と茄子の「おやき」を食し、市の西側、裾花川のほとりの露天温泉を楽しんだ。
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午後、雑誌で見つけた実家の近所の「シルバービート」という喫茶店を訪ねると、アルテックのコンシューマー向け大型フロアスピーカーをウェスタンのアンプで駆動するという本格派。コンソールルームを覗かせてもらったら、ガラード301のターンテーブルがでかい顔をして座っている。しかしご主人は極めて控えめな方で、お人柄からか音量も絞り気味、システムに興味のない他の客が帰って私たち夫婦だけになっても、これ見よがしの演奏をするわけでもなく、枯れた音を出しつづけていた。聞けば定年後に開いた店で、スピーカーは四国の大学の先生から”つて”を頼りに譲り受けたとのこと。レコードはかけないのですか、と尋ねたら、(キッチンとコントロールルームが離れているため)どうしてもCDを流してしまう、とのこと。しかもハード面はお兄さんの受け持ちだそうで、機器の話をしてもあまり乗ってこられない。テナーのバラッドが低くゆったりと流れていた。

あくる日は近郊の小都市、小布施を訪れた。小布施ワイナリーに立ち寄った後、栗菓子の小布施堂直営のイタリアンレストラン「傘風楼(さんぷうろう)」で素晴らしい鱸料理をいただき感銘を受けた。

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食後はRoverを駆って松川渓谷を遡り、信玄の隠し湯「滝の湯」に浸かって野趣満点の露天を満喫。少しのぼせたが小布施に戻り、蔵を改装したJazz喫茶「Bud」を訪ねる。こちらもアルテックのA5?とJBLランサーにウェスタン初期のアンプ、ガラードのターンテーブルという構成。ただしアルテックの中のユニットはバイタボックス社製に代え、ネットワークも新調した由。こちらのご主人はJAZZ−Audio喫茶の主人らしく煙草・子供お断りの札を表に堂々と掲げていらっしゃる。ウェスタンのアンプは東京の知人から譲り受けたそうで、調整もその方が再々やってきて為されるそうだ。Milesの“Someday My Prince will Come”が夏の暑い午後をあらためて思い起こさせるように気だるく薄暗い蔵の中に流れていた。

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夜は義父との晩酌の合間を縫って、かつての長野市きっての繁華街、権堂の”Musician”というジャズバーに出かける。カウンター席と二人がけの椅子席が二つだけのこじんまりとしたインティメットな空間。マッキンスタイルの山水のセパレートアンプでJBL4312を威勢良く鳴らしていた。マスターも気さくで気の置けない店。何が聞きたい?というのでロイ・へインズを所望した。出ないだろうなあ、と思っていたウッドベースの音も出て、この店の音が一番好みに合っていた、という皮肉な結果に。

短い滞在であったが、義理の両親・義理の妹夫婦・かわいい姪たち(トトロの五月とメイそっくり)との再会を楽しんだ上、戸隠蕎麦・露天温泉・ジャズ喫茶めぐりも満喫した小旅行であった。

by windypapa | 2006-08-10 00:36 | 日々是好日 | Comments(0)

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