ドナウの真珠 1

今日はウィーン中央駅から列車の旅。ブダペストに向かう。

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前回訪れたときは、大雨でドナウが増水し、ブダペスト市街も氾濫の恐れありということで、訪問を直前に見合わせたのだった。

今回は船旅はシーズンオフ。鉄路で約240㎞、2時間40分のブダペストへの旅。 東京から松本までの距離と同等、意外と近いのに言葉も民族もまるで違うのだ。

期待した車窓からの景観は、落葉した樹木越しに広大な平野が延々と続き、たまに巨大な風力発電装置でそれが埋め尽くされて驚かされるくらいで、少々期待外れ。しかし列車の移動そのものが何か楽しい。

午後2時過ぎにブダペスト東駅に到着。

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駅構内の両替所で当座の交通費分をハンガリー通貨フォリント ft. に交換し、メトロでブダ側に移動する。

ブダペスト市内はトラムとメトロ、バスなど公共交通網が充実しているが、メトロやバスは殆ど検札が無いのに対し、メトロは入り口に係員が立ってしっかり検札している。

切符売り場が見当たらないまま検札の場に出てしまい、慌てたが、係員が発券してくれてセーフ。単一料金(たぶん)で370ft.≒約150円だ。

地下鉄のエスカレーターは深くて速度が速い。日本の老人は慣れないと乗れないのではないか。

降車駅を間違えて引き帰し、ようやくホテルに到着。ドナウ河畔で国会議事堂やくさり橋を望む好立地だ。ドナウの東、ペスト側河畔に立つホテルは一流どころだが、投宿する西のブダ側河畔のホテルはミドルクラスとなり、リーズナブルだ。

市街の中心がペスト側で、アクセスの便利さや歴史的な経緯からランク分けがされたのだろう。

河は橋を歩いて渡っても10分ほどで、始めのうちは物珍しさで苦にならないが、何度か繰り返すと億劫になる。次の機会があれば、ペスト側に宿を取ろう。

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ホテルの部屋からの眺め。文句は言えまい。



ウィーンよりずっと暖かく、日本で言えば春も盛りの天候だ。荷を解き、早速ブダ側の散策に出かけてみる。
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ブダ側丘の上にある王宮跡。ハプスブルク家統治時代に建てたものが残っているそうだ。



王宮の丘にはケーブルカーで昇る。あっという間にドナウとペスト市街の素晴らしい景観が眼下に広がる。

ケーブルカーといえば、映画「グランドブダペストホテル」では、ケーブルカーを登り切った断崖のような場所にホテルが建つ設定であった。

実際のグランドホテルはペスト側の市街地に建ち、翌日訪れることになるが、それはそれ。

しかしブダ側の丘の上の街を歩いていくと、こんな建物に行き当たる。
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National Archives of Hungary

この威容。まるで「グランドブダペストホテル」そのものではないか。

コンシェルジェのグスタフが歩み出てきそうだ。

そんなことを言ううちに日も落ちた。飯を食おう。

散歩の途中、目を付けた店に入る。(上の写真の右に映り込んでいるお店だよ)

お勧めは何かと尋ねたら出てきたのがこの一品。

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パプリカ―シュ・チルケ チキンのパプリカ煮込み


そしてハンガリー風スープ、グヤーシュ。

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ウィーンではグーラッシュと呼び、こってりしたシチューだったけれども、オリジンであるグヤーシュはさらりとしたスープ。

美味しい料理を良いサービスで供する店に出会うと、なんだか素敵な旅となる予感がする。

すっかり暮れた空のもと、階段を下りてホテルに帰る。

美しい夜景を眺めながら。

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# by windypapa | 2017-03-20 23:58 | 日々是好日 | Comments(0)

維納 ふたたび 3

ムジークフェラインホールを後にして、オペラ座近くのカフェで腹ごしらえ。

H氏奥様に教えていただいたカフェ、ベルベデーレ宮を思い起こさせる内装の”Gertners”の3階でケーキを食す。

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左がアップルクレープ。バニラソースをかけて食べる。美味。右はGertners' トルテ。
鏡面テーブルにゴージャスな天井が映り込んでいる。

一服後、トラムでベルベデーレ宮に向かい、「ユディト」「接吻」ほかクリムトの作品を観る。今回は時間の関係でミニマムの鑑賞となってしまったが、二兎を追うことは出来ない。ミッション③完了。

明日は午前中の列車でブダペストへ移動を予定している。実質的に最後の日となるウィーンを残りわずかな時間で楽しもう。

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カフェ セントラル 今回は食事出来なかったな。

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ミノリーテン教会


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お気に入りのペーター教会

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同上 素晴らしい天井画

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イースターに向けてウサギや卵の形の菓子が並ぶスーパーマーケット

今回もH氏夫妻のおかげでウィーンを堪能する愉しい旅となった。人と人のつながりは、真に得難く有り難いもの。心から感謝。


# by windypapa | 2017-03-19 18:16 | 日々是好日 | Comments(0)

さて、ウィーン滞在4日目の今日はミッション ②ウィーンフィル定期公演鑑賞 ③クリムト絵画鑑賞 を完遂する日。

午前11時からの第6回ウィーンフィル定期公演のプログラムは、Dvorak チェロ協奏曲ロ短調 作品104、Beethoven Symphony No.6で、指揮はバーミンガム市響、ボストン響の音楽監督を務めるAndris Nelsonsがとる。

シーズンで10回しかない定期演奏会、親しみやすいプログラム、チェロ独奏奏者はウィーンフィルメンバー、売り出し中の指揮者、という条件も揃い、ネット上ではなかなか余剰チケットが出てこない。

思いつきで旅行を計画するこちらが悪いのだが、いつも行き当たりばったりの癖は抜けない。それにしてもウィーンに来てウィーンフィルの、ムジークフェラインホールの音を聴けないのは悲しい。

ラストミニッツのチケット獲得に向け、まずウィーンフィルのオフィスに出向くが、同じ目的の旅行者が何人も押し掛けて、カウンターの女性も辟易しながら「ALL Sold Out」と言っている。

形勢不利である。ドヴォルジャークを家人が、田園を僕が聴くという途中交代の奇策を考えつつ、ムジークフェラインホールへ向かうと、こちらもそろそろ人が集まり始めている。

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ホールの前のプレートの1枚

誰も「チケット売ります」などのプラカードを持っていないので、「売人」がわからないのだが、チケット片手にホール入り口近くに立つ紳士にアヴェックが声をかけ、商談らしき物が不成立に終わった気配を観て取り、すかさずアプローチ。

すると見事にビンゴで、「妻が病気で来れなくなった」ということで額面通りの価格で譲っていただいた。ちなみに先行のアヴェックは2枚求めていたので商談不成立だった模様。競争は激しく、僕が会話している間にも他の東洋人が割り込んでこようとしたほど。やれやれ。

土壇場で手にした幸運に感謝し、別々の席ながら家人と一緒に鑑賞することが出来た。

僕が紳士から入手した席は2階のボックス席で、こういう眺めになる。

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席はというと、こんな感じ(自撮り)

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BOX席はサブスクライバー席のようで、隣り合ったり近くの席同士が皆親しげに挨拶を交わしている。よそ者のこちとらはちと居心地の悪い時間帯だが、隣のベージュのジャケットの紳士が親切に話しかけてくれ、孤立を免れた。笑 オーストリアはまだ排他主義に陥っていないぞ。

しかし、サブスクライバーにとっては、コンサートは単に鑑賞するものではなく、交流する場でもあるのだと実感。

羨ましい文化である。

さて、4年前の訪問では、コンツェルトハウスで聴いたウィーンフィル、今回は念願の本拠地、ムジークフェラインホールでの演奏を聴けるということで、いやが応にも期待で胸が膨らむ。

ざわざわと話し声が続く中、オーボエのA音が控えめに響き、オケの音合わせが始まる。この時間のときめきが何とも言えない。

また、喧噪とオケの音合わせの音の響きで、このホールの暖かく、しかし曖昧ではない、好ましい響きも再確認することが出来る。

やがてしずしずと始まるチェロ協奏曲の冒頭、ヴァイオリンパートの頭出しを聴いて、ああ、思い描いた通りの美しい音だな、と感じる。多分に思い入れに流される傾向があるが、やはりこのホールの響きは別格だ、と思う。

第一楽章は結構激しい展開を見せるが、ストリングスパートは常に美しく、かつ豊かで力強い響きを奏でてチェロ独奏を支える。そこには耳障りな音は一音も無い。そのくせオケのff時のエネルギーは凄まじく、空気を揺らすほどだが、混濁感はまるでない。

独奏者のチェロもそれに負けずに伸びやかな音色で応える。レコードであれば独奏チェロの音がもっと大きく録音されるだろうが、この大きなホールの中では、デフォルメされず、しかし全体の中の大きな一人としてしっかりと音が刻まれる、という感じである。

聞き慣れた旋律の第3楽章、ライブで聴くとチェロの技巧性とともにトライアングルの活躍がよくわかる。ギャラはどうやって配分するのだろう、などと下世話なことが頭に浮かぶ。

チェロの音色というと、もう一段低い重厚感のあるものを想像しがちだが、このホールのこの席で聴くと、「ヴァイオリンセロ」の名の通り、兄弟楽器のそれに近い、朗々と軽やかな音色で聞こえてくる。

チェロの音に限らず、この席から聴く音響は、オケの直接音というよりは、間接音を中心にした「ムジークフェラインホールの音」に「加工」されたものである、という考えが浮かぶ。

素晴らしいフィナーレを迎えると、チェロ奏者Tamas Vargaに大きな拍手が沸き起こる。隣の紳士がこちらに小声で「バッハをやるぞ」と耳打ちすると、しばらくのアンコール拍手の後、朗々と、しかし静やかに、無伴奏を弾きだした。隣の紳士に頷くと、「言った通りだろ」と言わんばかりに頷き返す。はは、さすがウィーンっ子。よくご存知で。

休憩時間は狭い通路と談話室が聴衆で一杯になる。多くの聴衆にとっての大切な社交の時間。

休憩時間を終えて席に戻ると、この日のメインとも言える、楽聖の交響曲第6番が始まった。

客席から見える範囲で確認すると、オケの編成は左翼に第1Vn 15名、チェロ10名、その後方にティンパニ、中央最後列にコントラバス8名、その前3列に管楽器が6, 4, 5名の計15名、右翼はよく見えないが、ヴィオラ・第2Vnが左翼に匹敵する人数が配されていたはず。

シンフォニーが始まって気づくのは、オケ全体に活気が出てきたこと。弦楽器のボウイングも幅が大きく、繊細さより大胆さが勝るようになったように感じる。

やはり「ご当地ソング」として楽器が勝手に歌うのだろうか? 

アンサンブルの美しさは必要条件としてクリアした上で、各楽器、あるいはパートが名人芸を繰り出す、なんだかジャズセッションのような愉しささえ感じさせる演奏だ。

2日前に訪ねたハイリゲンシュタットに残る自然と、「田園」のモチーフとなった小川沿いの散策路が、ありありと天然色で頭の中に再現される。そういえば、ひばりだろうか、よく通る鳥の声も聞こえていたな。かっこうは聞こえなかった。などと独り言つ。

何とも愉しい、スイングするような?演奏が終わると、一拍おいて大歓声がホールを包む。

隣の紳士と挨拶を交わし、クロークで家人と落ち合い、なんだかとても晴れやかな気持ちになってホールを出ると、そとはまだ小雨が降っていた。

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# by windypapa | 2017-03-19 12:40 | 日々是好日 | Comments(0)

維納、ふたたび2

ハイリゲンシュタットへアウティングした日の夕刻、維納在住のH氏夫妻とオペラ座近くのレストランで待ち合わせて会食。4年ぶりの再会である。

H氏お勧めのウィナーシュニッツェル(ウィーン風カツレツ)とターフェルシュピッツ(牛肉の煮込み)を食す。


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ターフェルシュピッツ ホクホクの牛肉入り鍋料理


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このようにポットに取り分けていただく。


おいしい料理に舌鼓を打ちながら、近況報告やら、今回の旅行計画やらお話しする。家人がアンティークのカーペットを探していると話すと、H氏夫人が翌日面白い骨董品屋に案内することを請け合ってくれ、夕食もハイリゲンシュタットのホイリゲでご一緒出来る運びとなる。
天気予報によると、土日が雨模様だったので、たいへんありがたい。

ミッション②のウィーンフィル定期公演のチケットは、直前のリリース分も含めて完売であったが、夕食前にウィーンフィルのHP上に一瞬出たチケットを一枚ゲットすることが出来た。あと一枚をどうするか思案していたが、H氏から当日チケットオフィスかムージックフェラインの会場で直接交渉して入手する方法もあると助言を受け、ラストミニッツ勝負に賭けることにした。

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食事中に降った俄雨が残る石畳を宿に向かう。ウィーン投宿2日目終了。



翌18日朝、街中を散策。

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ウィーンフィルオフィス前のプレート


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モーツアルトの街だけど、この人も名を残す


小雨の中、午前10時にH氏宅にお邪魔し、車で15分ほどの骨董屋に連れて行っていただく。

以前ガラス工場だった建物を利用した大アウトレットで、想像以上のサイズと品揃え、そして良心的な値段に驚く。AS ISだが日本のアンティークショップの1/5くらいの値段だ。もちろん日本に運ぶとなれば、梱包輸送費や関税もかかるので、一概に比較は出来ないが、手荷物で持ち帰る範囲でなら、アンティーク好きにはたまらない。

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ショップの1棟目の中2階から。広大。同じサイズの面積の店舗が隣に続き、さらに同じサイズの総2階造りの店舗棟が隣接。

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一つ上の写真を撮った中2階。中古レコードがどっさり。H氏の休日のお楽しみ場所だ。

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こんなものもある。

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我を忘れて?カーペットを漁る家人


H氏夫人のカオ利きでさらに値引きしていただき、めでたくカーペット2枚をゲット。家人は大きなサイズの物にも未練を残したが、これから手荷物となることを考慮して泣く泣く断念。

僕は選別に時間のかかるレコードを諦め、家人と一緒に店舗を回り(とにかく膨大)、真鍮製のコーヒーミルを購入し、一矢報いた。笑

H氏夫妻もカーペット、Herendのカップ&ソーサー、レコード等を購入し、帰りにベトナム料理屋でフォーを食す。あっさりチキン味のスープに舌鼓。

午後、ホテルで休憩後、夕方またH氏夫妻の車に同乗し、ハイリゲンシュタットのホイリゲへ向かう。

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こちらも一時期楽聖が下宿していたという農家を改装したホイリゲ(ワイン居酒屋)である。H氏夫妻の友人ご夫婦も合流し、三家族でにぎやかで愉しい会食となった。

こちらで出色だったのは、Bärlauchと呼ばれる野草。日本では行者ニンニクと訳されるそうだが、全く同じものだかは不明。この時期ちょうど旬を迎える野草だそうで、地元の人たちはこれを楽しむために山菜狩りに出かけるそうな。

前回のアスパラもそうだが、ヨーロッパの人たちも季節の野菜を楽しみにしていることが分かり、親しみを覚える。

店内が暗かったのとおしゃべりが忙しかったのが原因で写真は撮れなかったが、Bärlauchのクリームスープはとても美味であった。今回の旅行で記憶に残る一品。

おいしいワインと時差のおかげで恥ずかしくも記憶が一部飛んでしまったが、とても愉しい夜を過ごすことが出来た。明日のウィーンフィル公演のチケットがとれるかどうか。お楽しみ。



# by windypapa | 2017-03-18 12:10 | 日々是好日 | Comments(0)

維納、ふたたび1

再び家人とともにウィーンを訪れる機会に恵まれたので、記録を残しておこう。
前回利用したオーストリア航空は日本からの直行便を休止したので、今回はFINNAIRでヘルシンキ経由の渡航となった。

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ヘルシンキから飛び立ちバルト海に向かう。地上には残雪が残る。


機内で鑑賞した映画は、「La La Land」と「君の名は」。前者はプロットを文章で書けばどうということもなく、Jazzの描き方も皮相的にとどまるけれども、それらも含めて陳腐化・類型化されたテーマを洗練されたフィクションに作り上げ、見る者の感情を揺さぶる作品に仕上げる力に敬服。特にラストシーンに向かう「IF」のオケージョンによるフラッシュバックは見事で、印象的であった。話題作の後者は、少年少女の中身が入れ替るという「転校生」以来やはり「陳腐化」したテーマで、商業映画館に行ってまで鑑る予定は無い作品だったが、豈図らんや、時空のずれなど新たな要素も盛り込んで、飽きさせず「切なさ」を感じさせる映画であった。

というわけで、往路は長い道程も飽きずにウィーンに到着。

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ウィーン市街の中心、シュテファン大聖堂の近くに投宿した。


今回の旅程は9日間で、うち4泊がウィーンとなったが、僕のミッションは、①ザッハトルテの賞味 ②ウィーンフィル定期公演鑑賞 ③クリムト「接吻」の鑑賞に絞り込んでいた。しかし前回同様、当地在住のH氏夫妻から心づくしのアテンドを受け、予想外の穴場も訪問することが出来、たいへん愉しく充実した時間を過ごすことが出来た。

到着翌日は天候に恵まれたこともあり、前回の訪問で心に残るベートーベンゆかりの地、ハイリゲンシュタットへ向かう。
ウィーンの中心からトラムで30分ほどの郊外のこの街は、古来からおいしいワインと温泉で知られ、楽聖も聴覚障害の治療のためにこの地に逗留したということだ。

いまも葡萄畑やホイリゲ(ワイン居酒屋)が軒を連ねるが、一帯は高級住宅街となっており、広大な敷地と華麗な造りの豪邸が建ち並ぶ。


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ここにベートーベンの散歩道と、遺書の家と呼ばれる家が残っているのは2013年6月の旅行記の通り。

遺書の家で、ヘッドフォンで弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調を聞く。窓越しの田園風景を目にしながら聞く音楽に、心が洗われる。

遺書の深刻な内容にも拘らず、聴く者の心を捉える楽曲の力。

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右の建物がベートーベンがハイリゲンシュタットの遺書を書いたとされる家


左手に小川を、右手に豪邸を見ながら散策路の歩を進める。穏やかな日差しに恵まれ、とても暖かだ。


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ベートーベンの散策路


ハイリゲンシュタットを後にして、ウィーン中心に戻り、早速オペラ座を眺めるオープンカフェでザッハトルテに舌鼓を打つ。

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うまい。 この酸味とホイップクリームのコンビネーションの妙を味わうべし。ミッション①完了。










# by windypapa | 2017-03-17 22:29 | 日々是好日 | Comments(0)

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今年はあまり風雨に晒されずに済んでいるためか、梅の花の見ごろが例年より長く続いているような気がする。

梅に関する知識が深いわけではないが、この花を好ましく思う僕にとって、今春は例年よりも心地よい季節となっている。

大池公園の梅林はまだ楽しめるのだろうか。そんなことを思いながらも、毎朝最寄りの駅に向かう桜並木には、間近に迫った自分たちの季節の到来を待ちきれずにはや花弁をひらくものもある。

こんな季節には、電車で会社に向かわずに、どこか梅の花の名所にでも出かけて行って、ゆっくりお茶でも楽しみたいところだが、勤め人の性が僕の足を都心に向かわせ、褒美に昼休みのひと時、梅の花を愛でる機会が与えられる。



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勤めに向かう電車で過ごす数十分は、あまり愉快とはいえない時間だが、最近は、図書館で借りた御覧のような本が僕を退屈さから救ってくれている。



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アンドレ・マルローは、2月にアテンドした李廷基さんの奥様の研究対象ということで、初めて興味を持って借り出した評伝だが、これが存外に面白かった。
パリ郊外の裕福とは言えぬ家庭に生まれ、17歳で学業を放棄し、出版社などで働きながら貪欲に美術を含む知識を吸収し、一獲千金を狙ってインドシナの密林に分け入ってクメール遺跡を盗掘して捕縛され、執行猶予の身となった後もまた彼の地に舞い戻って本国の植民地支配を批判する新聞を発行して圧力を受け、1927年の南京事件に揺れる中国にも足を踏み入れて文明の衝突を経験し、本国に戻ると著作活動を本格的に開始して左派知識人の一角を占める位置を築き、ファシズムと赤軍という二つの「全体主義」が台頭する欧州で、フランコ独裁に対抗するスペイン内戦に身を投じ、本国が第二次大戦の業火に包まれると、南仏を拠点にレジスタンス活動を展開して際どい命の駆け引きを経験し、戦後はドゴール政権下で文化相として仏国が独自の地位を確立するための基盤づくりに貢献し、外交面でもネールや毛沢東と面談して高度な文化論を戦わし、ドゴールが失脚すると潔く政界から身を引いて小説・美術評論の著述に専念し、天寿を全うした。
…というのが本書に記された略歴だ。まるでスぺイン内戦・対独レジスタンスで八面六臂の活躍をするインディ・ジョーンズが、戦後もフランスの地位確立のために行動派の政治家・文化人として活躍する活劇の主人公のような筋書きだが、むしろその背景にある、ファシズムと共産主義に対する欧州左派・知識人のためらいやジレンマ、その結果として招いた対独敗戦という歴史に興味をそそられる。

米英ともロシアとも違う、独自の一貫した哲学・価値観を持つと思っていた大国フランスが、戦前戦後にこれほど混乱し左右に振れていたことを、初めて知った。
全体主義という怪しげな思想が、国民のネガティブな感情を吸収して膨張し、実体として途方もない力を備えた怪物となったとき、それに対抗できるものはもはや鋼鉄の装備を備えた火力でしかない。ファシズムの大波を前に、マルローは語る。「フランスを救うにはアメリカの戦闘機と赤軍の戦車が必要だ」。しかし緊張の頂点で電撃的に結ばれた独ソ不可侵条約の衝撃。優柔不断な英仏政府と米国政府の不干渉主義が、怪物の膨張を助長する。途方もない犠牲を強いる鋼鉄の火力の衝突を避けるには、歪んだ思想がネガティブな感情を巻き込んで膨張する前に、人間の力で打ち消すしかない。
全体主義の最初の2文字は、他にもいろいろな言葉に置き換えられる。現代に住む我々も、意識しようがしまいが、危ない綱渡りを始めているのだ。

「黒い瞳のブロンド」は、2年前に書評を読み、頭の中に残っていた一冊。チャンドラーの"remaster"は、村上春樹の訳本で「もういいや」と思っていたが、おのれの不明を深く恥じ入ることになった。
マーロウファンにはたまらない、レトリックの玉手箱のような作品であり、バーニー・オールズやヒロインを始めとする人物描写にも、従来作品をしのぐ筆力が感じられる。
聞けば作者のBenjamin Blackは、ブッカー賞受賞のJohn Banvilleというアイルランド人作家のミステリーライター用のペンネームだそうで、本人はノーベル文学賞にもノミネートされるほどの方だそうだ。我らが村上春樹に勝るとも劣らぬ大作家がものにした「Long Goodbye」の続編、これは男子が読むべき一冊。図書館で借りておきながら、座右の一冊として手に入れよう。
「モーツアルトのドン・ジョバンニ」も大変楽しめるフィクションだ。「1787年秋プラハ、ドン・ジョバンニ製作中、父の死、コンスタンツエとの愛の倦怠、創作の壁に悩みあがくモーツアルト。見かねた共同制作者ダ・ポンテが稀代の色事師カサノヴァを招き」(カバーそで書きより要約)、モーツアルトのスランプ脱出の一助とすることから始まる騒動を描いたもの。荒唐無稽でありながら、あってもおかしくないなと思わせる語り口の見事なこと。
いやあ、楽しませてもらいました。





# by windypapa | 2017-03-08 22:11 | 日々是好日 | Comments(0)

如月にせしこと

LCRフォノイコ付プリアンプ【DELPHI】が手元に届いてから、今日までの出来事を、簡単にさらっておこう。

  1. 試聴会 24S氏・O氏が来訪 DELPHI導入後の音を試聴

この時点ではフォノ入力時のハムが少量ながら残っていたが、Thorens124+SME3012 proto type + Ortofon SPU-G + Maltki MCtransformerの音はおおむね好意的に評価された。

因みにLINE部のハムは皆無。初期真空管を使用したプリアンプとは信じられない低雑音である。

O氏曰く「LCRフォノイコ付プリがトータルシステムをトスカニーニ的に支配した音」 LCRプリのシステムに対する絶対的支配を表現されたのか、私のLCRプリへの心理的傾斜を指摘されたのか。当たらずとも遠からず。笑

一方でSimonRattle & BPO DirectCut盤“Brahms Symphony#2”を、リニアトラッキングのGoldmundStudioで聴くと、LCRフォノイコとPhasetechP3.との相性が今一つで、SPU-G以外とのマッチングには疑問符が付いた。

この組み合わせでは中高域がきつく、ピーキーに感じる部分があったため。

試聴会後、自宅でワイングラスを片手にいつものように歓談。送りがてら、駅の近くの蕎麦屋で日本酒で締める。愉快也。

  1. ノイズ対策① 上記試聴会に際し、Malotkiの出力側アースをグラウンドから浮かし、オーディオラック裏側に仮置きした脚立の上に設置してハムの極小化を図った。

  2. ノイズ対策② 試聴会後、DELPHIに人体が近づくと大きくなる輻射ノイズ対策のため、アルミフォイルで真空管を囲うと、嘘のようにノイズが低減した。NHKの「超絶・凄ワザ! 究極の断熱対策ボックス」でアルミ箔が電磁波を防御することを見て、釜山で実施した対策を思い出したもの。前回はフォノ初段の6SN7を覆ったが、今回は右chLINE部のBoDaを覆うと効果が出た。不思議である。

とにもかくにも、フォノ時のノイズは満足できるレベルにまで抑え込んだ。本来はここまで対策してから人を招待するものだが、気が逸ってしまって、またもやお二方には中途半端な音を聴かせてしまった。反省。

  1. 29日 税務署に立ち寄った後、町田のRecordhouse PAM(中古レコード店)を訪問。店主の末武さんのレコード洗浄についての実演付き説明に、大いに興味を持った。BrahmsSymphony #2 2枚を購入。

  2. 211日 御茶ノ水で数寄者の集まる例会に参加。各自が持ち寄った音楽ソフトを聴く愉しいひと時。

  3. 212日 鎌倉荏柄天神、妙本寺に家人と初詣。

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    妙本寺の参道を歩みつつ振り返ると、真白き富士の頂が木々の間から顔を出していた。いつ訪れても、心に平安をもたらす、落ち着いたよき寺である。古に比企一族が滅亡した屋敷跡とはだれぞ知る。帰路、藤沢方面に向かう134号線の稲村ケ崎のコーナーを抜けると、前方に雄大な富士山が浮かび上がる。まさに壮観。


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    帰宅後、レコードを20枚ほどトートバッグに詰め、Recordhouse PAMへ。末武店主の蘊蓄を聞きながら、15枚の洗浄と、LEDZeppelinⅠ~Ⅳの特別洗浄をして貰う。盤に着いた傷によるノイズを消すことはできないが、隠れていた音を洗浄によって引き出すことで、聴覚上のノイズ成分を減ずることができるそうだ。百聞は一聴に如かず。ノイズ成分の多かったZeppelin1stアルバムが、①超音波洗浄 ②レイカバランス溶液a液塗布+超音波洗浄というプロセスごとに、音圧が増す。J.P.Jonesのベースがぐっと前に出てくるのを聴いて、レイカのバランスウォッシャーセットを購入、ホクホク顔で帰宅。

  4. アナログの発熱が止まらず、Amazonで業務用超音波洗浄装置とレイカのスタイラスクリーナー、電子針圧計を大人買い。先日のSimonRattle & BPOのダイレクトカット盤以来、小遣いの収支が急速に悪化。笑

  5. 215日 釜山の李さん夫婦が欧州旅行の帰路、来訪。横浜山手を案内する。同發本店での夕食にはS氏も合流し、フランス文学からヴィンテージオーディオに至る会話に花を咲かせた。もっとも仏文については、ひとりS氏の博識に頼るばかりであったが。LCRプリの評価を問われ、SPU-G以外のマッチングの課題をあげると、SPU-Gで音合わせしたことは認めつつ、昇圧トランスを含めた組合せの工夫の必要をやんわりと指摘された。了解。

  6. GoldmundStudioのカートリッジをMarkLevinsonMLC-1に交換。Partridge昇圧トランスと是枝式フォノイコライザーを通してLCRプリのAUXに入れて聴く。落ち着いた、非常にバランスの良い音である。他方、LCRプリが垣間見せる「浮遊感を伴う非現実的な艶かしさ」は再現できない。難しい。

  7. 216,17日 到着した超音波洗浄機で手持ちのレコードを洗い、試聴する。レイカのスタイラスクリーンで針先は洗浄済みである。ThadJones/Mel lewisOrchestraの鳴りっぷりが半端じゃない。ホーンが部屋の枠をはるかに超えて拡散し、ディー・ディーのスキャットが中空に舞う。LittleFeat “Waiting for Columbus” では、A面最初のJoiningthe Band~聴衆の歓声~Fatman in the Bath tubのオープニングの興奮の再現、音圧に圧倒される。Simon& Garfunkel “Bridge over TroubledWater”、こんなに音が良かった?表題曲の伴奏がクライマックスに向けて重厚に被っていく部分、今までだったら曖昧模糊としていたのに、ずいぶん見通しが良くなった。GarfunkelVo.も音像が高く伸びて、プレゼンスに息を呑む。BabyDriverのアコースティックギターのフレーズとサポートする左chのベースの格好良さを再発見。ブラスもキラキラ輝いているようだ。

  8. 218日、家人が音楽室を利用している間、同じ地下のパウダールームで嬉々としてヴィニルを洗浄する。他人が見たら変人扱いされること必至である。

  9. 219日 渋谷エクセルホテルで立食パーティに出席。昨年、お世話になった講師に感謝の気持ちを伝える。二次会後22時過ぎに帰宅。日曜の外出&飲み会はちょいと疲れるが、心地よくもある。

  10. 220日 GoldmundStudioMLC-1Malotki経由でLCRフォノイコに接続して試聴。先週もちょい聴きしたが、24日の時のような違和感はない。カートリッジの違いもあるが、電磁波対策等を経て、LCRフォノイコの音も落ち着いてきたのではないだろうか?洗浄してもノイズが多くて聞きづらかったリヒテルのシューマン・コンチェルト(モノラル盤)や、DaveBrubeck “Jazz Goes toColledge”(同)のリカバリーが素晴らしい。特にSPUでは籠もって聞こえていたピアノ音が、清々と聞こえてくるのに驚いた。LEDZeppelin1stも、SPUより遙かにノイズが減り、音がダイレクトに飛び出してくる。ケルテス指揮のシューベルトGreatのスケール感とバランス、弦楽の美しさに思わず唸る。もちろん、万能ではない。SPUのピラミッドバランスの絶妙な味付けに軍配の上がるヴィニルもある。いよいよ面白くなってきた。盤の状態、録音から最適となる再生機器の組合せを割り出すべし。漠然とヴィニルをプラッターに載せて眠っている場合じゃないよ!今更こんなことを言ってると、アナログマイスターのS氏のお叱りを受けるかな?


# by windypapa | 2017-02-21 20:00 | オーディオ | Comments(0)

吉報ふたつ

睦月のつごもりに二つの吉報が届いた。

一つは2年越しで挑戦していたことの結果が吉と出たこと。

結果が出たことで何かが始まる訳ではないが、これからの選択肢を広げたことで、モチベーションを上げることが出来そうだ。

少なくとも昨年春から晩秋までのストイックな生活を続けなくても良いことに安堵する。

もう一つは、ベルリンから届いた郵便小包。

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図らずも、この日を祝するかのようにやってきた。

1月の数寄者の集いで試聴させてもらい、虜になってついに海外発注した、サイモンラトル指揮BPOのブラームス交響曲集ダイレクトカットLPボックスだ。


私に先んじて注文した知人宅には誤ってシューベルトの交響曲セットが届いたという話を聞いていたので、開梱するまで半ば疑心暗鬼であったが、封を開いてウグイス色のボックスが出てきて安堵した。

中には1200枚プレス中のXX 番目という欧州盤サーティフィケートを始め、ハードカバーのブックレットや大判写真など、例会で見た通りの中身が入っており、その下にしずしずと6枚のバージンヴィニルが僕を待ち受けていた。

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うーん、気分が良い。

今日はお酒も入ってしまったので、ターンテーブルの上で円舞を踊ってもらうのは明日にしよう。



# by windypapa | 2017-01-31 22:47 | 日々是好日 | Comments(0)

李さんへの手紙

李さん

こんばんは。良い正月をお過ごしのことでしょう。

昨日セットしたLCRプリを本日じっくりと試聴しました。

結論から言うと、これは本当に素晴らしいフォノイコライザーとラインプリです。

音溝に潜む音のニュアンスを洗い出し、まるで目の前で生の演奏を聴いているような臨場感を差し出してくれます。

とはいえ、最初の試聴ではそこまでポジティブな感想ではありませんでした。

李廷基さんも指摘されているように、WE271Aパワーアンプとの組合わせでは、弦楽器のアンサンブルの繊細な美しさを聴き取ることは出来ましたが、一概に音の帯域が狭く、特に低域は再生音域も制動力も僕の望むレベルに至らず、楽しめる音域が限られていました。

また3W強の出力では仕方がないことかもしれませんが、音量を上げると歪みが増大し、オーケストラのフォルテシモを浴びるように聴きたい僕にとっては、100%満足とは言えぬ試聴結果でした。

パワーサプライのPS Audio P600のノイズを拾ってしまうのも大きな問題でした。

そこで試聴の途中で思い切ってMark Levinson のパワーアンプML-3に接続しました。 日本ではA級動作のML-2の評価が高いですが、B級動作のML3の駆動力は知る人ぞ知るというもので、パワー感と低域の押し出しは、横綱級です。

またML-1との比較においても、パワーアンプの条件を同じにすることでフェアに評価出来るという利点があります。

ターンテーブルはThorens 124、アームはSME3012プロトタイプ、カートはOrtofon SPU-G、トランスはMalotkiを使用。この組合わせで再生したヴィニルは下記の通りです。

カラヤン指揮BPO ブラームス交響曲2番(1978 Gramophone 国内プレス)、同ベートーベン交響曲第9番(1962 Gramophone 国内プレス)、Beatles "Abbey Road"(英1st Press) 、Art Garfunkel "Angel Clare"(米CBS盤)B面

ブラームス2番は最近のお気に入りで、第1楽章・第2楽章の弦楽器のアンサンブルの美しさがどれだけ表現出来るかに注目しましたが、見事にクリア。またブラームス特有の、ぐっとためて爆発させるオケのダイナミック感も見事でした。

ベートーベン第9は第4楽章のオケの疾走感、コーラスの定位とバランス、オケと合唱の規模感などの表現に非凡さを感じさせました。

Abbey Roadではドラムスとベースのリズムセクションのグルーヴ感がよく表現されていました。こういうアルバムはあまり分析的に聴かないのですが、重層的に被せられる楽器の音が、リアリティをもって聴き取れることに驚きました。A面最後のI wan't you(She's so heavy)は通常うるさく感じてスキップしてしまう曲ですが、ギターのチョーキングのニュアンスやサビのアルペジオを重ねてヘビーな感じを出している部分など、聞き漏らしていた多くの聞き所に気づかせてくれました。

おなじみリンゴのドラムソロ?もずっしりと腹に応える重みを感じることが出来ました。

Angel Clareのアコースティック楽器の再生は想像通りリリックで美しく、他のアルバム同様、彫りの深い音を聞かせてくれました。

一体この彫りの深さはどこから来るのでしょうか? それはメインの旋律を奏でる楽器やボーカルだけでなく、伴奏する楽器やコーラスの音声が、みな自然に生き生きと活写されているからだと思います。

主人公とストーリーを中心に進行する小説よりも、登場人物の一人一人がよく書き込まれて、活き活きと物語を彩る小説のほうが、読む人を夢中にさせるのと同様、主旋律や中心楽器だけをフォーカスする再生よりも、楽曲に参加するそれぞれのパートに光を当て、それぞれの息吹が伝わってくるような音楽が聴く人の心をとらえるのだと思います。

そしてまさにこのLCRプリは、音の溝からそうしたエッセンスを掘り出して、豊かな音場を創造してくれたのです。

ソファに深く身を沈めながら聴くオケのフォルテシモでは、音を吹き出す火山の火口の真上で身を晒しているような浮遊感を感じることが出来ました。

今回機器の配置を変えた関係で、DACの100Vをとるタップが足りなくなり、今日はヴィニルのみの試聴となりましたが、以上のように久々にアナログ再生の醍醐味を味わうことが出来ました。

今回のLCRプリの修理改造では、Producerとして指揮を執っていただき、ありがとうございました。あらためて感謝致します。

来月お目にかかることを楽しみにしています。


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# by windypapa | 2017-01-29 22:03 | オーディオ | Comments(0)

待ち人来る

1月24日に李さんが釜山金海空港から送り出した貨物が、今日到着した。

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2pcで57kg、椅子と比べても大きさが分かろうというもの。税関検査が入ってしまったが、無事到着した。

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開梱したところ。右が電源部、左が本体だ。後ろのMark Levinson ML-3やPS Audio P600 と比べても、遜色の無い大きさ。

音が良くなるのが分かっていても、市販品では出来ないのが電源部への物量投入。

オーダーメイドの強み、と胸を張りたいところだが、運送費は馬鹿にならない。泣

ラック内機器の配置換えを行い、こんな形に借り置きした。

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うーん、Goldmund Studioの置台がシャビイだが、壮観。しかし電源タップが足りない。笑

LCRフォノイコ付プリの電源をPS Audio P600から取ったら、整流管を抜いて本体真空管のヒーターに通電しよう。

電源部整流管はRG2504、フォノ部はWE310Aー101Fー102Fー272Aのオールウェスタン球構成、ライン部はBoーDa の欧州管構成。

貴重な球なのでヒーター通電してやさしくエージングしなければ。焦りは禁物。


# by windypapa | 2017-01-28 17:55 | オーディオ | Comments(0)

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